1997年 中国の労働事情

1997年10月1日 講演録

中国における企業レベルの労働組合の役割(現状と課題)

白 立文
中華全国総工会国際連絡部部長補佐(日本処処長)

 

中華全国総工会の組織概要

 私たちの中華全国総工会は結成してもう既に72年になります。現在、私たちは1億300万人の組合員を組織しております。単組は約60万。省、市などの日本のローカルセンターにあたる組織は約31あります。産業別労働組合は16あります。ここで中国の労働組合の活動を説明するために、中国の労働関係の背景を紹介します。
 まずは、中国の労働者の数ですが、97年の6月末までの統計で、全国の賃金労働者の数は、これは国有企業に限っておりますが、1億4,671万5,000人です。昨年の統計では1億5,000万人に近いのですが、96年の6月と比べて約18万6,000人減少しました。これは、労働者がリストラされるとかで失業したことを反映していると思います。そのうち国有企業と集団所有制の企業の内訳は、国有企業の労働者は1億1,000万人強です。96年と比べて8万4,000人増えました。集団所有制の企業には約2,876万人います。ここでは、労働者の数は118万9,000人減少しました。自営業とか、その他のタイプの第三次産業などは、96年の同期と比べて91万人増えています。その他には郷鎮企業で働いている労働者、それから、外資系企業で働いている労働者、それらの労働者は、別枠で計算しています。今、中国で外資系企業で働いている労働者の数は約1,700万人います。郷鎮企業には2億人近い労働者がいまして、これら中国の労働者全体をあわせると、3億5,000万人ないし4億人近い労働者がおります。郷鎮企業では、労働組合はつくられておりませんので、私たちの労働組合の統計には入っておりません。

中国の雇用、労働条件

 まず雇用についてですが、97年の3月末までの統計では、失業者は563万3,000人。これは既に、日本でいうと職安ですが、中国で労働服務公司とか職業紹介所に登録している人数です。去年の同期と比べて6.3%増えています。統計では失業率は3.1%です。96年と比べて0.2ポイント増えています。3.1%の失業者の中では女性は特に多くて53.6%です。
 次は、賃金です。国家統計局の統計では、中国の労働者の賃金総額は、97年の1月から6月までで4,279隠元です。96年の同期と比べて9.9%増えています。そのうち国有企業の労働者の賃金総額は3,311.3億元で、集団所有制の事業体では584.5隠元。それぞれ96年の同期より9.9%と4.2%上昇しております。全国の労働者の平均賃金は、半年で2,904元。96年の同期よりは10.5%増えています。物価の上昇分を差し引いて、実際の賃上げ率は5.9%です。
 この3つの数字を皆さんに提供すれば、我々の労働組合の活動について理解していただけるのではないかと思います。

94年に新労働法を発表

 1994年に中国では新しい労働法を公布しました。そのため、ここ数年間、特に労働関係では非常に大きな変化が見られます。私はここで「労働関係」という概念を使いますが、中国では労働関係、労使関係、両方あります。国有企業はまだ労使関係ではありません。三資企業、外資系の企業では労使関係。そこの労働関係ですが、今までの労働者と国家の関係が急速に変化しまして、中国の労働関係はもう企業化、契約化、それから市場化、こういう方向へ変わってまいりました。もう労働者個人は直接国家と関係しなくなります。そういった労働関係に対応して、総工会は、1994年12月に第12固執行委員会を開催しまして、これからの中国の労働組合の活動の方針を議論して決定をしました。

総工会も労働者擁護に重点

 総工会では、労働法の発表、実施をきっかけとして、労働者の利益を全面的に擁護する機能を第一に置くという方針を決定しました。今、総工会は、(1)擁護の機能、(2)参与の機能、(3)建設の機能、(4)教育の機能の4つの機能をもっていますが、どちらかというと、これからは労働者の合法的な権益を擁護する機能に最大限に取り組まなければならない。そこで、私たちがまずとらねばならない措置は、平等に協商して集団労働協約を締結することです。これを総工会の活動の重点として取り組んでまいりました。この労働協約のことは、後でうちの団員が紹介すると思います。
 それから、指導方針についてですが、私たちはこれを決めてからずっとこの3年間、数多くのことに取り組んでまいりました。その活動は主に4つあります。

