2012年 グルジアの労働事情

2012年12月14日 講演録

グルジア労働組合総連合GTUC
Ms.ミランダ・マンダリア、Ms.エルザ・ジェゲレナヤ

 

1. 当該国の労働情勢(全般)

 グルジアでは、2006年5月に労使関係を調整する『労働法』が採択された。これは経営者に有利なもので、経営者は労働者に対して何ら説明をしないまま解雇し、その際には1ヵ月分の給料を支払えば良いということにされている。
 この『労働法』は、時間外に対する賃金の支払いを管理することができない。残業とみなされるのは、契約で別途取り決めがなされていない限り、労働時間が1週間あたり41時間以上の場合である。
 グルジアでは雇用が非常に少なく、労働者は解雇される恐怖に常にさらされているため、どんな労働条件でも受け入れてしまうことが多い。また労働現場では、週84時間労働という条件の契約も頻繁に見受けられる。
 インフォーマルセクターの問題もある。これはグルジア経済全体の陰の部分となっており、ここでは法の違反が堂々と行なわれ、税金が納められず、国全体に大きな損失をもたらしている。

2.労働組合が現在直面している課題

 最も大きな問題として挙げられるのは、労働組合に対する関与であり、労働者は何の説明もなく解雇され、経営者には解雇の理由を説明する義務がない。何故なら、『労働法』によって、経営者は解雇の理由の説明もなく、1ヵ月分の給与に相当する補償額を支払えば良いということになっているからである。
 また、この『労働法』は口頭での労働条件の通達が認められており、このような労働契約では、裁判の際に証拠を集めることなどはまったく不可能である。私たちは法律家、弁護士に対して、どのような具体的な労働基準違反があったかということを根拠づけて示すことができないのである。

3.課題解決に向けた取り組み

 われわれは、問題解決のため、労働者向けのトレーニングや労働に関する法律のセミナーを開催している。また経営者との対話を行ない、経営者に対して文書での呼びかけやストライキの通達、マスコミや世論に対する企業での労働基準違反を通知などで続けている。また、必要があれば裁判所への提訴や国のさまざまな機関に対してアプローチを行なっている。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 グルジア政府は、わが国の『労働法』を国際的な基準に合致させるために方策を取り始めている。それにより労働における差別が削減され、真の社会的対話が発展していくことを願っている。2009年には、経営者協会、労働組合、政府の代表による三者審議会が設立された。
 しかし、労働争議などさまざまな問題を協議する三者審議会が、現実には機能していない。三者審議会は表面的な対面を取り繕うためのもので、ヨーロッパなどの国々に対してわが国でも条約の内容が守られていることを示すための張りぼてである。

5.多国籍企業の進出状況と労使紛争

 グルジアには多国籍企業の数はあまり多くない。あるとすれば、それは主に隣国との貿易を行なっている企業であるが、そのような企業に特別な法律や優遇措置は無い。このような企業で紛争がおこったという事実はほとんど確認されていない。
 グルジアは自由貿易に対して非常に積極的であり、あらゆる民族に対して寛容である。