2003年 ウズベキスタンの労働事情

2003年2月5日 講演録

ウズベキスタン労働組合連合(TUFU)
ラフバルハン ラフマノーワ

ウズベキスタン労働組合連合 国際局長

 

国内の状況

 ウズベキスタンはキルギス、カザフスタン、タジキスタン、アフガニスタンと国境を接していて、それが少なからぬ問題を引き起こしています。
 ウズベキスタンは、中央アジアでは人口が最大の国で、中央アジア人口の60%以上がウズベキスタン在住です。CISの中では、ロシア、ウクライナについで、3番目に人口の多い国です。2,500万人の人口で面積で割りますと、1平方キロメートルに54人という人口密度になります。人口は均等に国土に散らばっているわけではなく、60%以上の国民が農村地帯に住んでいます。高齢化で悩んでいる日本と違って、子供と未成年の人口比率が極めて高くて70%です。3分の2以上を青少年が占めています。性別で言いますと49%が男性、51%が女性です。さまざまな労組で女性数が問題になりますが、ウズベキスタン労働組合連合(TUFU)としては、女性数をカウントすることはしていません。女性委員会があり、政府ともその委員会を通じて協議を行っています。ただ言えることは、市場経済の移行期において女性は男性よりも市場経済に慣れるのが速かったと言えると思います。
 貿易高で言うと、主な貿易パートナーは、CISの中のロシアがトップです。ついで韓国が2番目です。その後はヨーロッパ諸国でトルコが続いていきます。全体としては66.3%がヨーロッパ諸国、アジア諸国とは5%超というところです。貿易高の約70%を先進諸国が占めていて、ウズベキスタンからの輸出品目は、木綿、天然ガス、石油化学製品、機械、野菜・果物の缶詰などです。先進国の貿易パートナーは、イギリス、ドイツ、日本、アメリカ、韓国、イタリア、その他です。
 ウズベキスタンの情勢は現在いい状況ではありません。市場経済に基づく民主主義的な市民社会をつくっていこうという移行期で、困難な時期にあります。
 人口の60%が、農村に住んでいて、そこには200万人の労働組合員がいます。旧ソ連時代には、木綿の単一栽培を行っていましたが、ソ連の崩壊で単一栽培では立ち行かなり、木綿から別の農作物に切りかえを行わなければならない状況にあります。それがなかなかうまくいきません。木綿を単一栽培していた時期に大量の農薬が土壌に散布されたことによって、土壌が汚染されていて、それが一つの大きな問題です。独立後、12年たちました。しかし依然として農村地帯に住んでいる人々は気の毒な立場に置かれています。どういった主義とか制度の下で暮らしていったら良いのか、何を目指せばいいのかということで、農民は危機的な状況に陥っていて、今後手を差し伸べなければなりません。
 1990年代初め以降、宗教的な原理主義、イスラム原理主義がはびこるようになり、プロパガンダを大々的に行うようになりました。その時期には労働組合も政府と協力して、そのようなプロパガンダに対抗することにしました。
 スイスは150年で豊かな国になりました。日本は戦後40年から50年かけて経済を発展させました。ウズベキスタンが今後立ち直るためには、どのくらいかかるのかわかりません。100年かかるのかもしれません。労働組合としても、頑張っていかなければならないと案がでています。

TUFUの活動

 ウズベキスタン労働組合連盟(TUFU)には、650万人の組合員がいます。15の産別組織が傘下に入っています。12の地方組織と、1つのカルパキアというアラル海に面した共和国の労働組合が入っています。それから、首都の労組が1つ入っています。約100の州レベルでの労働組合の委員会があり、5万8,000の単組が含まれています。
 労働組合員のモチベーションは、現在も高く保たれていると思います。社会保障的な政策を労働組合が取り扱っているからです。基金がまだあって、例えば予防診療所やサナトリウムなどの社会的な機関を労働組合が運営しています。去年、企業が持っている賃金支払いのファンドの1~2%が社会保障に割かれていましたが、今年はそれが0.7%に下がっています。
 TUFUは、ソーシャルパートナーシップに基づいて、協議を行なっています。パートナーとしては、もちろん政府、地方自治体、雇用者ですが、ウズベキスタンでは産業別組織と政府が一般合意文書(ゼネラル・アグリーメント)を交わすということをしています。この合意を通じて、政府や地方自治体、雇用者に対して労働組合が組合員をはじめとする労働者の利益保護の唯一の代表機関であるということを認識してもらっています。その合意を通じて、雇用者側は労働組合の合意を得ずに労働協約を破ることができないようにしています。
 労働協約の中で、非常に重要な位置を占めているのが、ジェンダーの問題、女性労働者の権利確保の問題です。子供の多い家庭の女性の場合は、労働時間が短縮されたり、それから54歳で年金生活に入ることができるという優遇措置がとられています。今、3歳以下の子供がいる女性の公務員に関しては、1週間で1時間の労働時間短縮を認めるという労働協約を提案しています。そういった状況の中で、労働協約の中で国際基準に合致した規定を国内でもつくっていこうという動きが見られています。ウズベキスタンは団体交渉の促進に関するILO条約を最近批准しました。TUFUと国際労働組合組織との関係では、傘下産別組織は、ICEM、UNI、EI、ITFに加盟しています。ここ2、3年はICFTUとの協力も強まり、今年は組合員のモチベーション上昇のためのセミナーを共同で開催する予定になっています。
 問題は山積しています。全部を列挙することは無理なのですが、ほかの旧ソ連の国々も同様だと思いますが、頭が痛いのが、賃金の未払いの問題です。先ほども言いましたが農村地帯は、賃金が5カ月も6カ月も未払いになって、賃金にかわって農産物による現物支給が行われたりしています。労組側からの要求によって、政府が特別に雇用者側に賃金を未払いすることに対する罰則に関して決定をしています。TUFUは、組合員に対する法律的な援助もしています。例えば不法に解雇された場合に、TUFUには法律問題のインスペクターがおり、国会にもオンブズマン、代表を送って政府とも、そういった問題を交渉しています。ILO条約のうち、11の条約が既に批准されており、基本条約では5つが批准されています。
 TUFUが頭を痛めている1番の問題は、多国籍合弁企業の労働組合をどうするかということです。これは他のCIS諸国とも、意見交換、情報交換をしていく余地があると思います。あと1つ大きな問題を挙げるとすれば、労働組合の人材育成の問題です。これに関してはJILAFが研修で我々を受け入れてくださっていることに大いに感謝したいと思います。この研修を受けた人が国に帰って、労働組合の人材育成に貢献しています。先ほどドミトリーさんが労働組合幹部の高齢化問題に言及されましたが、ウズベキスタンでも状況は同じで、年とった幹部は頭がかたいですし、かと言って頭の柔らかいはずのメンバーは経験がありませんから、やはり研修が大切になってくると思います。ウズベキスタンでは研修センターをつくって、もうすぐ稼働することになっています。