2001年 ウズベキスタンの労働事情

2001年2月7日 講演録

ウズベキスタン労働組合連合(TUFU)
イナシルホンアクバロフ

シルダリャ州労働組合評議会委員長

 

国内の状況

 ソ連邦崩壊後いろいろな新しい独立国が誕生しましたが、そのうちの1つが私たちのウズベキスタン共和国です。
 独立後、政治・社会体制も大きく変わり、市場経済への移行という全分野の改革がなされ、それが労働組合の活動に対しても大きな影響を与えています。労働組合としても今までの伝統的なやり方では今後うまくいかないという判断のもと、新しい体制を組もうとしています。世界各国の豊かな経験を学ぶことは私たちに非常に役立っています。そのおかげで私たちは既に多くのことをなし遂げることができましたし、労働組合の体制を維持でき、また、労働組合の立場を労働者にとって確固たるものにすることができました。
 憲法第34条に、ウズベキスタン国民は労働組合を結成する団結権と団体行動権を持っているとうたわれています。憲法第59条には労働組合は労働者の経済的権利、利益を代表し、守っていくものであるとうたわれています。また、新しく採択された労働組合法もあります。この労働組合法によると、新しく労働組合がきちんと独立した形で団体行動を行うことができる、そしてその権限が保障されることになっています。
 これらの憲法や、ほかの法律にのっとり労働組合としても独自のすばらしい戦略、戦術を採択することができました。これにより、労働者の社会的、経済的な利益、重要な権利を保護できていますし、また、新しい市場経済の中で労働者の新しい権利を保護する方向に活動が進められています。とはいえ、必ずしもすべての問題が解決されているわけではありません。そのためにも先進国のいろいろな経験を学びながら今後の労働組合の活動に生かしていきたいと思います。
 この市場経済移行期にあって、労働組合の中で最も重要な活動は雇用を確保していくということです。また、政府との協力の上でさまざまな問題を解決しながら、徐々に国内の社会的、政治的安定を確保してきているのではないかと思います。
 政府とウズベキスタン労働組合連合との間で締結された同意書を基に経済改革、社会的なインフラ整備、また労働者の権利、利益を守ることを両者で協力しながら進めています。
 私どもの国はまだ独立して間もない国ですが、大統領のイスラム・カリモフを中心に労働組合としての活動を進めています。まず国家の社会保障を確立していくこと、また、すでに確立されている労使の協力関係の中で企業再編成も進められています。先ほどの同意書の中に、労働者の生活に必要な条件、特に農村部に住む労働者に必要な条件も規定されています。
 農村地域では、1999年に比べ自作農の数が1万2,700人増加し、4万1,700万になっていて、その結果、国の収入が支出を60億ドル超えています。国家予算支出のうち社会保障費の割合は35%以上、また、貿易黒字は5,140万ドルです。
 このような成果は決して国会で激しい論争をしたり、街頭で抗議集会を行った結果ではなく、東洋の哲学のもとで穏やかにお互いの話し合いを進め、相互信頼、相互理解を深めながら得られた結果だと思っています。そして達成された成果と、労働組合が国民の利益に合致しているのか、労働組合は強い地位を保っているのかというのはまた別の問題だと思っています。いずれにしても、ウズベキスタンの労働者の大部分がいろんな危機的な状況、問題があるため、労働組合を無視できないというのが現状です。これは決して意味がないわけではありません。労働組合を通して国が社会保障のために使っている金額が国内総生産の0.4%を占めており、今までの5年間に、労働組合所有の療養所、保養所等を利用したのは53万5,000人でした。予防診療所、治療所、保養所という予防を目的とした保養所を利用した人は70万5,000人にのぼります。また、夏の健康増進のためにキャンプ場を利用した子供は200万人です。このように勤労者とその家族の健康増進のためにも予算を約9,000万ドル使っています。これら、労働組合が所有している療養所や予防治療等を目的とした保養所等はウズベキスタン国内に230箇所あります。
 もう一つ、私どもの労働組合の重要な活動として、体育、スポーツの促進が挙げられます。また、そのほか社会的パートナーシップの促進のためにより多くの勤労者を組織化していく運動も行っています。産別組織では産別ごとに協約を結んでおり、各企業別レベルにおいても労働協約が結ばれています。
 我が国においては社会的パートナーシップの思想に関してはまだ始まったばかりで、新しく導入された概念と言えます。これを発展させていくためには技術的、社会的、経済的な問題、また国内における道徳、精神的な部分の改善も必要になると思います。
 始まったばかりといっても、それなりの成果を上げています。80年代の中旬、つまり、ウズベキスタンが正式に独立を果たすまでの6年間において、当時はまだ6,000件の協約しか結ばれていなかったわけですが、現在までに3万4,000件の労働協約が締結されています。この労働協約の対象者は600万人の労働者で、この数は労働組合員全体の85%です。
 労働組合員は、年間約1ドルの会費を払っています。一方で労働協約を通して労働組合員は、一般的にその何倍分ものサービスを受けているということが言えます。特に、通信部門ではこの3倍、燃料エネルギー部門では4倍、そして航空部門では7倍のサービスが受けられています。労働組合員であればいろんな特権があるということが組合員にとってのモチベーションになっていると思います。特に労働組合が所有している文化教育施設、体育スポーツ施設は労働組合員であれば無料で使用できます。

