2006年 モルドバの労働事情

2006年2月1日 講演録

モルドバ労働組合一般連盟(CSRM)
ニナ・ズギバルツァ

モルドバ労働組合一般連盟国際局長

 

 モルドバ共和国労働一般連盟(CSRM)は、かつて存在した労働組合一般連盟が再編成され、新しいナショナル・センターとして結成された。規約に基づき産別組織を統合することになっており、現在、産別組織が9つ、そして地域組織がある。ICFTUには、1997年12月に正式加盟している。
 近年、経済改革が行われてきたが、期待した成果があがらず、労働組合として組合員の社会的、経済的問題をどのように擁護するかが課題となっている。労働者は生活の保障や向上がなく、社会保障もない、未来に確信がないという状況にある。CSRMとして、国の社会経済発展プログラム、経済計画、賃金や雇用、失業者支援等の法案作成に携わる中、具体的なデータ統計から成果が上がっていないことを実感している。
これらの状況では、わが国の経済システムが、労働者や国民全体の生活の質を向上させることはできないし、雇用問題・労働問題を解決する能力を持っていないと言える。
 逆に、国の経済改革が社会基盤を危機的な状況に追い込んだと言える。いまだに国民にとって低い生活水準、貧困が深刻な問題となっている。物価上昇率が賃上げ率を数倍上回り、それに加え、失業や移民問題が社会経済情勢を深刻化している。
 労働市場は、さまざまな経済改革が行われることにより、雇用慣行が大きく変化している。解雇問題、無給休暇の強制、失業保険を含めた社会保障も十分でない。若い労働力の外国への流出、移民が問題となっている。これは、労働力人口の減少や、労働力の高齢化を意味している。
 労働市場の特徴として、労働に見合った賃金が保障されず、ヤミ経済部門での就労人口が増え、ゆがんだ雇用形態がはびこっている。農業、保健、教育分野に低い賃金が見られ、非正規労働者が増えている。失業率は9.6%、昨年の失業者数は13万3千人となっている。
 賃金についていえば、2005年の民間企業の平均賃金は約81USドルで、最低生活費をわずかに上回っている。公務員の賃金は最低生活費と同じ、農業部門は64%にしかならない。そして賃金の遅配がある。
 企業は非正規労働者の雇用を進め、低賃金、低労働条件により、コストを下げている。
 CSRMとして、政府、関係省庁との積極的に対話交渉を重ねている。また、労働協約があっても、十分活用されていない。
 政府が労働組合の権利に関して、侵害を行っている。CSRMは、ILOに苦情を申し立てているし、ICFTUから調査団が派遣をしてきたが、現状はなんの効果も出ていない。
 CSRMは組合員の社会的、経済的保障のため、労働協約の強化をはじめとして、いろいろな問題を解決しなければならない。
 具体的には、賃金への国家補償の拡大や最低賃金の保障、公務員と民間の賃金格差の是正、社会保険、年金法の改正、ブルーカラーの定年引上げ反対、ヤミ経済の賃金の二重会計、申告等々の問題を抱えている。CSRMはこれから、社会的パートナーシップ関係の基盤づくり、使用者側との労働協約の締結等に力を入れていく。