2015年 ジョージアの労働事情

2015年7月10日 講演録

ジョージア労働組合連合(GTUC)
ソピオ シェレギア

 

【非正規雇用の増加、インフォーマル問題、労働基本権の確立など課題も多い】

 ジョージアの主要産業は、農業、食品加工業、鉱業となっており、経済は2014年が実質4.8%の成長、2015年は実質で5%の成長を見込んでいる。同様に物価上昇率は2014年に3.1%、2015年は3.5%の上昇が見込まれている。
 2006年に『最低賃金法』が制定され、月額20ラリ(8ドル=約966円)と非常に低い額となっている。国家公務員の最低賃金は、月額135ラリ(50ドル=約6035円)となっており、実際には20ラリ(8ドル=約966円)という低額では生活ができない。
 政府の発表している公式統計では、ジョージアの労働力人口200万人のうち175万人が就業者で25万人が失業者(失業率12.4%)となっている。労働力人口200万人のうち110万人が自営業者(うち80%が自営農)で、雇用契約を結んだ雇用労働者は69万2000人にとどまっている。
 ジョージアでは、不安定雇用である非正規雇用が増加しており、問題となっているが、非正規雇用に関する公式データはない。しかし、ある専門家の調査によると非正規労働者の割合は50%以上となっており、失業率も35%以上と見ている。非正規雇用労働者は労働組合にまったく加盟していないわけではない。例えば自営業者の労働組合があり、そこは国際組織のStreet Netに参加している。このほか輸送道路労働組合と建築・建設・林業労働組合は、同業者による産別組織を持っていないタクシー運転手や、建設労働者などを産別組織に組織化しようとしている。我々にとって幸いなことは、ILOが今年の総会で、新しい労働基準を採択し、それは勧告204号「インフォーマルからフォーマル経済への移行」というもので、我々労働組合としてはこの勧告を政府、雇用者との交渉の席に利用していくことを考えている。
 ジョージアの自営業者の大部分が自営農で、家族経営で製品の生産は販売や利益を目的としているわけではなく、自家用に作っている人たちである。我々ナショナルセンターは、このような自営農の人たちを組織化するのが難しいため、自営農者に対しては、事業を拡大し、複数の農家が集まって協同組合型の企業を設立するようアドバイス等を行っている。こうしたアドバイスが、生産性を高めフォーマル経済に近づける唯一の手段であり、支援と考えている。
 ジョージアの労働組合が抱えている問題は、[1]労働法改正問題、[2]労働時間と超過勤務に対する手当の問題、[3]青年の雇用と女性の労働安全衛生問題、[4]労働監督署の廃止問題、[5]社会対話の強化問題、[6]団結権と団体交渉権の制限問題――などである。
 2013年に労働法に複数の重要な修正が加えられた。これは非常に不十分なものであり、ストの手続きなどが非常に不適切に規定されており、多くの部分でストの実施が不法に制限されている。
 さらに、労働時間と超過勤務に対する手当の問題や、青年の雇用と女性の労働安全衛生の問題などがある。労働時間と超過勤務に対する手当の問題は、GTUCから憲法裁判所に提訴中で、現在審理結果を待っている状況にある。青年・女性問題については、このテーマでさまざまなプロジェクトを実施するとともに、国際的なパートナー機関とも協力して解決策を模索している。
 以前は、労働監督局が設置されていたが、2006年に廃止されてしまった。我々は、これを復活させることをめざしている。このため、我々労働組合は複数の国際パートナー機関とともに政府へ圧力をかけ、ようやく労働省の中に労働監督部が設置された。しかし、まだ権限も弱く、効果的な仕事とはなっていない。
 社会対話の強化は、非常に重要な問題である。社会対話は産業別レベル、地域レベル、色々あるが、今後我々が強化していくべき制度である。ジョージアには、政労使による三者委員会がある。首相が取りまとめ役として設立したが、設立後2年間で1度しか会議が開かれていない。
 団結権と団体交渉権の制限の問題では、労働組合活動家に対して、解雇を含めたさまざまな迫害が民間、国営企業を問わず行われている。我々は、憲法裁判所、ILO、ヨーロッパ社会憲章委員会など、さまざまな国際機関の協力を得て、この問題を解決しようと考えている。この闘いでは、ストや抗議行動に出ることもある。政府に対しては、EUとの連合条約調印の際に、ジョージアが国内で必要な改革を行うとの約束をしているので、その義務を履行するように要請しつつ、労働組合の正当な権利を守るため運動を進めていく。

*1ドル=120.70円(2015年10月27日現在)