2012年 カザフスタンの労働事情

2012年1月27日 講演録

カザフスタン労働組合連合(FTURK)
Ms. ニナ・オスマノヴァ・ツレウガリエヴナ
Ms. アイグリ・ムカシェーヴァ

 

1. 労働事情(全般)

 カザフスタンでは、15歳以上の労働人口は860万人に達している。そして就業者数は820万である。この就業者のうち雇用労働者は540万人で、自営業者は270万人である。現在の1人当たりGDPは、1万1,000ドルで、1人当たりの月の平均賃金は、ドル換算で600ドル、最低賃金は118ドルとなっている。
 現在、カザフスタンでは、政府による「経済・社会・文化の諸権利についての国際条約」の批准について、注目が高まっている。社会・労働分野の国内法規の改正も続いている。そしてカザフスタン共和国法の「国民の雇用について」に修正が加えられた。
 修正の1つ目は、「社会的雇用制度」の導入であり、この制度によって年金受給前の人々や障害者、近隣諸国からの移住者、21歳以下の若者などの雇用増加が見込まれる。
 修正の2つ目は、政府による雇用プログラム2020が2010年3月に承認されたことである。この主目的は、安定した有効雇用促進による国民所得水準の引き上げである。対象は自営業者、失業者および低所得者であり、2010年7月1日に実施された。具体的には、[1]職業教育とその後の就職斡旋、[2]農村での起業支援、[3]居住地に就職先あるいはビジネスの発展の展望がない場合、より良い地域への移住を提案、労働資源の移動を促すことである。2016年までに、150万人をこのプログラムの対象とする計画になっており、貧困層の割合を人口の6%まで減らし、失業率を5.5%以下に抑えることが掲げられている。
 現在、国会において、「カザフスタン共和国労働法の修正および追加」法案を作業部会が準備中であり、労働組合の代表は、この作業に積極的に参加している。

2.労働組合が現在直面している課題

 カザフスタンでは労働法規違反が続いており、国民の労働権が侵害されている。経営者は法律を知らないのではなく、意識的に法律違反を犯す。毎年、国家労働監督局だけで10万件以上の労働法規違反の事案を摘発している。そのうち5,000件は外資系企業の違反である。工場における死亡事故件数が増えており、私企業における未払い賃金総額も増えている。また、労働者の不法解雇や、職務が同じ外国人専門家とカザフスタン人労働者の賃金差別も数多い。現在、FTRUKは、ILO条約第26条「最低賃金額決定手続きの策定について」および第95条「賃金保護について」の批准を求めている。そして、これらの提案は、カザフスタン大統領直属の人権委員会の支持を得ている。

3.問題解決に向けての取り組み

 FTRUKの強い要求により、2009~20111年基本合意書に労働市場の調整や雇用確保、失業者数削減をめぐる労使双方の義務が盛り込まれた。労組が参加して、雇用創出と維持、技能向上、退職者の再訓練、労働移動の調整などを目的とした国民雇用プログラムが策定された。
 カザフスタンでは未だ労働者への賃金未払いや支払い遅延などの悪習慣が絶えない。そのため、国民の労働に対する憲法上の権利を擁護し、賃金支払いの遅延を許さず、労働権保護に関する法律の改正のために、FTRUKはカザフスタン最高検察庁との間で覚書を締結することを主唱した。2011年6月9日、FTRUKと最高検察庁との間で「協力に関する覚書」が調印された。その結果、今年9ヶ月間で未払い賃金が81億テング以上取り立てられ、146,000人の労働者の権利が守られた。

4.ナショナルセンターと政府の関係

 政府と労組は、建設的対話を行なっている。社会的パートナーシップ制度発展のために、基本合意書、部門合意書、地域合意書が締結され実施されている。その数は、中央レベルで19、地方レベルで14となっている。
 企業別労働組合における労働協約締結率は91.5%となっており、4年前に取り組み始めてから現在までに、53,000件の労働協約が締結されている。

5.多国籍企業の進出状況について

 カザフスタンでは、労使紛争防止や労使協議の実施に十分有効な制度が確立されていない。マンギスタウ州における石油ガス部門の複数の企業では、多数の労働法規違反が見られる。賃金制度や職務が同じ外国人労働者とカザフスタン人労働者の賃金不平等などについて、統一されたアプローチが欠如している。
 これらの問題について、昨年11月、労組のイニシアチブで、アトゥイラフ市において石油・金属産業労働者フォーラムが開催され、政府と焦眉の諸問題について協議した。この中で、石油産業労働者から提起された社会的問題を解決するために、労組は政府と協議を続けている。また、国会議員や国家機関の代表とともに、「集団労使協議及び紛争;その防止と調整方法」というテーマでの円卓会議開催も予定している。
 FTRUKは、今後も社会的紛争の防止、労働権侵害リスク管理システムの改善、労働安全衛生及び導入などの効果的な制度策定に関して、社会的パートナーたちと協議を続けていく。