2004年 カザフスタンの労働事情

2004年2月4日 講演録

カザフスタン労働組合連合(TUFK)
ジャンナ ジャントレウワ

カザフスタン労働組合連合 社会・経済安全・労働監査部 主任

 

国内の状況

 カザフスタンは、最近、独立12周年を祝いました。独立後の12年間のカザフスタンでの成果を幾つか紹介したいと思います。この12年間で、まずは自由な選挙が行われるようになりました。この選挙には、実質的に16の政党が参加をするようになりました。そのうち国会に議席を持っているのは4つの政党であります。次に新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等のマスコミは、その80%が民間になっております。議会は二院制がしかれるようになり、また独立した司法権が実行されるようになりました。
 カザフスタンという国の特徴は、寛容の精神ということがまず挙げられると思います。これは、民族の違いとか、または地域間の違いに基づく争いがないということで、非常に調和と協調が保たれている国であります。そういうこともありまして、8年前にカザフスタン民族会議が設立をされました。この民族会議は、民族に関係なく全国民の権利と自由をしっかり守っていこうという団体であります。
 実は国内には、120以上もの民族が住んでいます。宗教団体も3,500以上の団体が登録されています。これらの宗教団体は、40以上のさまざまな宗教、宗派を代表する組織です。
 昨年にカザフスタンでアジア諸国首脳会談を開催をすることができたのも、このような寛容の精神にのっとった国であるからだと思っております。
 また、4カ月前には世界宗教指導者会議を開催しました。2003年の秋に、国連のアナン事務総長がカザフスタンを訪問いたしましたが、そのときアナン事務総長から、カザフスタンはほかの国々にとって民族間の協調と安定の確固たる発展の手本と言えるだろうという言葉を頂戴しました。
 現在、民主化過程が積極的に進められておりますけれども、この過程を可能とする1つの組織として、大統領の諮問機関として市民社会の民主化と発展に関する提案作成のための会議が機能しております。この会議に参加している代表は、政党、労働組合、社会運動団体、または文化団体、宗教団体等のリーダーと国・政府機関の代表であります。この会議では、社会経済に関係のある重要な議題が取り上げられ、慎重に、かつ幅広く意見を取りまとめながら、政府に対して提案、助言を行っております。この会議に労働組合も積極的に参加しております。特に労働組合が力を入れている課題は、教育の近代化、労働法、また勤労女性に関わる問題で、積極的に労働組合としての意見を述べております。
 政治の安定は、投資環境整備の中でも極めて重要な条件の1つであります。5年ぐらい前までは、カザフスタンのGDPは、旧ソ連邦諸国の中でも9位から12位ぐらいの地位を占めていましたが、最近では、CIS諸国の中ではロシアに次いで2位を占めています。GDPを含めいろいろな発展を表す指標においても2位という地位を占めるようになりました。
 近年、カザフスタンは対外債務を解消しました。インフレ率も非常に下がり、6%から7%というレベルになっております。2003年になり、カザフスタン政府はカスピ海大陸棚開発プログラムというのを採択いたしました。この油田・ガスの開発は、海外からの投資を増やす要因にもなっております。独立後の海外からの直接投資が非常に伸びてきており合計で230億ドル以上にもなってきております。特にうれしいことは、ただ単に石油部門での収入が増えたというだけではなく、農業部門、また中小企業部門での所得が近年大きく増えていることであります。
 また、カザフスタンにおいては、いわゆる貧困、失業対策プログラムというのが策定されました。このプログラムの中でさまざまな措置がとられているのですが、それらの措置によりいわゆる低所得者と言われる人たちの人数が25%削減されました。そして、貧困レベル以下の非常に貧しい生活を強いられている人々の人数が半分に削減されました。

TUFKの活動方針

 カザフスタン労働組合連合(TUFK)について少々申し上げておきます。加盟しております産別組織は24組織です。地方組織が14あります加盟組合員総数は200万人強になっ。ております。
 TUFKは、選挙活動、また法案作成過程に深く関わっております。議会との協力関係も密接に保っております。議会の中に議員グループ「エンベック」というのを設立いたしました。この議員グループ「エンベック」というのは、もともと労働組合の出身の議員、もしくは労働組合を支持する議員から成り立っているわけですが、その数は議員の3分の1を占めております。このように、法案の作成・審議に積極的に参加をすることによりまして、労働者の権利を擁護・推進する法律をつくるために努力しております。
 その結果、採択された法律の中にはソーシャル・パートナーシップ法というのがあります。この法律をもとに、一般協定(general agreement)が毎年締結されているわけですが、この協定は、政府、経営者団体、労働者団体の三者で結ばれることになっておりまして、社会、経済に関するすべての課題を網羅した協定になっております。
 2003年には、24の産別組織のうち22の産別組織がこの一般協定を締結しました。そして地方組織は、すべてこの協定を地方レベルで締結しました。一方、企業別組織、いわゆる単位組織の場合には、その65%が労働協約を結ぶことができました。
 しかしながら、まだ様々な問題が残されています。単位組織が約2万ほど存在しますが、その中できちんと労働協約を結ぶことのできた組織というのは約1万3,000になっております。ということは、約7,000近くの単位組織ではまだ労働協約が結ばれていないということであります。これは、労働組合側が十分な活動を行っていないケースもあるかもしれませんが、基本的には経営者側がきちんと法律を守っていないということが言えるのではないかと思います。カザフスタンでは経営者は労働法に則り団体交渉を行い協約を結ばなければいけないと規定されておりますが、その規定をきちんと守っていない経営者がいるわけです。カザフスタンはILO条約を7条約批准をしておりまして、その中には団体交渉権を認めた第98号条約も含まれておりますので、それらに則って考えますと、十分に法律が履行されているとは言えないと思います。
 旧ソ連の諸国、NIS諸国の労働事情は、おそらく似通ったところがあると思います。そこで、まずはこのNIS諸国の労働組合同士の協力関係をさらに活発にしていきたい、協力関係を図っていきたいと思っております。もちろん旧ソ連邦の枠内だけにおさまらずに、国際協力として現在、既に中国、インド、デンマークといったような国々とも協力関係を持っておりますし、国際機関としてはILOとも協力関係を持っています。もちろん、このように既にここに招待していただいているように、日本とも協力関係を築いております。