2000年 カザフスタンの労働事情

2000年2月8日 講演録

カザフスタン労働組合連合(TUFK)
カズベク・シャキロヴィチ・ヴァリエフ

東カザフスタン州連合委員長

 

新税制の採択

 カザフスタンにおける社会的、経済的、労働的状況に関しては、先ほど話されたアゼルバイジャンと似たような状況ですので、私のほうからは具体的に昨年1年間でどのような成果があったのか、またどのような活動を我が労働組合は行っているのかということについて話したいと思います。
 1999年4月1日に、政府のほうで新しい税制が採択されました。今までの古いものに変更が加えられたものですが、その新しい税制の中には、労働組合に対する物質的な援助に関してもうたわれています。
 例えば、この新しい税法では、労働組合員が労働組合に対し物理的な援助、例えば家族のための手当てが必要だと申し立てた場合、100の要求に対し、79は出され、残りの21に関しては税金として支払われることにしならなければならないという新しい法律がありました。
 それに対し労働組合としては、それは二重の課税になる、つまりきちんと給料をもらった際、その所得税を払っており、さらに税金を取るのは不当であると主張して断固反対しました。そして、私たちの意見は政府に受け入れられて、3月中旬にその部分に関しては排除されました。

年金問題

 もう一つ、旧ソ連邦の時代には、金属関係とか、鉱山のような、ある意味危険とされる職場で働いている労働者に対しては、通常よりも10年早く年金をもらえるようになるというような恩恵があったわけですが、そういったものをすべてなくすという政府の決定があり、労働組合は1年半にわたってその特典を復活すべく闘ってきました。平均して57歳まで結局は、非常にパラドックスな状況があった、危険なところで仕事をしている人たちは57歳まで働き、年金をもらえるのは63歳からとなっていましたが、今年1月1日から年金制度に変更が加えられて、危険な職場で10年以上仕事をした者は、53歳から年金がもらえるようになりました。

選挙活動

 それから、労働組合は選挙活動にも積極的に取り組みました。つまり政治活動、政治レベルでの活動も積極的に進めてきたということですが、これは国会レベル、全国レベルでも、また各地方議会に関しても行いました。選挙活動を行う目的は、自分たちの支持する議員を通して、労働組合の利益を守ろうということです。国政選挙のときには、36人、労働組合として推しましたが、そのうち9名が通り、25%の当選率でした。地方議会、例えば私がいる県においては4名推薦し、そのうち2名が通りました。
 それで、国会レベルでも、地方議会レベルにおいても、労働組合が推薦した議員がいます。国会レベルにおいては、77名の下院議員のうち16名がまず集まって労働組合グループをつくりました。つまり、労働組合の利益を守っていこうとするグループができたわけであり、このグループを通して、私たちの具体的な提案や計画プラン等を提出しており、現在比較的順調に通っていると言えます。

新しい労働法

 次に、2000年の1月1日から施行された労働法に関して簡単に話します。2000年1月1日に新しい労働法が採択されましたが、それまではいわゆるソ連邦の時代、カザフスタン・ソビエト連邦共和国だったときに採択をされた法律がまだ使われていましたですから、非常にパラドックス的だと思いますが、政治体制も変わり、所有の形態も変わり、今現在では95%の企業が民間企業になり、その中で労使関係も変わって、資本主義にのっとった経営活動が労使活動にも構築されるようになっていたにもかかわらず、古い法律がつい最近まで残っていたのです。
 実は、1994年に1度、政府のほうから新しい労使関係の構築に関する構想が出されましたが、労働組合はその構想を完璧に否定をしました。というのも、政府が出した構想は、95%あるいは98%、ほとんどが結局は使用者側の利益のみを守るような内容だったからです。この間6年、政府は、自分たちのこの構想にのっとって新しい労働法を採択しようと2度ほど試みましたが、労働組合の努力によって、そういった悪い政府の構想にのっとった法律は採択されずに済みました。これは、労働組合が自分たちの推した議員を通して働きかけたり、具体的に抗議活動を行ったり、最大限の努力をした結果です。
 特に、1999年5月、政府からこの労働法に関する法案が提出されたので、それに関し積極的に労働組合としての意見、また労働者の意見をさまざまなマスコミ等を通じて発表しました。この政府の法案に関しては、各地域レベルから政府に対する働きかけとなる抗議書が出されました。そのうち、私たち労働組合として提案をしてきた提案事項の具体的には70%が法律の中に組み込まれました。そして最終的には1999年12月に、国会で採択された新しい形は、基本的に労働組合が満足できるものとなりました。
 具体的に労働組合がどのような提案をし、反映されるようになったかという一例は、労働契約を結ぶ権利を認めさせたということです。政府が提出した法案の中では、労働契約に関しては一言も触れられていませんでしたが、最終的には使用者に対して義務づけられ、この新しい労働法にのっとって、使用者は必ず労働者と労働契約を結ばなければいけないことになっています。
 そしてもう1点、労働者に対し自由に労働組合に加入する権利が認められています。そしてもう1 つ、労働争議をどのように解決するかということですが、今までは何か解決できないことがあれば、裁判所に行くしかなかったわけですが、労働争議を解決するためにストライキを行うことや、労働組合の活動を通して、平和裏に解決していくということがうたわれました。
 また労働契約が結ばれた際、それがきちんと守られているかどうかを労働組合側が監督していくことになっています。また、この新しい労働法とは別に、1998年に労働組合の力によって、刑法の中の一環として、使用者側が不当労働行為を行った際には、刑事責任も問われるという項目を加えることができました。その中には例えば、使用者側が不当行為を行った際には、最低賃金レベルの100倍、もしくは自分の給料の700倍を払わなければならない、もしくは役職を5年間にわたって、とられるという処置もあります。
 また、労働組合の地位を向上させる項目が含まれています。そのほか、雇用者団体と労働組合の地域レベル、また産別組織の間において協約を結んで、個人レベルの労働条件がきちんと守られるように体制を組みました。
 このように労働組合の社会における地位が向上しているので、組合員でない人の労働組合に入ろうという意欲が増していると思います。特に組織率が高いのは金属関係で、95%の労働者が労働組合に入っています。