2008年 グルジアの労働事情

2008年6月18日 講演録

グルジア労働組合連盟(GTUC)
マイヤ・リパリテルアニ

グルジア統一労組;グノレジア教育・科学者自由労組

 

1.労使関係状態について

 今日のデータによれば、グルジアはおよそ230万人の労働可能人口を有して、そのうち170万人が就職しており、うち60万500人が正規届用労働者、残りは非正規雇用です。
 グルジアの新労働法は2006年5月25日に採択されました。新法採択に伴い、旧労働法はその法的効力を失いました。
 この新法(56条からなる)に基づき、労使関係は完全に自由化され、現在、労使関係は労働市場によりコントロールされており、その結果、雇用労働者の権利は全く保護されていない状況です。現行労働法は、週労働時間や残業、解雇、女性労働その他の基本的問題において、ILOの基準に即しておらず、EUの基準とも食い違っています。現行労働法は、労組とのいかなる事前協議もなしに起草、採択されたものです。

2.我々が労働分野で抱える帑問題

 グルジアの労組が抱える主要な間題は、労働者の不法解雇であり、その理由は二つあります。労働法が労働者を全く保護していないことと、労働者が自らにどんな権利があるのか情報を持たないことです。
 法的効力のある現行の労働法により、雇用者は理由なく労働者を解雇できるため、雇用者はしばしばそれを、労組活動への介入や労組への影響力行使に利用しています。我々は、労組の基本的な諸権利(団結の自由、団体交渉権など)をめぐり闘わなければならない状況にあります。
 グルジアの労働組合が抱えているもう―つの問題は、給料が大変低いということです。

3.それらの課題解決のために我々が実施している諸対策

 まず労働者の諸権利を最大限に保護するために国家機関との交渉を行っています。それから労組として、システマティックにトレーニングやセミナーを組織・実施しています。我々は必要な情報を定期刊行物やパンフレットにより普及させています。そしてグルジアの労働祖合活動に対して国家が妨害している事に対して、司法機関や国際機関、ILO、国際労組組織に訴えています。例えば、私の所属する労組(グルジア教育・科学者自由労組)は、教育インターナショナル(EI)の会員ですが、正義を回復するために、しばしば訴訟や示威運動、集会、ストライキなどの抗議手段に訴えています。

4.政府との関係

 グルジアには、国家との社会的対話という伝統はありません。我が国では、団体交渉の組織に関するILO条約第98条及び、国に労組との労働協約の締結を促進することを義務付ける欧州社会憲章が採択されています。
 2006年まで、グルジアでは、「労働協約」法が施行されていましたが、新労働法採択(2006年5月25日)時より無効と宣言されました。現行労働法にも労働協約への言及があり、労使関係の主体は労働者の団体であるとされていますが、同法では団体交渉実施のための規則や手続きを定めていないのです。また、同法は雇用者に労組との団体交渉を全く義務付けていません。
 その例として、グルジア教育科学省は、公式書簡によりグルジア教育・科学者自由労組との団体交渉を拒否しています。グルジア教育・科学者自由労組は、団体交渉開始を要求する裁判で二度勝訴したにもかかわらず、判決はいまだに実行されていないのです。一部国家機関との密接な協力関係にもかかわらず、公式的・法的レベルでの社会的対話は存在しない状態です。

5.グルジアにおける多国籍企業の活動

 グルジアにおける多国籍企業との協力は、グルジア企業との協力と異なり効果的に行われています。多国籍企業は、労働法の規定する続務をグルジア企業より責任を持って果たしております。従って、それら多国籍企業において団体交渉を行い社会的諸問題について合意に達することは、グルジア企業と比べてはるかに容易であります。