労働組合の活動

 議会を通しての活動がなければなかなか労働者を守るための法整備はできないので、労働組合出身の議員を出すなど具体的な政治活動をしています。労働組合のトップのリーダーが、国会には議員2名。労働組合の中堅幹部58名がそれぞれの地方議会で議員として活躍し、議会の中で積極的に活動しています。
 このように、労働組合が法整備に参加すると同時に、国会に対し約650件以上の提案、追加事項等を提出しています。もちろんこのような提案事項は直接に労働者の社会的、経済的な権利にかかわってくるもので、私たちのこういった活動が議会に対しても大きな影響を与えていると思います。また、議会を通し最終的には政策的にも大きく反映されていると言え、最大限、労働組合として自分たち組合員、労働者の権利を守るために議会を通し政策に影響を与えていきたいと考えています。

ウズベキスタンの産業

 現在、ウズベキスタンの人口は2,500万人です。ウズベキスタンの主な産業としては、綿花、石油、ガス、金、石炭、ウランそのほかの非鉄貴金属産業、軽工業、航空業、自動車産業、機械製造、化学産業もあります。ウズベキスタンはまだ若い国ですが、年々繁栄してきています。旧ソ連邦の中でもウズベキスタンは目立って成長している国だと思いますし、実質、生活レベルでも中央アジアの中では非常に高いレベルにあると思います。独立後の10年間で、ウズベキスタンの産業で完全に自給自足できるようになった分野は綿花生産、穀物生産、そして石油、航空部門、自動車産業です。また、外国からの投資額は現在合計100億ドルで、外資系の企業が3,500件以上あります。
 一例をあげると、私の出身のシルダリャ地域は、非常に豊かな地域でウズベキスタンの首都タシュケントから120キロ離れたところに位置し、比較的新しい都市ですが、既に30件以上の合弁企業、外資系企業が活動しています。私たちのこの地域は、農業的に豊かなオアシスと言えます。また、シルクロードが通った地域でもあります。私たちの地域では綿花栽培、穀物生産、ウリその他の野菜栽培、フルーツ栽培が行なわれています。また、畜産業も発展しています。シルダリャ水力発電所では中央アジアの電力の33%を供給しています。

社会・経済安定化のための政策

 社会・経済安定化のために積極的に政策が進められていて、さまざまな経済部門において安定化のきざしが見られます。社会的にも経済的にも積極的な改革が行われ、この5年間にいろんな形での助成金の見直しが8回なされ、最低賃金は17.5%上昇しています。また、社会的に弱い立場に置かれている人たちに対する物質的援助が行われ、その金額は6億1,800万ドルに昇ります。具体的な援助としては、子供が1人以上いる家庭、100万家庭に対して恒常的な物質的援助、また46万の低所得家庭に対する援助、また子供が2人以上いる勤労者に対しても援助が常になされています。これはウズベキスタン共和国としても積極的に社会政策がなされている証拠だと思います。