国有企業を積極的に改革

 1番目は、積極的に国有企業の改革に参加することです。最近、海外ではしばしば中国の国有企業が非常に話題になっております。15回大会で江沢民総書記も活動抱負の中で、「これから国有企業の所有体制に対して改革をする」と発言しています。非常に皆は注目していますが、私たちは、国有企業の改革に対して非常に積極的な態度をとっております。
 その1つは、民主監督と民主参加、民主管理、それに積極的に参加しています。特に、国有企業改革の中で、絶対に労働者の利益を損なうことがあってはならないと考えています。私たちは、労働者の利益を守らなければなりません。具体的には、総工会としてずっと中国で主張しているのは、中国の国有企業を改革するには労働者階級に依拠しなければなりません。労働者に依拠するというのは非常に抽象的ですが、具体的には、私たちは従業員代表大会という制度を通してこの総工会の主張、労働者の利益を守っていこう、擁護しようと考えています。特に、私たちはこれから従業員代表大会制度の中では、企業の行政幹部に対して、企業の管理側に対して民主監督―チェックをする。それから、民主評価、評定する、こういう制度をこれから全面的に導入しようと思います。おそらく来年から全面的に導入されると思います。
 つまり、企業の管理幹部に対して、必ず年に1回、全従業員による評価を行います。そして合格した幹部に対して表彰を行います。逆に、腐敗行為やブローカー的な行為を行う幹部に対しては厳しくチェックして、上級主幹団体の、主幹の部分に報告して適切な処理を行います。これが第1番目の民主監督に積極的に参加して、従業員代表大会制度をさらに整備していくということです。
 従業員代表大会という制度は、中国では導入されてから、既に20年以上の歴史がありますが、非常にうまく運営されているところは20%ぐらいです。20%は非常によくない。つまり、全てを工場長の判断で決めてしまい、労働者の発言は全然聞かないという会社があります。残りの50%ぐらいは一定のレベルで運営されています。中国にとっては、非常に有効な民主的な制度なので、総工会としては、これを、絶対に整備し、強化しなければいけない。これが第1番目の取り組みです。

外資系企業に労組を結成

 2番目の総工会の取り組みは、新しい経済組織の中で労働組合の組織をつくり、また、拡大することです。特に外資系企業では、私たちは労働組合をつくらなければならない。それは、中外合資法の中に一応書いてあります。しかし、会社の中には、なかなか労働組合をつくりたがらない、そういう会社もたくさんあります。私たちは、1996年から2000年までに、外資系企業で、三資企業で労働組合を90%以上つくっていく。そういう目標に取り組んでおります。この具体的な事情につきましては、ここに天津開発区の方がおりますので、私よりもっと詳しいでしょう。
 それから、郷鎮企業の中で労働組合をつくるかつくらないか、私たちは今検討しております。もともとなぜ組合がないかというと、彼らは農民だったからです。農村の余剰労働力が工業に移転して労働力になったという経過があります。しかし、現在では賃金を自分の生活源にしているので、もう明らかに労働者の性格を持っております。しかし、郷鎮企業は農村地域なので、主管は中国の農業関係なんです。ですから、これから総工会と農業関係で話をして、一日も早く労働組合をつくりたいと考えています。郷鎮企業の労働者がもし全部組織されましたら、中国の労働組合は世界一の大きな労働組合になります。これが第2番目の取り組みです。

