2003年 カザフスタンの労働事情

2003年2月5日 講演録

カザフスタン労働組合連合(TUFK)
ハミドゥラ サギンディコフ

カザフスタン労働組合連合 組織・国際局長

 

TUFKの活動と活動方針

 カザフスタンンの国土面積は272万4,000平方キロメートルで、人口1,500万人です。カザフスタン労働組合連合(TUFK)は1990年に設立されて、傘下には25の産別労組と15の地方組織を含んでいます。現在の組合員数が230万人ですが、1990年当時は約700万人でした。
 1990年に設立されて以来12年間、TUFKとして、個々の産業別組織、地域別組織として活動するための新しい法的基盤がつくられてきました。
 この間に採択された基本的法律は1993年の労働組合法、96年の社会連合法、99年の労働法、そして2000年の社会的パートナーシップ法、その他の法律であります。連合規約によりますと、TUFKの主要課題は労働者及び労働組合員の社会、経済、労働上の諸権利の保護です。TUFKとしては、このような問題に対して、現在、国全体にかなりきちんとした労使関係が形成されて社会的な問題解決も可能になってきていると言えると考えています。
 国レベルでは、ソーシャルパートナーシップ法に則り全国三者構成委員会が機能しています。三者とはカザフ政府、労組の代表としてTUFKと自由労組連合、更に雇用者連合(カザフスタンには3つの経営者団体があって、まず雇用者連盟、企業家同盟、そしてユーラシア産業化連合)です。この三者委員会が採択する主要な文書が、向こう2、3年間、有効である基本合意書(ゼネラル・アグリーメント)です。産業別労組は、雇用者連合や関係省庁と共同で、部門別合意に調印します。それは二者、あるいは三者間で調印される文書です。例えば通信労組で言うと、全国レベルで雇用者となっているカザフテレコム、カザフカズポーチタという2つの企業と個別の合意文書に調印しています。
 地域レベルでいうと、ここでは例えば、州、あるいは地区のソーシャルパートナーシップ、三者委員会というのが形成されていて、その参加者は、地方自治体、それから労組、そして企業もしくは(雇用者団体)が入っています。こうしたソーシャルパートナーシップと呼ばれる三者の協議のメカニズムは、カザフスタンでは、短期間で簡単にできたわけではなく、1996年から97年などは、政府やその下部機関が労使関係づくりを拒否しました。そのような時期があって、労働組合側が厳しい要求を政府側、雇用者側に突きつけて関係が冷え込んだ時期がありましたが、2000年に、ソーシャルパートナーシップ法が採択されて以降は、安定した、しかるべき労使関係というものが保たれるようになってきました。2000年に、そのソーシャルパートナーシップ法が採択されたおかげで、現在の労使関係があると言えると思います。
 ここ数年の間に労働者の社会的経済的問題解決のために、TUFKとして何を達成してきたかということを簡単に申し上げます。1996年から97年にかけては、労使関係において非常に危機的な状況があって、賃金未払いの問題で、労組側から厳しい要求を雇用者側に突きつけました。賃金や年金の未払い問題は、TUFKの努力で現在では労働組合の会議では議題には上らなくなりました。国の経済が安定したことに伴って、賃金や年金、それから最低賃金のレベルの引き上げ要求、また、雇用の確保という要求ができるようになってきました。幾つか例を挙げますと、2002年には、公務員、主に教師と、それから医療従事者の賃金を20%から25%引き上げ成功しました。カザフスタンの国全体での平均月額賃金は2万2,000テンゲで、これを米ドルで換算しますと140ドルに当たります。失業者数も、大幅に減少しています。
 TUFKの主要な活動の1つに、立法活動への参加があります。現行法では、労働組合は法案を国会に提出する権限を持っていませんが、労働組合出身の国会議員が現在、9人います。そういう議員を通じて立法活動に参加しています。1999年に、9人の労働組合出身の議員を中心に、エンベック(労働)という議員グループを結成しました。現在では、労働組合の活動に賛同して支援してくれる22人の議員が、このグループに参加しています。この「労働」という名の議員グループを通、じて、過去2年半の間にTUFKとしては、60の社会分野の法案作成に参加しました。
 今まで達成したことを説明しましたが、まだ、これから解決しなければならない課題は多く、そのうちの2つを説明します。1999年に労働法が採択されて、使用者はその法律を悪用して3カ月、4カ月、5カ月などという短期間労働の労働者を雇用できるようになりました。使用者と労働者は短期契約を結びます。短期契約の場合は、労働者は例えば、年金基金の支払いもなく、休暇もなく、その他の社会保障なしで働かされることになります。TUFKとしては、現行の労働法の中の短期雇用契約締結を許可する条項を削除すべく、昨年の12月28日に法案を国会に提出しました。
 他のCIS諸国でも状況は同じだと思いますが、カザフスタンでは職場の労働安全に大きな問題を抱えています。労働組合は、その解決のための措置がとれないでいます。つまり、現行法では、労働組合はは労働安全を、社会的にコントロールする権限を持っていません。労働組合が、そういう権限を持てるようにする労働安全法案というものが、国会に提案されています。
 使用者が労組の権限を侵害しているという問題も個別に存在しています。最近は、外国企業によるカザフスタンの労働者の権利侵害の問題が起こってきています。例えば、カザフスタン人労働者の賃金は、外国人労働者の7分の1から、8分の1です。そのほかにも、労働組合組織づくりにかかわる問題、モチベーションの問題、産業別労組がまとまって模を拡大する問題など、まだまだ未解決の問題が残っています。