2017年 中国の労働事情

2017年5月19日 講演録

中華全国総工会
淘 志

中華全国総工会勇研究室副主任

 

1.本国の労働状況(全体)

2015年 2016年 2017年(見込み)
実質GDP 時価総額68兆9052億元 時価総額74兆4127億元 実質GDP成長率目標
実質成長率 6.90% 6.70% 6.5%前後
(出所) (国家統計局) (国家統計局) (2017年全国両会政府工作報告)
物価上昇率(%) CPI上昇率1.4% CIP上昇率2% CPI上昇率予測目標は3%前後
(出所) (国家統計局) (国家統計局) (2017年全国両会政府工作報告)
最低賃金
時給、日額、
月額
(出所)
時給(最高額北京市第一等級18.7元、最低黒龍江省8元)
日額(データなし)
月額(最高深セン市第一等級2030、最低黒龍江省第四等級850元)
(人力資源社会保障部、2015年9月28日)
時給(最高北京第一等級21元、最低広西チワン族自治区第四等級9.5元) 
日額(データなし)
月額(最高上海第一等級2190元、最低広西チワン族自治区第四等級1000元) 
(人力資源社会保障部、2016年12月13日)
時給(データなし)
日額(データなし)
月額(データなし)
労使紛糾件数 
(出所)
当期案件受理数81万3859件、判決数81万2461件
(中国労働年鑑2015)
データなし (データなし)
失業率
(出所)
都市新規就業者数1312万人、失業率4.05% 
(人力資源社会保障部、2016年1月22日)
都市新規就業者数1314万人、年末都市登記失業者数4.02%
(2017年全国両会政府作業報告)
(データなし)
法定労働時間 
(出所)
1日8時間(国務院の従業員作業時間に関する規定) 週40時間(国務院の従業員作業時間に関する規定) 
週44時間(中華人民共和国労働法)
時間外/超過率 休日/超過率

 中国のGDPは成長を続けており、2016年伸び率は6.7%であった。これに従って最低賃金も上昇を続けており、2015年は最高の北京市で時給18.7元、最低黒竜江省で時給8元、2016年は最高北京市で時給21元、最低広西チワン族自治区で時給9.5元となっている。グローバル経済の圧力により、労働者派遣や他の形態の非正規労働も目立ってきている。労働時間上・賃金上の差別があり、キャリアアップの可能性が小さく、又派遣会社自体専門性が低く、競争が熾烈なため労働者の利益が損なわれやすい。又新たな就業形態としてシェアリングエコノミーの発展(現在GDPの30.1%)に対応した雇用形態も出てきている。彼らは創業型、フリーランス(1専門分野をよりどころとする、2シェアリングエコノミーのプラットフォームをよりどころとする、3クラウドエコノミーをよりどころとするに分けられる)、インターネットをよりどころとして複数の職を兼ねる者などがあるが、既に2だけでも労働人口の5.5%を占めている。

2.労働組合の直面する課題

 労働市場において以下のような問題が出てきている。1)雇用のプレッシャー:失業者が1000万人、さらに都市部だけで毎年1500万人が高等教育機関を卒業する、2)ミスマッチ:エンジニアの数が圧倒的に不足している、3)格差:企業内の上級管理職と一般従業員の収入格差は12.7倍である、4)保険の未加入や未払い現象:特にフレキシブル雇用で目立つなどの問題が出てきている。

3.解決のための取り組み

 何よりも組織化が重要である。現在の総工会のメンバーは3億200万人、その内農民工は1億3900万人である。企業の従業員の80%以上が組織化されている。しかし外資、小企業では組織化が遅れている。さらにシェアリングエコノミーの従事者の組織化という課題も出てきている。こうした状況の中、総工会としては、教育活動の推進、従業員の権益の保護、調和的な労働関係を構築、業務のプラットフォームとメカニズムの革新などを掲げて奮闘している。

4.最近の動き

 特に労働組合のプラットフォームとメカニズムの革新では、総工会として既存のアカウントを利用・活用し、連携を促進することによって24時間サービスを実現している。ミニブログ、WeChat等での対応もある。