平等協商、集団労働協約の締結

 3番目は、平等協商、集団労働協約を締結することです。そして、その協約を守らせるよう推進することです。国有企業では平等協商という言葉を使いますが、外資系の企業では団体交渉をもって労働協約を締結します。私の手元には労働協約の統計があります。1997年3月の末までに、労働協約を締結して、労働部門に届けた企業は約10万社あります。その全体の届け率が71%に達しております。中国の各地域では、労働協約の締結に対して届けを受けて審査、受理する機構を、今、大半のところができてはおりますが、まだできていないところもあります。全国で普及するようにしたいと思います。
 特に、総工会の主張では、労働者の利益を擁護するには労働協約が一番有力で、そして効果があると考えています。今回、私たちのチームが日本に参りまして、日本の団体交渉、労働協約、それから労使関係などをいろいろ勉強していますが、帰国したら、中国に持ち帰って自分の仕事の中に生かしたいと考えています。これが私たちが取り組んでいる3番目の活動です。

失業者への援助活動

 4番目の活動は、再就職のプロジェクトに積極的に取り組んでいくことです。これは温暖プロジェクトと結合してやっていきたいと思います。中国の総工会は、毎年お正月には、非常に困っている労働者に対して、助け合いの運動を行います。それを私たちは温暖を送るプロジェクトと言います。つまり、リストラされた労働者、また、賃金を支払えない企業の労働者、一部生活に困難のある労働者を私たちは助けています。いろいろ物資を援助したり、それから、お金も送ります。これは、全国で私たちが自分の組合の経費から捻出するだけでなく、社会全体から資金を調達しています。今まで連続3年間行った結果、社会から多大な評価を得ました。この3年間で私たちは、人民元で約10隠元以上の金を調達してプロジェクトを行いました。非常に困っている労働者を、私たちが慰問することで喜ばせることができました。しかし、これは一時的なものでしかありません。やはり彼らの職業の転換、再就職を助けなければなりません。再就職のプロジェクトにも総工会は積極的に取り組んでいます。
 1つは、労働組合のルートで職業あっせんをすること。例えば上海とか、それから北京、広州であっせんの事業を行っていますが、これは非常にうまくいっております。特に、上海ではリストラされた労働者を1年間で10万人も再就職させるという業績を上げました。もう一つは、再就職するための技能訓練に積極的に取り組んでいます。中華全国総工会は、全国各地に約2,000カ所のいろいろな教育施設を持っています。そこではここ数年間、失業者を訓練して、非常によい効果を上げています。また、職業転換のために約1,400万人ぐらいに訓練をほどこしています。
 以上が私たちが今、日頃取り組んでいる活動であります。
 先日、中国共産党第15同党大会が開かれまして、21世紀へ向けての方針が決定されました。それらを貫徹、実行するためには、また、いろいろな課題に対応するにはどのようなことをやればいいかと、97年12月に全国総工会の執行委員会が開かれて検討します。さらに、98年秋の大会に向けていろいろ準備を行います。

薛湘衡
中華全国総工会広東省総工会政策研究室主任

 

 広東省は、中国の南のほうの省の1つです。中国の市場経済改革・開放の政策は、広東省の経済にも大きな影響を与えておりまして、急速に発展しています。生産額は全国でもトップクラスに入っています。また、外資企業の導入と、海外からの投資を受け入れることでも全国でトップランクに入っております。既に登録された外資企業は6万社あります。全国の4分の1を占めております。市場経済の流れにのって、広東省は公有制を禁止しながら、多種類の経済方式をとって経済の発展に取り組んでおります。経済の構造も非常に変化しております。
 広東省の工業の枠組みは、国有企業、集団企業、それから、外資企業と3つの部分で形成されております。それで、非公有体制の企業が増えるにしたがって、総工会としていかに労働組合の利益を擁護するか、また、雇用を安定させるか、また、経済も発展させるか、という大きな問題に直面しております。

広東省総工会の組織概要

 広東省総工会は、中華全国総工会のローカルセンターです。21カ所の市クラスの総工会が設けられています。122カ所の県クラスの労働組合組織、26の産業別労働組合、4万カ所の末端組織を持っております。労働組合員は560万人です。広東省クラスの省の総工会の活動は、主に中華全国総工会が決めた組合活動方針にしたがって活動します。それは、市場経済が導入されるときに、総工会労働組合の擁護の機能を果たすことです。従業員の合法的な権益を擁護することです。省クラスの労働組合としてここ数年来の主な活動は以下のとおりです。

