2007年 中国の労働事情

2007年6月13日 講演録

中華全国総工会(ACFTU)
張 瑞玲

 
  1.  中国の労働事情:雇用総数は経済の持続的成長に伴い都市・農村ともに規模拡大、雇用構造も改善している。2006年、就業者総数7億6千万人。うち都市部2億8千万人で37%、農村は4億8千万人で63%。雇用構造は、1990年~2006年の間に第三次産業労働者の割合は18.5%から32.2%に上昇。就業人数は2億5千万人に達した。第二次産業労働者の割合は25.2%と安定、人数は1億9千万人。第一次産業は、もともとの60%から42.6%まで減り、人数は3億3千万人。
     新たに増えた仕事のおよそ80%は非公有性経済(民間企業)が提供しており、民営、個人事業など非公有性経済は既に雇用吸収の重要なルートになっている。
     近年、雇用の重圧が持続かつ増大していく中で、中国政府はさまざまな措置を講じ、都市と農村の急速な失業率上昇をコントロールしてきた。2006年末までに都市と農村の登録失業率は4.1%、847万人である。
  2. 労働権益保障における主な取組みは以下の5点である。
    1. 立法過程での参画。各地方の労働事情現地調査で実態把握、労働関係法規の立法段階から意見提起してその多くが採用された。特に、生活困窮労働者の雇用と再雇用問題、社会保障制度改革の試験的な場、労働計画管理などの実態調査を経て、労働契約法、労働争議処理法、雇用促進法、社会保険法、障害者雇用条例、企業賃金条例、労働災害条例改正案などの立法に関ってきている。
    2. 着実な措置をもって労働者の経済的権益を擁護すること。
      主な取組みは以下の4点。
      • (1)ゼロ雇用。家庭と就職困難なリストラ失業者を重点に雇用と再雇用を支援。
        2006年末までに組合の職業紹介機構の紹介を通じて就職できた労働者は541.9万人で、職業訓練の実施は816.3万人。その中で再就職が実現できたのは316万人。
         また、就職希望者、有能な組合員に、合計53億元にのぼる小口の貸出しを行っている。
      • (2)公平分配権益の擁護。地方組織は政府と連携し、調査・監督を通じて賃金不払い問題の解決を推進。目標を立て、3年から5年をかけて各地の最低賃金レベルを、その地域の平均賃金の40%から60%に達するよう努力する。
      • (3)社会保険の推進。主に政府が進める社会保険の数の適用範囲拡大を推進し、社会保障基金管理及びその使用を拡大すると同時に、組合を含む国民と社会の監督を受け入れるよう努力する。
      • (4)助け合い活動の広範な展開。組合は1992年から「温かさを届けるプロジェクト」を推進。15年来、各地から263.6億元の資金を集め、既に113.6万戸の財政困難な企業と7,105万戸の生活困窮労働者家庭が受益し、うち445万戸の貧困家庭は、このプロジェクトを通して貧困から脱出することができた。
         近年、この活動は生活補助から訓練、就職支援、政策相談、法律援助へ転換。更に広範・抜本的な労働者救済実施。
    3. 組織化推進と団体交渉を通じ労働者の権益を保障すること。
       2006年、新たに組織した組合数は14.9万単組1,964.8万人で、組合員総数は、現在1.7億人に到達、組織率73.6%。
       2007年の目標は、新たに1,900万人を組織し、農民は最小でも1,000万人とすること。外資系と民営企業の組織率を70%に増やすこと。各レベルで企業組合活動条例を徹底して確実に執行すること等。
       また労働協約締結推進では、2006年末までに全国で新たに86.2万件、153.8万社、1億1,245万人をカバー。また、地域労働協約締結は、6.6万件、75.3万社、2,958.5万人をカバー。業界労働協約の締結は1.9万件、17.21万社、1,287万人をカバーする成果をあげた。専門事項の協約化についても、例えば、労働安全関連で、5.5万件、11.7万社、599.7万人をカバー。女性労働者権益保護関連は11.9万件、23.8万社、1,046万人をカバー。賃金関係、賃金項目関連は30.5万件、52.6万社、3,714.6万人をカバーしている。
    4. 労働紛争処理参加、法律相談サービス提供、労働関係の安定・調和の擁護。
       改革の進展に伴う労使間トラブルの顕在化は、2005年の争議仲裁委員会受理案件だけでも31.4万件、関係労働者は74.4万人、一部地域では争議が20%も激増。このうち、組合の努力で80%の労働争議が調停及び仲裁を通じ解決。2005年までに3万755件の争議案件受理、法律支援件数1万6,657件、法律相談は8万5,000件超えている。
    5. 外資企業の組織化。ウォルマート組織化における中国組合の取組み。
       1996年ウォルマートは正式に中国の小売市場に進出。現在、既に中国で30都市に40支店と2つの物流配送センター設置、従業員は3万人余。しかし、ウォルマート側の原因で2006年7月29日までは全くの未組織企業だった。2006年7月21日、ウォルマート晋江店の従業員30名は、泉州市総工会に組合結成申請書を提出。直ちに申請を許可し、上部組合団体の指導のもと、ウォルマートの中国初の労働組合を設立した。その後、各地支店の組合設立が相次ぎ、全国30都市・60支店すべての組織化が成った。現在組合員数6,000人、組織率は20%。
       ウォルマートにおける組織化活動成功は、ほかの未組外資系企業と、今まで拒否してきた外資系企業にとって大きな衝撃になっている。目下全国の外資、香港、台湾系企業は15.2万社あるが、組織化は、その中の4.5万企業で、大体30%の割合になっている。