2009年 モンゴルの労働事情

2009年9月29日 講演録

モンゴル労働組合連盟(CMTU)
ズルク・プンザックドルジ(Ms. Zulkhuu Puntsagdorji)

CMTU国際協力局専門委員

 

1.労働情勢

 新しい職業安全保障法が、2008年に議会で採択された。この法律の起草作業にCMTUは関与してきた。最近の労働関係データは、次の通り。労働人口約168万人、就業者約104万人、2009年8月現在の登録失業者40,500人(2.8%)、最低賃金642.85トゥグルグ(時間給)、108,000トゥグルグ(月給)。

2.現在直面している課題

 不況により失業者が増大している。仕事の削減や操業停止の企業もある。登録失業者は、前期比27.9%増の8,824人にのぼっている。賃金は、物価が上がっているが、官も民も凍結されている。政府は、2010年まで賃上げはしないとしている。
 インフォーマル部門において労働者の権利と利益が侵害されている。最低賃金以下の賃金支給がその代表例である。

3.課題解決に向けた取り組み

 社会保険関連法の一部改正についても政府はCMTUと連携して法案作成をすすめている。また、三者間紛争解決委員会の法的環境を強化するために労働裁判所の設立を目標としている。CMTUは労使紛争即時解決に関する三者構成会議の設立に参画した。2007年~2008年の労働と社会的合意に関する三者協議に参加してきた。同委員会は、21県、35郡とウランバートルの8地区に設けられている。2009年8月現在、委員会が受け付けた紛争は151件であった。委員会に持ち込まれたケースは、80%が解雇に関するするもの、10%が賃金にかかわる問題であった。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 労働運動と政府との関係は、労働社会問題に関する三者協議制により労働と社会に関する全国三者協議委員会を形成している。次のような委員会が設けられている。社会保険に関する全国評議会、雇用に関する評議会、産業労働安全委員会、賃金問題に関する委員会、国際労働基準に関する委員会、健康保険委員会、HIV/AIDS委員会。

5.多国籍企業

 多数の外資が特に鉱山部門で操業している。金と銅を採掘しているカナダ資本のボロ・ゴールド社では630人の従業員のうち500人が組合に加入、CMTUに加盟している。集団的労使紛争は2009年6月に解決をみた。

6.ジェンダー問題の取り組み

 給与の高い開発部門で女性が減少している。反対に、教育、保健、軽工業などの低賃金部門で女性労働者が増えている。統計によると、男女の賃金格差は過去3年間で3万~5万トゥグルグに達している。女性の失業期間が男性より長期で、特に若い女性が多い。職場でのセクハラとして管理レベルへの女性の参加が公平に行われていない。求人広告におけるイデオロギー、年齢、容姿による差別がある。これらの問題に取り組むためにCMTU女性委員会は、組合員だけでなく一般市民を含めた男女平等運動をすすめている。

2009年6月16日 講演録

モンゴル労働組合連盟(CMTU)
ムンク・エーデン・ドルジビャンバー (Mr. Munkh-Erdene Dorjbyamba)

ウムヌゴビ県労働組合連盟会長
CMTU青年委員会委員

 

一般的な事情

 モンゴルでは1990年に自由な市場経済制度が導入された。それ以来、私企業が拡大し、新しい市場制度が確立した。2007年現在労働年齢人口は164万2,200人で、今年は1.4%増加すると予想されている。
 1990年まで民間部門はGDPの約10%を占めるに過ぎなかったが、2007年には76%を占めるに至った。全労働力の75.1%は民間部門で雇用されている。一方でインフォーマルセクターが拡大している。

労働組合が直面する課題

社会保険:モンゴル労働組合連盟(CMTU)は、政府が、本来は年金基金個人勘定に入れるべきである社会保険基金から借入している負債の総額の計算を終了した。CMTUは政府に対して、社会保険基金から借入している負債の返済計画を策定するよう要請した。
賃金引き上げ:グローバルな経済不況のために、官民双方の使用者は雇用を削減、賃金を引き下げ、生産財・消費財の価格を引き上げるなど新たな問題を引き起こした。
労働法の不十分な実施:労働者や労働組合員の利益に反する不正行為が職場で拡大している。労働組合員に対する優遇措置が欠けている。

課題を解決するための活動

  • 上記した課題に関連してCMTUは労働・社会福祉省とモンゴル経営者団体に声明書を送り、「2007-2008労働と社会的コンセンサスに関する全国3者協定」の実施状況を査定し、2009年6月に締結予定の2009-2010の次回全国3者協定の準備を開始するよう他の社会パートナーに要請した。
  • 電力規制機関(Power Regulating Agent)が打ち出した電力および暖房費の25%から35%の突然の値上げ提案に関して、CMTUは記者会見を行い、政府に要求書を提出した。CMTUの行動の結果、政府は回答の中で、次の3、4ヶ月間はこれらの値上げは行わないと発表した。
  • CMTUは、現在の金融経済不況に沿って公務員の賃金を20-30%引き下げるという政府提案に関して、政府および国会に抗議書を送った。

CMTUと政府との関係

 1992年以来、CMTU、モンゴル経営者団体、政府の三者は「労働・社会的コンセンサス全国3者協定」を締結してきた。07-08全国三者協定は2007年10月に締結された。CMTUはその改定を提案し、改定提案は三者で共通の理解に達した。
 経済危機により資本財・消費財の価格が引き上げられた。この非常事態に関して、CMTUは07-08全国三者協定の実施状況を査定し新しい協定を打ち出すよう要請した。CMTUの提案内容は以下のとおりである。

  • 労働裁判所の設置について全国レベル、地域レベルで議論を開始すること。
  • 社会保険に関する法律案を提出し、議会で審議すること。
  • 経済危機の中で雇用を維持し、これまで改善されてきた労働者の社会的保護を損なうことなく、賃金、年金、その他の給付を引き上げること。
  • 「ディーセントワーク」を促進する6万人の新規雇用を創出し、それらを地域の開発計画と一致させること。
  • 2010には公務部門の賃金を40%引き上げ、2011には50%引き上げること。
  • 政府の社会保険基金への返済計画を2015年までに策定し、毎年8月までに国会に提出すること。予算措置がどのように行われたかを社会パートナーに通知すること。

モンゴルにおける外資系企業

 ウムヌゴビ県には鉱山部門で多くの外資系企業が操業している。例えばイヴァンホー鉱山モンゴリア・QGXモンゴリア、リオ・ティント、ランド・ドリル、南ゴビサンズ、ポロ資源、チンフヤ・マクなどである。金と石炭を採掘している。CMTUは特に安全衛生面と良い雇用の創出、賃金の改善に力を入れている。

  • CMTUはイヴァンホー鉱山モンゴリアと政府との間の投資協定に関する提案を政府および議会に提出した
  • ボロ金採掘会社は2004年以来モンゴルで操業し、15年操業の条件で政府と安定契約を結んだが、この企業は2009年6月に操業を中止しようとしている。労働者の抗議が4月15日に開始され、会社側が要求に譲歩しなかったので5月25日にストライキを敢行し、また6月2日には7人の労働者がハンガーストライキに入った。労働者は会社側に950万ドルの補償金を要求している。しかし会社側は拒否している。CMTUは注意を十分に払ってはいるが効果的に問題を解決できていない。