2013年 グルジアの労働事情

2013年11月15日 講演録

グルジア労働組合総連合(GTUC)
イリア ベルザーゼ(Mr. Ilia Verdzadze)

アジャラ自治共和国労働組合総連合 委員長

 

1. グルジアの労働情勢全般

 グルジアの労働状況は依然として困難なものである。前政権による数年間は、完全に無法状態であり、現在も旧労働法による使用者の勝手放題の名残はまだ感じられる。これらの古い制度による弊害をすべて取り除くことがグルジア労働組合総連合(GTUC)の主要課題のひとつになっている。
 GTUCは、労働法改正を求めて6年間闘い続け、この努力の一部が2012年の政権交代によりようやく結実した。労働法改正で解雇と労働時間の規定が変更され、契約書をつくる際の規定や手続き、団体交渉の実施を義務づける条項が組み込まれた。しかし、多くの問題が未解決であり、今後も作業を続けていく必要がある。
 グルジアで生活するのに最低限必要とされている額は月額160ラリ(約100ドル)とされているが、その金額および算出方法に問題があり、厳しい批判の対象となっている。また、最低賃金は月額20ラリと、約20年間まったく変わらず設定され、これも批判の対象になっている。
 
 使用者側は、この労働法改正によってわが国経済への投資が今後失われてしまうとか、失業者数やアウトソーシングが増加するなどと主張しているが、これにはまったく根拠がない。その理由は、旧労働法施行下では、労働者は将来への不安から、生産性を上げることができず、製品の高品質化も達成することができなかったからである。こうした旧労働法の短所については、誠実で自らのビジネスの発展についてきちんと考えている使用者には、充分に理解されていたことと思われる。
 また、旧労働法下では、労働者は労働組合に加入しただけで解雇されていた。使用者側は、労働者を労働組合に加入したという理由で解雇したことは認めていないが、法律上は可能であった。このように、いつ解雇されるかわからないという恐怖が、労働法が改正された今でも労働者には残っていて、自分の権利を失うのではないかという恐怖心が非常に大きな問題のひとつとなっている。

2.労働組合が現在直面している課題とその解決に向けた取り組み

 また、グルジアでは労働者の技能の低さも問題となっている。国内の労働者の技能が低いという理由で外資系企業は、義務付けられているグルジア人労働者の雇用比率を守っていない。国内の労働者を一定割合で雇用しなければならないという雇用比率については、普通は外資企業と国家の間で結ばれる契約書で定められている。しかし外資企業は、グルジア国内の労働者の技能が低いという理由で雇用しない上に、雇用したとしても、ほぼ同じ仕事であるにも関わらず、自国から連れてきた労働者と国内労働者の間で賃金差別をしている。
 しかしながら、外資企業が主張するほど技能差は大きいわけではない。ただし、国としてグルジア労働者の職能のレベルを上げていく教育訓練には取り組まなければならないのは厳然たる事実であり、GTUCはこのことを常に国に対して働きかけている。

3.地方組織の取り組み

 GTUCの地方組織が抱えている大きな問題は高い失業率である。使用者は、高い技能を必要としない仕事の場合は、労働者を頻繁に入れ替えている。頻繁に解雇、採用を繰り返すことで、労働者の中には、常にいつ解雇されるか分からない恐怖心と将来への不安をかき立てている。
 しかし、労働者側も自分たちが労働者として持っている権利について、まだまだ学習が足りず、知識も不十分であるため、使用者にこのようなことをさせる素地をつくっているという一面もある。また、労働組合リーダーが高齢化して、世代交代が進まないことも深刻な問題になっている。
 地方組織が活動する際に障害になっているのが、短期の季節労働として頻繁に非正規労働者が雇われることで、これが組合活動を困難にしているという面がある。こうした問題を解決するためには、情報収集と教育政策を強化していく必要があると考えている。労働組合活動家の知識を深め、社会における労働組合運動の目的や課題、意義についての理解を深めていくために、セミナーやキャンペーンを実施していく必要がある。また、大学生向けに積極的な活動を行ない労働組合活動の本質を理解してもらう必要がある。
 さらに、国会や地方議会においてロビー活動を行ない、議員を通じて、国における労働関連の法律を改正していくため、政治的な取り組みを強化する必要もある。法律は、労使関係を調整し、社会全体の発展の最も重要な要因であり、欠点のない法律策定のために、GTUCは新たなイニシアチブを発揮していくべきだと考えている。