2011年 アゼルバイジャンの労働事情

2012年1月27日 講演録

アゼルバイジャン労組連盟(AHIK)
Mr. アナール・メフバリエフ

 

1. 労働事情(全般)

 アゼルバイジャンは世界金融危機を最小限の損失で切り抜け、現在、国内経済は立ち直りつつある。労働人口は2011年10月現在で459万7900人である。就業者数は434万3700人で、就業者の中で雇用労働者は31.5%である。
 2011年10月現在、国の雇用局に登録された失業者は3万9400人となっているが、ILOメソッドで算出された失業者は、約23万人である。
 過去6年間で97万人の雇用が新たに創出された。そして国民の現金収入の伸びが見られ、2011年10月現在の名目賃金は、2005年同期比で3.1倍となり、455ドル(354.4マナト)になった。また、同期間で最低賃金は3.4倍に引き上げられた。

2. 労働組合が現在直面している課題

 労組の活動における優先課題の1つが、賃金引上げである。さらに、労組が直面している課題は、[1]労働者のディーセント・ワークの為の条件作り。[2]国民の生活水準の引き上げ。[3]労働者の労働の諸権利擁護と遵守のチェック。[4]採択される法律や決定の社会保障の強化対策の実施。[5]労働法規改善への参加。[6]発生する社会的リスクからの労働者保護。[7]新たな労組の設立。[8]社会的対話の促進および労働協約締結。[9]法律違反を許さない等である。

3. 課題解決に向けた取り組み

 AHIKは、傘下労組とともに国の安定的発展、生存の為の収入源確保、有効な雇用の為の条件作り等に係る闘争を自らの主要課題とみなして、活発な活動を展開している。具体的には、ITUCの理念を会員組織に広めていき、「世界ディーセント・ワーク・デー」の実施声明を支持して積極的に取り組んでいる。26の傘下労組は、国内32の市・地区で連帯行動を実施し、合計43万人の組合員が参加した。
 ディーセント・ワークの原則の実施で目立った例は、AHIK、内閣および企業が2012~2013年、基本合意書へ調印したことである。この基本合意書に反映された労組連盟提案の諸対策は、国家機関によって理解をもって受け止められた。
 アリエフ大統領が発した大統領令により、2010年9月1日から最低賃金額と最低年金額が引き上げられ、必要最低限の生活費に近づけられた。全ての年金生活者の年金額が、平均40%増額された。また、多くの部門の労働者賃金が、平均10%増額され、特定の部門では30%増額された。

4. ナショナルセンターと政府との関係

 AHIKは、政府と民主的な対話を確立している。AHIKは独立を勝ち取り、対立することなく雇用労働者の社会・経済的利益を積極的に守っている。今日では、法律上の決定採決の全プロセスに関与することができ、社会問題に対するAHIKの意見は、国会および政府に伝えられている。
 労働組合法にも追加および修正が行なわれ、経営側が労働組合員を解雇する際には、労組と必ず合意をしなければならないという義務が加えられた。また、若年労働者を徴兵時に解雇するが、徴兵義務終了後には必ず仕事を提供することが義務付けられた。そして、チェックオフした組合費を滞納する経営者に対しては、責任を追及していくことなどが盛り込まれた。

5. 多国籍企業の進出状況と労使紛争

 多くの外資系企業では、アゼルバイジャンで施行されている労働法規に違反しているケースが見られる。地元で採用された労働者に対して、規定以上の労働時間が課せられ、また労働不能一時手当というものが支払われていない。また外国人労働者の賃金が地元採用の労働者の3倍以上になっているという現実もある。
 AHIKとしては、ナショナルセンターとして外国企業にも労組を作ろうと努力しているが、未だに労組が作られていない企業もある。例えば、携帯電話会社のバクセル社、アゼルセル社、スーパーマーケットチェーンのラムストア社、ホテル業ビジネスのパークイン社、また、コカ・コーラ社、ペプシコーラ社などである。