1999年 ウズベキスタンの労働事情

1999年2月10日 講演録

マフムジョン・ムミノヴィッチ・ラスーロフ
ウズベキスタン労働組合連合 第一副委員長

 

ウズベキスタンの社会変化

 ウズベキスタン共和国が独立を果たして以来、既に8年目になります。この短期間に国内では、社会的・経済的にさまざまな変化がありました。
 まず、自国通貨制度を導入し、農民に対して土地の所有権を与えたということです。100万ヘクタールが農民の所有となり、その結果、農産物が非常にふえてきました。また、大衆消費財をつくる工場がふえ、航空関係また自動車関係の産業が整備されてきました。
 しかし、一番大事なことは、旧ソ連邦の国々が直面をしているさまざまな問題を、ウズベキスタンとしては回避できたということです。わが国は多民族国家ですが、民族間の友好的な関係というものが構築されており、これこそが、我が国の基礎となっています。先に述べましたような国内の改革は、カリモフ大統領の政策によるところが大きいと言えます。
 政府は、この改革に際して、極端な行動は避けるという政策をとっており、順を追って、一つ一つ調整を図りながら進めていくという主義で臨んでいます。労働組合にとっても、それは社会的な安定を築く大事な要因になっています。従って、労働組合としても、労働者の社会的権利を守り、社会的パートナーシップに基づいて活動を行っています。

労働組合の変化

 現在、労働組合は、はっきりとした法的なステータスを獲得して、国家、政府、そして経営者、そのほか政治的また社会的さまざまな団体との相互関係を法律に則って築いています。そのような流れの中で労働組合の役割に関しても、変化が出てきています。今までなかったような権利がきちんと認められるようになりました。団結権に関しては、憲法第34条に明記され、活動するに当たり、国からの妨害を受けたり、政党から介入を受けるということはありません。つまり、きちんと独立した活動が行われるようになったということです。
 このような労働組合の法的なステータスということに関しては、「労働組合と、またその活動に関する権限と保障に関する法律」でも定められています。また、労働組合の構造も変わり、相互の信頼関係、民主主義、また、独立性、自主性を基本的な組織の基礎としています。
 現在、傘下に15の産別組織、14の地域別組織、そして738の地区・市町村レベルの組織、それから102の各州に置かれている委員会があり、6万の単位組織で構成されています。組合員は、730万人です。活動費は、給料の1%にあたる組合費で賄っています。
 労働組合は、ほとんどの経済活動を行う団体ですが、例外としては、国レベルで防衛庁、内務省、その他の行政機関になっています。特に、大きな課題となってるのは、海外との合弁企業や、新しい中小企業が労働組合を結成していくことが大変難しくなってきていることです。

ウズベキスタンの労働事情

 労働組合としての一番大切な課題は、労働者の権利と社会的保障を確保していくことであり、そのために、法案をつくる際にも、きちんと参加をしていくということです。
 例えば、国会でさまざまな法案が審議されますが、その際、労働者の社会的な保障に関係するような法案が審議される際には、組合の専門家があらかじめいろいろな提案事項を提出するようになっています。我がウズベキスタン労働組合連合(TUFU)の会長は国会の議員であり、特に、全国民に関係するような法案が審議されているときには、労働組合として最も積極的に参加をしています。もうすでに採択されましたが労働法に関しては、最も力を注ぎ、積極的に審議に参加をしてきました。その労働法の変更、また変更に関する提案事項ということで1,000件ぐらいの提案をしました。
 その結果、現在、きちんとした労働法が採択をされており、労働者の利益を守り、賃金などの労働条件を守り、また雇用を守り、そして社会保障を維持するような法律になっています。
 失業率に関しては、残念ながら、上昇傾向にあります。失業者を減らすため最大限の努力をしていますが、公的なデータでは、4万人の失業者がいると言われています。
 この状況の中で、我々は特に労働者の再教育が大事だと考えています。市場経済導入という全く新しいシステムに移行することにとまどっている人が多いため、新たな職業に就けるように、再教育をする必要があります。
 この点に関して、我々は日本の経済発展、経済復興の歩みを学んでおり、特に、中小企業の発展ということに力を注いています。
 ここでまた、労働法に関して話を戻しますが、この労働法により、労働者に対し、団体交渉権また労働協約を結ぶ権利がきちんと保障されています。
 この改革の中にあって、きちんと状況をコントロールし、また先を見通せることが労働者の権利を守る道を築いていると思っています。この点で、ウズベキスタンは、国レベルで結ぶ総合協定、産業別で結ぶ協約・協定、それから地域別に結ぶ協定をつくって対応しています。
 また、各企業、団体においても、直接経営者と労働組合との間で労働協約を結んでいます。日本で春闘が行われているのと同じように、この労働協約を結ぶべく、話し合い、論議がなされており、おそらく2月の末ぐらいには解決がつくのではないかと思っています。

ウズベキスタンの経済事情

 経済の状況ですが、企業全体の80%が民間部門で、人口の約3分の2が民間の企業等で仕事をしています。現在、重視されているのは、三者主義にのっとり、話し合いをし、経営者そして雇用者側からの義務を定めるということです。
 具体的な例をあげますと、生産性の向上、効果的な生産を行うことや、会社で得た利益をどう分配していくかというプロセスに、労働者も参加をしていくということです。安全な労働条件、社会的インフラの発展、また、この改革の時期にあっての社会的保障、また、自己所有権の変更、企業の倒産ということに関して今後の変更、その措置に対して注意が払われています。
 今、経済がグローバル化しており、多国籍企業が設立されています。そうした背景に、今後の労働組合の活動としては、多国籍企業で働く労働者の権利、利益の保障を守っていくことだと思っています。外資系企業では、労働組合を組織し、労働者の権利を守るということが難しいため、組織化を図るよう努力しています。
 近年、ILO条約の、我が国の批准数は11でした。
 我が国の状況は、少しずつ安定化していると思います。今までは生産が一時低下するということがありましたが、少しずつ上向きになってきています。
 1998年の最初の9ヵ月間は、国内総生産が昨年度の同時期に比べて104.4%増になっています。そして、国内総生産のうち65%以上は、いわゆる民間部門で生産されたものになっています。産業の生産高も向上し、農業部門でも向上しています。また投資額もふえ、小売・サービス部門に関しても成長が見られています。
 1998年に「家庭の年」が宣言されました。家族の繁栄こそが国の繁栄につながるという方針です。労働組合も、それにのっとり家庭における社会的な保障・権利を守るプログラムを策定し、実現をしてきました6家族の関係、母子の権利を守るといった措置、また、収入をふやし、教育レベルの向上、そして雇用を高めることです。つまりは、家族一人一人が精神的に豊かな生活ができるようにという、プログラムを実施してきました。
 1999年は、「女性の年」と宣言されています。労働組合として、国会に女性のための権利を向上させる提案をしており、女性の労働時間の削減、勤労女性に対するさまざまな特典、そのほか女性のための権利を保障するような提案をしました。「女性の年」のために、国の政策のうち30%が、労働組合が提案した内容になっています。
 ウズベキスタンが独立を果たして以来、特に大事なことは、国際関係を発展させていくということでありました。私ども労働組合としても、海外組織との交流を深め、海外での労働組合の活動経験を学んでいきたいと考えています。既に40カ国以上のナショナルセンターとの二国間関係を結んできており、ICFTUとの関係もだんだん深まってきていますし。また、ILOとの関係も進み、大会には毎年ウズベキスタンの代表も参加をしています。