2010年 ベラルーシの労働事情

2010年12月3日 講演録

ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)
アンドレイ ロバーノウ(Mr. Andrei Labanau)

LYOS労働組合 (金属)
執行委員兼財務担当

 

1.ベラルーシの労働情勢(全般)

 ベラルーシはILOに加盟しており、主な条約を批准している。しかし政府は、条約第87号「結社の自由及び団結権の保護」、第98号「団結権及び団体交渉権」などの条約を遵守しておらず、新たに労働組合を設立することができない。また、使用者が組合員に対し脱退を強制するなど、労働者や労組の諸権利が頻繁に侵害されている。
 これに対し、独立系の労働組合連合がILOに提訴して、労働者の権利の侵害に関して調査を行う委員会が設立された。こうした状況は、ILOの歴史上10件しかない違反例である。そのため、ベラルーシはEUの貿易上の優遇措置の対象から外されている。
労使関係を調整する主な法律は、労働法及び大統領令である。時々、労働法と大統領令が対立し、全然違うものとなることが問題となっている。
 労働法では、団結権や争議権が認められているが、そのプロセスが非常に難しく、実際にストライキを実施するのは困難な状況にある。たとえストに突入しても、それを大統領令でストップさせることができる。しかも、ストに突入した時点から大統領の禁止令が発効されて、最終的に裁判所が労働者がストに参加している間は仕事をサボったと判断して、解雇されることまである。
 大統領令によって、限定された雇用期間が許可されている。この期限つきの雇用契約は労働者の権利であったが、今ではあたかもそれが義務として扱われるように変わってきており、工場長から掃除婦までその法律が適用され、期限は最大1年の契約となっている。
 公式発表されているベラルーシの失業率は1%だが、実際、失業者がもらっている手当は16USドルにすぎない。職安に自分が失業者であることを登録するためのプロセスが非常に複雑なので、登録していない人もおり、実際にどの程度の失業者がいるのかわからない。

2.労働組合が直面する課題

 労組が解決しようとしている主な課題は、健康で安全な労働条件づくり及びしかるべき水準の労働賃金である。また、労組は、強制的な短期雇用契約の廃止も求めている。
 労働安全衛生分野では、危険な労働条件を規定した基本文書や危険職種リスト、雇用者に対し提示される衛生基準及び要求などがある。しかし実際には、それらの要求はしばしば守られず、特に職場の温度基準違反が頻繁に見られる。冬場は、室外マイナス20度、事務所内0度といった環境で働くことが多い。会社の幹部はぎりぎりまで暖房を入れない。
 最低賃金は130USドルである。しかし12月に行われる大統領選挙では、大統領自ら選挙に向けて平均賃金を500ドルにすると公約している。これは労働組合が要求した金額では決してなく、また、企業の経済能力をはるかに上回る金額であるため、政府や一部権力者による現実的でない公約に戸惑っている。

3.課題解決に向けた取組

 主な手段は、労働協約締結、使用者との交渉である。安全衛生分野では、労働場所の評価に参加している。労使紛争に突入したり、合法的なストライキを実施することが事実上不可能なため、最終手段として、現行法に違反して労働拒否に至ることがある。
短期雇用契約に対しては、公開抗議行動(ピケ)を行っている。

4.多国籍企業の状況

 多国籍企業の活動に関しては、ベラルーシにおいてはまだほとんど見られない。多くの企業がまだ国営で、民営化が若干進んでいる状況にある。