省総工会の主な活動

 1つは、法律の面で地方の立法と法律の作成に参画することです。広東省の人民代表大会と広東省の政治協商会議、また、広東省の政策決定委員会などに全て労働組合の代表が加入しております。1995年に、広東省の総工会が広東省政府の法律、政策方針の決定に参画した数は199件です。政府の改革・開放の政策の決定に参画したのは95件です。第2の主な活動は、政治・政策の研究と、また経済企画の決定に参画することです。それは、主に労働組合の活動の政策方針とか、これからの方向についての研究で、具体的に言えば、(1)労働組合組織の結成の促進、(2)民主的な監督機能、(3)民主管理、(4)生産の向上、に取り組んでおります。
 第3の活動は、団体交渉と労働協約の締結です。特に、団体交渉と労働協約の締結につきまして、1995年1月労働法施行以来、主な活動として取り組んでおります。特に、この方面につきましては、日本の労使関係、団体交渉と労働協約の締結について、いろいろと経験を学びたいと思います。中国の国情は日本と異なっておりますので、団体交渉と労働協約をするときはストライキは行いません。それは、主に国の立法と政策の決定に参加することを通じて行います。

合資企業での組合活動

 次は、具体的に説明するために1つのある合資企業の労働協約の締結の例を挙げて説明します。そうすることで、今の中国の合資企業の実情を理解していただけると思います。今まで、合資企業、外資企業で労働組合の活動を行うのは、国有企業よりはかなり困難でした。この合資企業は、松下電器産業と広州の万宝という会社との合弁企業です。会社の名称は「松下・万宝エアコン」というエアコンのコンプレッサーを製造する株式会社です。
 設立は1993年6月です。1994年8月に労働組合が結成されました。会社の2,000名の従業員は全員労働組合に加入しました。3年来、労働組合は従業員の権益を十分擁護しながら、また、経営者と一緒に会社の事業の発展ということを活動の方針として大きな成果を上げてきました。会社が設立されたばかりの頃、ある一部の従業員は賃金と労働条件のことについて不満があり、ストライキを行うような動きがあったんです。この事件は、労働組合と経営者側にショックを与えました。この事件があったことで、合弁企業で、合資企業で労働関係をどのように見るか、また、労使関係について重視されるようになりました。

松下の職場懇談会制度を模倣

 この事件があってから、労働組合は、積極的に労働条件のアンケート調査を行いました。また、日本の企業の団体交渉と労使協議制度を改定して企業内で、平等協商制度と団体交渉制度、また、労働協約を締結しようという提案をしました。これは日本側の経営者からも支持を得ました。それで、1995年5月に会社クラスの平等協商制度と、また、職場クラスの平等協商制度を確立しました。その後1年間を費やしていろいろな活動を体験しながら、さらに日本の松下が実行している職場懇談会という制度、やり方を参考にして、職場ごと、グループごとの懇談会という形をとりました。

協議会で定期的に意見交換

 それで、会社クラス、また、職場クラス、グループクラスの定期的な交渉制度をつくりました。会社クラスの協議制度は四半期ごとに行います。職場クラスの協議制度は2ヵ月ごとに行います。グループクラスの協議制度は1ヵ月ごとに行います。協議会では主に2つの点について協議します。まず最初に、お互いに現状を確認しあいます。経営者は会社の事業を報告します。また、労働組合のほうから労働者の生活とか、実情について報告します。
 続いて、双方とも関心を持つ賃金とか労働条件のことにつきまして、お互いに意見交換をします。この2年間は、労働組合と経営側で賃金、労働条件、福祉、生産計画、経営方式などについて、お互い意見交換を行ってきました。
 労働組合はまず職場委員を通して、グループの組長まで従業員の意見を聞いて、それをまとめて経営側のほうに提案します。提案して、また、会社クラスの協議会で検討します。それで、協議会が終わりましたら、決定された内容の実行についての監督の役割も果たします。
 また、労働組合から協議制度を通して、労働法に基づいて労働時間とか労働条件、安全衛生の環境、また福祉などの制度について、経営者側のほうに提案します。協議に5ヵ月を費やしましたが、1996年に労働協約を結びました。また、この労働協約の項目にサインするまでにはまだ従業員代表大会がありまして、そこで可決してから調印します。それで、平等協商制度と団体交渉という制度は、大きな成果を上げました。

