2005年 アゼルバイジャンの労働事情

2005年2月2日 講演録

アゼルバイジャン労働組合連合(ATUC)
カーズム ワリ テイムルル

会長アドバイザー(顧問)

 

運動方針と具体的活動

 アゼルバイジャンは総面積11万平方キロメートル、800万人の人口のの共和国です。1993年に結成されたアゼルバイジャン労働組合連合(ATUC)はアゼルバイジャンのほぼ全分野の労働組合を統合している唯一の組織です。産別組織は25、地方組織は1つ、組合員数は73万5,000人で、国内の労働組合員130万人強のうち54.1%を組織化しています。
 ATUCは労働組合法にのっとって国家や政党、社会団体から独立して活動を行っています。法に特別な定めがない限り、組合の権利行使を妨げるいかなる干渉も認めず、命令にも従いません。労働者の労働、社会、経済の権利にかかわる法案に関してはATUCが参加し、審議をすることになっています。国会への法案作成の積極的参加はATUCの中心的課題の一つであり、社会労働に関する主要な法案の可決に向けて尽力しています。
 今現在、一番力を入れている課題は国民の生活水の準向上、雇用問題、労働者の権利の保護と労働安全衛生対策です。ATUCはILOの国際基準を基本に、国内の事情を考慮して幅広く運動を展開しています。アゼルバイジャンがILOのメンバーになったのは1992年のことですが、私たちは政府機関と協力してILOの活動に積極的に参加しています。この結果ILO条約第55号は批准されました。
 2000年11月、ATUCはICFTUに加盟しました。傘下の産別組織もさまざまな国際組織に加盟しています。ICEM(国際化学エネルギー鉱山一般労連、ITF(国際運)輸労連、UNI(ユニオンネットワークイ)ンターナショナル)などです。そのほかにも世界各国の各労働組合とも協力しながら活動をしています。産別組織に対しては組織強化のため、国際的な経験を積極的に活用していくことを奨励しています。近年、組合にとってよくないグローバル化が進んでいますが、これに対抗することを目的に産別組織が一つの連盟を結成しました。その結果、何百もの組合を維持することができ、1,000以上の組合員の活動を活性化することができました。
 ATUCは近代的な設備の整った教育、文化関係施設を有しており、ここでセミナーを開催することにより、計画的に活動家を育成しています。今現在、私たちの組織が管理、運営をしている施設としては、クラブ・宮殿・文化施設等が224、図書館が25、スポーツ施設が60、その他に児童保養キャンプ場などがあります。約2,200のスポーツ関係の団体がこれらの施設を活用をしています。

政治・経済・社会の情勢

 まず政治情勢ですが、2003年に大統領選があり、アリエフ氏の子息であるイリハム・ヘイダルオグル・アリエフ氏が勝利しました。2004年には地方選挙が行われ、今年11月には国政選挙も予定されています。1999年6月にはアゼルバイジャン共和国労働法が発効し、労使の労働、社会、経済上の権利、及びこれら権利の最低限の保障に関して定める基準が制定されました。また三者構成が実現し、政府、経営者、労働組合の話し合いが開催されるようになりました。三者が話し合う場として委員会が設置されておのおの対等な立場から発言することになっています。この委員会において、全国一般協約、ゼネラルアグリーメントの締結が進められています。
 次に経済情勢について申し上げます。アゼルバイジャンには絶対的貧困レベル、相対的貧困レベルというものがあり、絶対的貧困レベルは平均収入が12万マナト以下、すなわち約60ドル以下の収入で暮らしている人々を指します。相対的貧困レベルは収入が平均の60%以下の人々で、国民全体の約17%がこれに該当します。2003年2月20日、アゼルバイジャン共和国大統領は、2003年から2005年の経済発展及び貧困削減に関する国家プログラムを承認しました。
 国全体としての対外債務は15億1,500万ドル、国民1人当たりに換算しますと182ドルになります。名目平均賃金はおよそ100ドル、2003年度の総貿易高は52億1,820万ドルでした。
 労働力人口は2004年1月1日現在、国全体で445万人です。その中で具体的に就職をしている人の数、つまり労働人口は約380万1,000人です。公的部門ではなく経済部門、民間部門に就労している人数を申し上げますと、2002年は372万6,000人、2003年は374万7,000人です。
 失業者数はおよそ5万4,000人です。ただしこれは雇用局に登録された人数で、2003年の5月7日から6月6日にかけて国家統計委員会がILOの方式にのっとって労働人口調査をした結果、失業者は40万4,670人という結果が出ました。
 失業保険関係につきましては、失業のためだけの個別保険、失業保険というのはありません。そのかわりに国民社会保護基金というものがあり、この予算から、雇用対策費、雇用あっせん機関の運営費、雇用局に登録をされた失業者に対する失業手当などが支払われています。
 なお民営化及びそれに対する組合ということで、2003年に登録されている法人数は3.4%上昇し、2004年1月1日現在で6万1,136件になっています。内訳は、国営企業19.9%、地方自治体企業4.4%、民間企業70.4%、外国企業3.7%、合弁企業1.6%となっています。