2003年 モンゴルの労働事情

2003年12月8日 講演録

モンゴル労働組合連盟(CMTU)
ガンボルド ツェンデー

フブスグル県労働組合連盟 会長

 

国内の状況及びCMTUの具体的な活動

 モンゴルでは、1990年に平和裡に民主革命が行われ、計画経済から多様な所有権を認める市場経済と多数政党制による国会、三権分立による体制を持つ国となりました。現在、モンゴルの政治状況は比較的安定しています。2000年の選挙で左翼政党であるモンゴル人民革命党が政権に返り咲きました。一方、モンゴル民族民主党、モンゴル民主新社会党、市民ゾリグ共和党が野党となりました。現在、2004年の国会議員選挙に向け、各党が活発に活動を展開しています。
 モンゴルが市場経済体制に移行して以来、モンゴル労働組合連盟(CMTU)は、ソーシャルパートナーシップの原則を踏まえ労使または政労使の二者、三者による活動を開始し実施しています。CMTUは、1990年から政府との間で、1992年からは政府と経営者統一連盟との間で社会的協議を行う協定を結びました。労働組合側の提案により、1991年4月26日に労働組合の権利についての法律が、当時の国会に当たるモンゴル国民小会議で可決成立しました。この法律により、モンゴルの労働者は労働組合を結成し、団体交渉を行い、ストライキを行う権利を保障されました。
 この法律の中で、初めて「ソーシャルパートナーシップ」という言葉が使われました。、この法律により、原則的に、政府、経営者側および労働者を代表するCMTUとの間に団体交渉を行う権利が保障されました。また、1991年の労働法には、労働協約を結び、権利の調整を行うことが示され、社会的協議においては平等に参加できるという保障を得ました。
 現在、労働法に従い、モンゴルでは企業と企業内労働組合とで労働協約が結ばれ、国や地方、地方自治体、地方の企業、産業別、専門業種では共同協定が結ばれています。協定は、5種類あります。一番目が、政労使間の協議を定めた三者協定です。2番目が、産業内三者協定で、担当省庁と使用者、産業別労働組合組織の協定です。3番目が、県知事、そのブロックの地域に関係する県知事、県別使用者団体、県別CMTUによる県別協定です。4番目が郡、市などの自治体、自治体の首長、使用者、CMTU地区組織による協定です。5番目が担当省庁、民間事業体、民間事業体労組連盟による協定です。共同協定の参加団体の数により、二者協定と三者協定に分かれています。労働協約の締結期間は最低1年、共同協定は最低2年です。
 2003年5月30日現在で、結ばれた協定の数は県レベルで22、郡レベルで210、首都圏で8、企業内組織で1,470、産業別組織レベルで11に上ります。CMTUの活動の基本は、これらの協定の定着に努めることにあります。
 CMTUは政府の様々な審議会で活動しています。92年から生産性国民審議会、94年、健康保険国民審議会、95年には社会保険国民審議会、労働安全衛生委員会、96年からは社会福祉国民審議会、97年からは技能専門教育問題担当委員会。99年に労働社会協議委員会、2001年には労働担当国民審議会、以上の審議会で活動しています。
 次は、ILO条約の批准について申し上げます。上記の審議会での活動により、いくつかのILO条約が批准されました。現在も審議会における活動を通じてILO条約批准のための準備がなされています。
 モンゴルでソーシャルパートナーシップの原則が取り入れられて10年余りになりました。この10年間で三者構成の原則を定着させることができたと思います。2002年から2003年に締結された国レベルの三者協定に示された内容の一部をご紹介します。
 第1章の2項で、国営工場、国営機関の構造改革を行い社会改革を行う場合には、政府は関係労使と協議し、それらの労働者の雇用、再訓練、社会保障の課題の計画を策定して実施すること、と規定しています。他の項で、水道、集中暖房など独占事業の料金に対し、国と第三者機関による監査、調整の制度を充実させることを規定しています。
 第2章では、賃金、社会保障の課題の中に、公務員の賃金を2002年に2段階方式で25%、2003年には2段階方式で30%、それぞれ引き上げること、また社会保険基金の年金、各給付金を2002年までに2段階で25%、2003年には2段階で30%増額することが規定されました。
 第4章の3項では、国家公務員法に追加改正を行う場合、国家公務員審議会のメンバーに労働組合の代表を参加させることを2003年中に決定することが唱われました。先ほども言いましたILOの条約批准のための課題を解決することも盛り込まれました。
 JILAFがCMTUと共同で行っている職場の安全衛生問題に関するPOSITIVEの研修が順調に実施されています。POSITIVEプロジェクトが順調に進んでいることを喜ばしく思っています。POSITIVEの研修は1998年から始まりました。2003年11月現在、全国22都県で合計22回行われております。