評価された協議協商制度

 この会社の社長はこのように言いました。「もし、会社のシステムを、組織機構に例えれば、労働組合と経営側が1台の車の前輪と後輪です。2つの輪です。団体協議制度と平等協商制度は潤滑油と同じ役割です」。それで、協議協商制度は高く評価されました。
 この会社は投資してから、労働協約を結んだ翌年に700万元の利潤を上げました。これは日本円で1億円に相当します。その製品も日本のJISに認められました。また、この会社は、今年は広東省の双愛で、優秀な会社と評価されました。その双愛というのは双つの愛という字ですね。愛は、従業員は会社を愛しているということで、会社は従業員を愛しているという意味の双愛と言われます。また、双評というのがあります。それは、つまり製品は一番いいとか労働条件は一番いいとか、そういうことを評価しています。

王慶州
中華全国総工会遼寧省萌戸島市総工会副主席

 

市の総工会の活動

 1978年以来、中国の改革・開放が始まりまして、中国の経済は急速に、持続的に発展しました。中国の都市部の労働組合、市クラスの労働組合の活動もそれに従って大きく変化しました。労働組合は、社会・経済・政治の政策の中での役割もますます重要、活発になりました。総括すると、大体は以下のようにまとめることができると思います。

政策決定に参画

 まず第1番目は、マクロ的な参画です。つまり、末端組織を代表して、労働組合員を代表して、市クラスの行政部門の政策策定と、経営者側の企業の政策策定に参画することです。そのような活動を通じて、総体的に、労働者の利益を擁護することです。
 まず参画する前に準備を行います。企業と労働者大衆との交流、調査を行います。それに関する政策と、また、意見をよく研究して参画に備えます。また、参画のルートからいうと、人民代表大会と市クラスの人民代表大会と政治協商会議の各部、関係のある部分との連絡、調整を重視します。特に、関係のある会議の中で、従業員の利益を代表して意見を発表します。労働組合の主な指導者、要人、役員が改革・開放の重要な会議に参加して、そこで労組を代表する意見を発表して政策の策定に影響力を発揮します。
 その意見発表の主な内容は、雇用、それから、リストラされた、あるいは新しい社員の配置、それから、労働条件の保障という点から問題を提起します。問題提起はポイントをおさえて着実に行います。

社会的な課題にも取り組む

 第2番目の取り組んでいる活動は、社会問題に対する取り組みです。労働組合は、社会・経済の矛盾から生まれた組織です。労働組合がその役割を果たすのは、そうした問題を解決するからです。ここ数年は私たちの市の総工会も含めて、都会の市クラスの労働組合は、社会的な問題の解決に積極的に取り組んできたのです。主に、改革・開放というマクロの見方から発言して、改革・開放の中で労働者の利益を擁護する立場からその問題を解決することです。実際に問題を着実に解決して、役割を果たしてきました。特に、毎年2回ぐらい政府側と協議会を開きまして、市の中で、労働者のかかえている問題について検討します。
 また、三者労働規制を均一に整備したり、改善することで、また、いきなり起こる労働事件とか、また、社会で問題となっている労働に関係するトラブルの解決に参画することで、労働者の利益を擁護します。また、従業員法律服務センター(法律相談サービスセンター)をつくりまして、これらの組織を活用して労働者支援とか、アイデアの提案とか、そのような役割を果たします。

組織化と単組活動の指導

 第3番目の活動の内容は、末端組織の労働組合の活動を指導することです。その指導の仕事は主に4つの内容に分けることができます。

王慶州
中華全国総工会遼寧省萌戸島市総工会副主席

 

市の総工会の活動

 1978年以来、中国の改革・開放が始まりまして、中国の経済は急速に、持続的に発展しました。中国の都市部の労働組合、市クラスの労働組合の活動もそれに従って大きく変化しました。労働組合は、社会・経済・政治の政策の中での役割もますます重要、活発になりました。総括すると、大体は以下のようにまとめることができると思います。

