2012年 グルジアの労働事情

2012年1月27日 講演録

グルジア労働組合総連合(GTUC)
Mr. タマズ・ドラベリゼ

 

1. 労働事情(全般)

 世界の多くの国と同様、グルジアも経済危機に見舞われ、失業者が生まれ人員削減が行なわれた。政府は、経済危機克服に尽力しなければならなかった。国の労働環境が発展途上のため、GTUCはディーセント・ワークの実現、雇用の創出と維持などすべての重要課題をめぐるプロセスに積極的に参加すべきと考えた。しかし、2006年に採択された新労働法は、経営者が自由に解雇できる権利が認められており、全ての労働者の権利を侵害するものである。また、社会的対話が自由にできなくなっているという現状もある。
 グルジアの労働人口は180万人であり、そのうち雇用労働者は57万人で、残りの110万人が自営業者(主要産業は農業、畜産業、食品加工業、鉱業である=JILAF注)となっている。また、公式的には失業率は16.3%となっているが、労働組合側の調査では、25%程度はあるというのが実情である。また、グルジアでの平均賃金は357ドルで、年金額は66ドルとなっている。

2.労働組合が現在直面している課題

 グルジアでは、ILO条約やヨーロッパ社会憲章を、国会で批准しているにも拘らず、新労働法ではILOの87条、98条に違反し、ヨーロッパ憲章にも違反しているのが現状である。労働条件改善や適正賃金の支払いを要求する労働者に対する、使用者のルール違反が多く見られる。一部の工場では、活発に労組活動をしている従業員に対する迫害や脅迫が行なわれている。
 経営者が労働条件を守らないことや、労働法が改悪された事によって、労働災害が増加している。2006年には年間の労災死亡者は5人以下だったのが、2010年には80人に増えている。また2010年1年間で、労災による障害者は160人を超えた。

3.課題解決に向けての取り組み

 GTUCとしては、ILOその他の国際機関に呼びかけて、政府に対して労働分野における不公平、不正な状態を修正するように求めているが成果はあがっていない。
 2011年米国政府は、グルジア政府に対して、最恵国待遇扱いを廃止するという通達が出された。そして、米国を含めた国際組織が、グルジアの国内情勢を改善するように勧告した。しかし政府が応えなかったため、再度チャンスが与えられ、2013年まで猶予期間が設けられている。
 GTUCの主要な課題として、[1]組合員であると言う理由で迫害を受けないようにすること、[2]ヨーロッパ基準の労働安全衛生を導入すること、[3]新規加入者の勧誘、セミナーなどで組合員の再教育や民主的な市民社会を建設するプロセスを推進することである。

4.ナショナルセンターと政府の関係

 労働法規で、労使紛争が平和的に解決できる枠組みが、きちんと決まっていないため、非常に緊迫した労使関係が続いている。2010年から11年にかけて、非常に大規模なストライキが3度行なわれた。また、教育省や鉄道省の大臣を含めた幹部が、労組に否定的な見解を示しているため、この分野の労組活動が崩壊寸前にある。
 ナショナルセンターとしてのGTUCは、労働者を含めた全ての国民の権利が守られるようにアピールを続けている。そしてGTUCのイニシアチブで様々な法案が、起草されて提出されている。

5.多国籍企業の進出状況について

 グルジアにも多国籍企業はあるが、われわれの産業部門(金属・鉱山・化学)の生産現場では労使紛争のケースはみられない。