2006年 カザフスタンの労働事情

2006年2月1日 講演録

カザフスタン労働組合連合(TUFK)
デニス・シュビン

カザフスタン労働組合連合情報・広報局上級専門員

 

 ソ連邦崩壊後、カザフスタンは、他国と違った状況にあった。かつて、ソ連邦は、工業の生産に関して、加盟国に対して分担生産体制をとっていた。その中でカザフスタンは豊富な天然資源の供給国であり、生産施設がほとんどなかった。
 1995年~1997年の市場経済移行期は、わが国にとって厳しい時期であった。多くのストライキや、反対、抗議行動が発生した。
 現在は、生産施設が完備され、石油、ガス、金、銀、鉛、クロム鉱等のアジア地域最大の輸出国になっている。
 また、この困難な移行期の中で、経済システムの改革が行われ、銀行、公共サービスシステム、補助金制度など、さまざまな優遇措置システムが改革の対象となり、国民は多くの困難を強いられた。しかし、今は、これらの改革が必要であったことは、誰もが認めている。
 世界の有名なメディアが認めていることだが、2006年には、アジアの経済のリーダーとなるのは、中国を抜いてカザフスタンであり、経済成長率は8.9%から9%になる予測している。
このような好調な経済成長を背景に、労働組合が直面している問題も、内容が変わってきた。以前は労働組合が解決するに値しないような問題や、解決できないような問題があったが、今は解決能力を持つようになっている。
 他の国も同様であるとは思うが、労働組合員数が実際より多く報告されている。労働組合に登録されている組合員数は、200万人となっているが、本当に組合員として活動している(数)とはいえない。
 労働組合が抱えている大きな問題は、現場のリーダーが、労働組合活動への関心が低い。ほとんどのリーダーが、年金を受け取る年齢に近いことである。世代交代が必要であるが、若い幹部が、労働組合に関する意識や知識を持たないまま労働組合の幹部となった場合、組合をまとめていけるかという問題もあり、これからの問題解決が必要となっている。
 現在、カザフスタンで採択されている労働関係や労働者の権利に関する法律というものは、かなり整備されている。ILO条約を含めた労働に関する関連法案は国会で積極的に議論され、採択されているが、それらの法律が現場で実施されているか、法律で決められている権利や、条件を労働者が獲得しているかは疑問であり、労働組合の活動としては不十分であると認識している。
 わが国の石油・ガス、鉄鋼分野が発展するにつれ、外国投資がかなり導入されてきたが、自国内において、世界的に労働組合からよい評価を受けている進出企業が、わが国内では評価を受けていないというのが現状である。
 カナダのハリケーン社は、労働組合との対立があり撤退したが、調査の結果、労働の権利の侵害があったことが明らかとなった。
 今、労働組合が取り組むべき課題は三つある。[1]労組幹部の高齢化にどう対応するか [2]労組幹部の活動(意欲)をどう高めるか [3]社会における労働組合の人気をどのように高めるかである。