政策決定に参画

 まず第1番目は、マクロ的な参画です。つまり、末端組織を代表して、労働組合員を代表して、市クラスの行政部門の政策策定と、経営者側の企業の政策策定に参画することです。そのような活動を通じて、総体的に、労働者の利益を擁護することです。
 まず参画する前に準備を行います。企業と労働者大衆との交流、調査を行います。それに関する政策と、また、意見をよく研究して参画に備えます。また、参画のルートからいうと、人民代表大会と市クラスの人民代表大会と政治協商会議の各部、関係のある部分との連絡、調整を重視します。特に、関係のある会議の中で、従業員の利益を代表して意見を発表します。労働組合の主な指導者、要人、役員が改革・開放の重要な会議に参加して、そこで労組を代表する意見を発表して政策の策定に影響力を発揮します。
 その意見発表の主な内容は、雇用、それから、リストラされた、あるいは新しい社員の配置、それから、労働条件の保障という点から問題を提起します。問題提起はポイントをおさえて着実に行います。

社会的な課題にも取り組む

 第2番目の取り組んでいる活動は、社会問題に対する取り組みです。労働組合は、社会・経済の矛盾から生まれた組織です。労働組合がその役割を果たすのは、そうした問題を解決するからです。ここ数年は私たちの市の総工会も含めて、都会の市クラスの労働組合は、社会的な問題の解決に積極的に取り組んできたのです。主に、改革・開放というマクロの見方から発言して、改革・開放の中で労働者の利益を擁護する立場からその問題を解決することです。実際に問題を着実に解決して、役割を果たしてきました。特に、毎年2回ぐらい政府側と協議会を開きまして、市の中で、労働者のかかえている問題について検討します。
 また、三者労働規制を均一に整備したり、改善することで、また、いきなり起こる労働事件とか、また、社会で問題となっている労働に関係するトラブルの解決に参画することで、労働者の利益を擁護します。また、従業員法律服務センター(法律相談サービスセンター)をつくりまして、これらの組織を活用して労働者支援とか、アイデアの提案とか、そのような役割を果たします。

組織化と単組活動の指導

 第3番目の活動の内容は、末端組織の労働組合の活動を指導することです。その指導の仕事は主に4つの内容に分けることができます。
 1つ目は、平等協商と団体交渉、労使協議制度をつくることです。末端組織の労働組合はなかなか提起しないんですけれども、時々、使用者側と労働者の労働条件、労働環境、賃金、または雇用問題について意見交換を行います。今は既に一つの制度として、もう習慣として各企業の中に定着しています。それからまた、団体交渉と労働協約の締結において、労働法に基づいて従業員の休暇、労働争議、賃金、労働条件、年金、それから厚生問題について協議します。我が市は、今、84%の企業で平等協商制度、労使協議制度を導入しました。
 2つ目は、民主管理の仕事です。末端組織の企業の中で従業員代表大会制度をつくりました。年に2回大会を開きます。従業員はこういう大会の中で、自分の提案する権利、審議する権利、監督する権利、また、可決の権利を十分に行使します。それによって企業の管理に参画します。特に、今では国有企業のリーダーシップの民主管理、民主監督の仕事を強化しております。毎年、中階層以上の指導幹部は、全員が従業員の評価を受けます。従業員代表の評価とか意見を聞きます。信任投票を行って信任の得票が60%以下の指導者はその場で即時罷免されます。それが、従業員代表大会の役割の重要さ、また、従業員の地位を確実なものにしています。
 3つ目の仕事のポイントは、従業員に利益を分配することです。例えば、住宅共済とか、消費共済とか、また、家族に利益をもたらす共済運動を行っています。
 4つ目は、労働組合の法律、監督制度の強化です。また、従業員に技術、技能の再訓練の活動を行います。そして従業員の自己保護能力を高めます。

