2003年 香港の労働事情

2003年12月8日 講演録

香港労働組合連盟(HKCTU)
ラム チュイシャン フリーダ

香港郵便局員労働組合 中央執行委員

 

国内の状況及びHKCTUの活動方針

 香港の労働事情に関して、簡単にご紹介いたします。香港労働組合連盟(HKCTU)は、63労組、16万人の労働組合員で構成されています。HKCTUは、1990年に設立され、さまざまな業種にわたって独立した単位労組からなる労働者の連合体です。HKCTUは、団結、生活、公共の道義、民主主義を唱え、いかなる権力にも屈しないことを堅持しています。そして、政権、政党、雇用主、その他いかなる外部勢力の支配からも独立することを原則とします。
 HKCTUの目的は、労働者に関連するいかなる問題にも介入していくことです。労使争議の解決、労働者の組織化、労働組合運動の強化に努めています。HKCTUは、労働者の権利と利益を獲得するために、労働者と肩を並べて努力しています。HKCTUは、労働法の改革と労働者の権益の擁護を目指して、立法会(日本の議会に相当する)の選挙運動に参加しておりますし、立法会を通じて直接に香港特別行政区政府に質問をし、回答を求めています。
 経済のグローバル化の影響により、香港の労働者は極めて深刻な失業問題に直面しています。2003年11月現在、香港政府の最新統計によると、2003年8月から10月までの失業状況は、失業率8%、失業者数、28万2,000人になっています。そのうち15歳から19歳までの年齢層では100人当たり約36人が失業しています。そのデータによれば、この年齢層の失業者と学校中退者数の合計は、2万6,400人です。
 失業の原因の1つに、SARS感染が広がった際、香港政府が不適切な対処措置を、とったため、SARSが地域社会に爆発的に広がっていったことが挙げられます。さらに、WHOが香港をSARS重度感染地域に指定し、香港は各国の渡航自粛地域となりました。それによって、もともと低迷していた香港経済は、その深刻さを一層増してきました。観光業の不振により1,000人を超えるホテル関係従業員が、ホテルの稼働率が悪いため解雇を余儀なくされました。またSARS感染期間には約1万3,300の労働者が職を失い、破産した企業の数は約4,000社という高い数字に上りました。
 香港政府はまた、香港基本法第23条の改正を強行採択しようとしています。この香港基本法23条は、まだ詳しい論議のプロセスをたどっていませんが、香港政府は急いで改正を図ろうとしています。この香港基本法23条は基本的人権に関わる条項であり、それが改正されますと言論の自由、結社の自由、市民的自由に極めて深刻な影響を与えます。更に、香港基本法23条の改正によって、労働組合の活動、労働者の権益を保護する自由が制限されます。中国への返還後の過去6年間、香港政府は施策面では様々な間違いを犯してきました。2003年7月1日の返還記念日には、約50万人の労働者・市民が香港政府及び基本法23条の改正に反対してデモ行進を行いました。
 また、香港労働組合連盟(HKCTU)は、普通選挙による香港政府行政長官の選出と、立法会の議員選出を目指して、香港に完全な民主主義政治が樹立されるよう運動しています。労働者の権益の擁護は民主主義の確立は切っても切れない関係にあると思います。厳然とした民主主義の環境がなければ、労働者の要求は無視されます。普通選挙が行われて初めて、労働者は自分が求める権利の真の代弁者を選ぶことができると思います。また、HKCTUは、労働者のために合理的な賃金と労働時間を目指しています。労使間のさまざまな問題を解決し、最大限に労働者の権利と利益が実現できるよう活動しています。

HKCTUの具体的な活動

 2003年1月から11月までの香港の労働組合運動は、以下の活動を展開しました。まず3月8日、国際婦人デーにHKCTUの女性部会は、香港の街頭でビラと花を一般市民に配り、女性の権利と利益をアピールしました。一般市民の意識を喚起することが狙いでした。4月には、SARSの感染期間にHKCTUは、病院従業員で妊娠中の女性のために、SARSの重度感染地域以外への職場異動に努力し、成功をおさめました。また、5月にはHKCTUは、高い失業率の積極的な改善策を香港政府に求めました。7月1日には、約50万人にも及ぶデモ行進を組織し、香港政府に対し香港基本法23条改正阻止の行動を展開しました。最近では、11月に行われた区議会選挙で活動し、各区における支持の拡大を図りました。HKCTUは、中国政府支持派がコントロールしている政治状況を転換して、労働者のために権利と利益を確保しようと努力しています。