市場経済に対応する組織に

 また、市クラスの労働組合の4番目の活動は、自身の改革と建設です。市場経済化に伴いまして、市クラスの労働組合の体制、方式、あり方につきましても、改善に取り組んでいます。新しい活動のルート、やり方、考え方をつくり、取り組んでいきます。それらの改革の方式とか、あり方とか、新しい情勢、状況に適応しながら行います。

中国共産党とも連携

 また、私は今、皆様に喜びをもって申し上げますが、中国共産党第15同党大会で中国の将来に対する方針が明確に決まりました。それは、中国労働組合に対しても大きな励みとして、今までにない機会を提供してくれました。例えば、郡小平の思想が一つの理論として提出されていまして、それは、中国労働組合の活動に思想的な指示を与えてくれました。所有制の構成も多元化してきています。さらに、一方に労働組合の性格をあらわします。それを按分分配という社会主義の原則をもととして、これからの社会主義、特色ある中国の方向性を明確にしました。
 労働組合は、これから労働者の利益を擁護することに対して、よりうまく役割を果たすことにとてもいい条件を提供しました。中国労働組合の活動もますます活発にできると信じております。

孫勝
中華全国総工会天津市経済技術開発区工会主席

 

開発区経済の発展

 私は、天津市経済開発区総工会からまいりました。天津市経済開発区は、我が国が初めて改革・開放政策をとった14カ所の区の中の一つです。1984年12月、正式に設立されました。この経済開発区は、外資企業と輸出を主とする開発区です。十数年の建設と努力によりまして、とても良好な投資の条件を提示しておりまして、今では2,000社の合資企業が開発区に参入しています。世界の60カ国と地域から外資企業が参入しています。その内、日本の企業は200社あります。投資国の中では第5位で、9%近くを占めています。日本のトヨタ、松下、三井などの会社は1,000万ドル以上投資しています。
 開発区の労働組合は1987年、正式に結成されました。総工会の結成は、中国の市場経済改革開放にしたがったものです。中国は市場経済化に力を入れており、総工会も開発区の総工会労働組合のほうも積極的にその流れに身を投じています。

開発区総工会の活動

 次は、開発区クラスの労働組合の活動で、労働者の利益擁護に関して紹介します。
 天津市の開発区は、世界の各国から集中して来る外資企業の開発区ということで、労働関係、労使関係もかなり複雑であります。労働組合として主な活動方針は、労働者の利益を擁護することです。1995年労働法施行以来、全国所轄の総工会の総体活動思想に基づいて、私たちも活動しています。主に以下の4つの活動に取り組んでいます。
 まずは、労働組合の幹部の養成・訓練です法律の知識を勉強させて、政策、法規の知識を身につけさせます。また、団体交渉のあり方について教育します。団体交渉と労働協紅の仕事をうまく進めるために、まず基礎を学んでもらいます。
 それから、第2番目は宣伝のことで、主に各クラスの労働組合の委員を通じて、労働者と経営側に労働法を宣伝します。より良好な世論をつくります。経営側と従業員にも理解を求めます。また、政府の労働部門とも共同してこうした活動を促進します。
 3番目は、労働協約の実行に対して民主的な監督の役割を果たし、強化することです。
 4番目は、労働協約を結んでからの仕事ですが、これは主に労働協約の実現と実行を保障します。

日本の会社で労働協約を締結

 次は1つの例を挙げて説明したいんですが天津の開発区で、初めて労働協約を結んだのは日本の企業です。日本の矢崎という会社の投資で、この会社の名前は天美です。主に、自動車のスピードを制限する機械を生産します。主に委託加工の工場です。1988年に完成し、その年の4月に生産が始まりました。そのときの投資総額は150万ドルで、2,000平米の工場を借りました。初めはたったの十数名の従業員でしたが、10年近くの発展を続けまして、今ではもう3,000名の従業員が働いています。職場はもう3万5,000平米になり、投資総額も3,000万ドルに増えました。この会社のトップクラスのリーダーはほとんど日本人で、管理職も日本人です。1988年の年末頃に労働組合を結成しました。労働組合の幹部は全部で9名ですが、全員専従ではありません。
 この会社は創業当時は労働争議も頻発しました。うまく解決しましたけれども、1995年労働法施行以来、この会社では労働組合のほうから先に平等協商制度と労使協議制度をつくりましょうと提案しました。これは企業の従業員自身の要求でもありました。

協約内容をめぐり交渉を重ねる

 まずは、企業の末端のほうから労働協約の見本をつくりました。この見本は、つくる前には経営側と労働組合側がお互いに意見交換を何回もして、見本の改正だけでも8回ぐらいしました。また、会社開業以来の労働制度につきまして、まとめる仕事もしました。その労働制度の中の一部分を労働法のとおり、要求のとおりに調整、改正を行いました。労働協約を結ぶ前には、労働組合側と経営側のほうから各8名ずつ代表を出しまして、交渉を行いました。4回ぐらい交渉しましたが、交渉は社長と委員長を中心に行われました。
 話のポイントは主に賃金、住宅、また昼食のことでした。双方が合意してから従業員代表大会に提起をして可決します。従業員は、これに対してとても積極的な態度を示し、サインをしました。労働協約の項目には、57個の意見を出しました。それを従業員代表大会で採決して、双方の合意の上で調印式を行いました。調印式は1995年11月10日で、社長はわざわざ日本から調印式に参加しました。

委員会で実行を監督

 労働協約の着実な実行を監督するために、経営側と労働組合のほうから各8名ずつ代表を出して、一つの監督委員会をつくりました。3ヵ月ごとに会議を開いて、発生したトラブルとか問題や実行してしないことについて協議します。労働協約を結んだ初期のころは何回もそのような協議を行いました。それによって、労働協約の実行について従業員は一応満足しました。
 無料の昼食は1996年2月から実施されました。また、年休も獲得しました。また、会社のほうも従業員の住宅の基準を決めました。それは、従業員の勤続年数とか、また年齢や役職によって会社のほうから従業員に最高15万元の融資を提供し、10年を期限として還金すればよいという制度です。
 そのほかに労働協約を会社側、経営者側が着実に実行していない場合は、監督委員会が経営者側と交渉を行います。例えば、パートタイマー従業員の社会保険を経営者側は初めは対応しませんでした。それで監督委員会で交渉を行ってその場で解決しました。

賃上げも要求し協議

 例えば、賃上げは、経営側と労働組合が一緒に協議するわけですが、中国の労働組合、特に、企業内の労働組合の従業員は賃金に一番関心を持っています。この問題がうまく解決できなければ従業員と対立してしまいます。そして、経営や企業の成長、生産に影響を与えます。
 現在、企業の労働協約には明確な決まりが書いてあります。企業の労働組合は従業員の代表者として、従業員の賃金については、労働賃金、物価上昇率、また政府のガイドラインに基づいて経営者側に要求を提出することができると書いてあります。今年の賃上げで経営者側が最初に示した数字は6.1%でした。労働組合は、国全体の経済の発展指数、それに関する資料、また、政府のほうから提出したガイドラインに基づいて、また、当企業の昨年の実績と今年の実績の予測に基づいて平均賃上げ11%の要求を提出しました。何回も協議して、また相談してから、最後にこの11%の賃上げの法案が決まりました。これで、労働組合として従業員の要求を十分に反映し、また、従業員の利益を擁護することができました。客観的には企業の発展にも役割を果たしました。

労働協約、団体交渉制度で成功

 この例から見ても、労働協約制度、団体交渉制度は労働組合員、従業員の利益を十分に擁護することができるとしみじみ感じました。労働争議の発生も減少しました。また、企業の経営者と従業員の積極性も引き出すことができました。そのことで、企業の発展にも役割を果たしました。企業内の労働組合の機能を果たすこと、また、活動のレベルを高めることもできました。労働組合は、企業内で収入を安定させ、企業の平和的な発展に大きな影響力を持つということを示しました。また、労働組合として労働者と経営側との間の理解、交流にも役に立ちました。
 以上、開発区の労働組合の活動を皆さんに紹介させていただきました。