2003年 アゼルバイジャンの労働事情

2003年2月5日 講演録

アゼルバイジャン労働組合連合会(ATUC)
アルズ エンバー フセイノーワ

情報産業独立労連 アズユーロテル労働組合 執行委員長

 

国内の状況

 歴史的にはアゼルバイジャンでは1860年代に資本主義体制が出現しました。そのおかげで、アゼルバイジャンにおいて、労働組合が設立出来るようになりました。
 当時、石油産業が発展し、また、都市の人口が急激に増加し、それから発生した社会問題を解決するために、委員会が設置されました。そのような背景の中で、最初の労働協約が1904年12月、バクーで石油部門において締結されました。1906年の初頭には、政府により労働組合に関する規則が制定されました。1917年になると、首都だけではなく、そのほかの都市においても労働組合が設立され、労働組合の情報誌として、最初の労働組合通信が発刊されました。
 1920年4月のクーデターの後の同年6月に、アゼルバイジャンの労働組合は1つのナショナルセンターに統一をされ、その統一大会がバクーで開催されました。その大会でアゼルバイジャン労働組合評議会の設置が決定し、5名からなる幹部会が設置されました。
 その後、アゼルバイジャンは再び独立を果たし、改めて、労働組合運動、さまざまな産業別組織、また、労働組合活動方針で改革が必要になってきました。その意味で1994年2月5日に開催をされたアゼルバイジャン労働組合大会は、非常に重要な大会となりました。
 この大会の開催に当って、作業部会が設置され、今後の労働組合の活動について、さまざまな検討がなされて、旧ソ連邦時代にあった労働組合評議会の体制を変えていこうということになりました。旧ソ連邦時代の体制は、結局は上から下に指示をするという体制で、決して下部組織のイニシアチブを大切にしないという弊害があったので、そのような労働組合評議会の体制を廃止して、現在の連合会に全面的に移行したわけです。
 新しい連合会の設置に伴い、旧ソ連時代の古い体制、上からの管理体制が排除され、各産別組織に様々な権限の移譲が行なわれました。国際的な労働組合の運動にも自由に参加ができるような体制に変わりました。

ATUCの活動

 アゼルバイジャン労働組合連合会(ATUC)には25の産業別組織が加盟しています。それぞれの産別組織は独自の規約を持ち、それぞれの活動プログラムを持ち、それぞれが独立した法人になっています。それぞれの組織において、独自に決定した内容に基づいて、方針を決め独立した活動を行っています。
 それぞれの組織の運営面や人的な面で、AUTCは調整や助言を行なっています。
 アゼルバイジャンには、ルクオイルという石油採掘の国際的に大企業の代表部もあります。この企業はアゼルバイジャン石油関連労働組合と相互協力に関する契約を結んでいます。そのほか国内には、サービス部門を統合する労働組合連盟が存在しており、サービス部門のさまざまな分野の労働者が加盟をしています。
 そのほかの産業別組織の統合も進んでおり、サービス関連組織を一つの組織に纏めていこうという動きになっています。1994年2月24日、新たな労働組合法が採択されました。この労働組合法の規定により、労働組合は国の介入を受けることなく、独立した形で独自の規約にのっとって活動を展開することができることになり、ATUCは、各産別組織や地方組織をまとめています。各労働者の社会的権利を守り、また、労働条件を守る、そして、精神的な面でのバックアップをしていくのが役割として挙げられます。ATUCの総組合員数は150万人で、単組の数は1万8,000です。憲法、法律、また、規約にのっとって活動を展開しています。この連合会の中には、アゼルバイジャンスポーツ団体労働組合も加盟しています。
 このATUCの最高決定機関は5年に1度開催をされる大会です。この大会と大会の間の期間には、議決機関として評議員会があります。この評議委員会の参加者は、加盟組織の代表と地方組織の代表から構成されています。評議員会と評議員会の間には、執行委員会が決定事項を執行し、そして、具体的に活動を進めていく機関になっています。執行委員会のメンバーは、評議員会で決定されます。
 評議員会と執行委員会では、労働組合員のさまざまな権利に関する議論が展開されます。国家公務員の権利についても話し合われています。ATUCは、政府また国会に対し、労働者の権利と利益を守るための要求活動を行っています。
 現在アゼルバイジャンは経済的にも改革の時期でもあります。改革において労働者の権利を守っていく社会的な保障を確保していく目的のために、政府、労働組合のATUC、そして経営者団体との間において、一般協定(ゼネラル・アグリーメント)を結んでいます。アゼルバイジャンにおいては現在、労働組合の活動、労働組合の権利に関する法律あるいは規則に関しては、ほぼ確立されている、と言えると思います。ATUCは、労働組合の権利等を守る法案づくりにも参加をしていますし、また、そのほか労働組合員の教育活動も行っています。教育活動を行うために、ATUCは教育施設、文化施設等を所有しています。バクー支部には、労働社会関係のアカデミーもあり、そのアカデミーでは、労働組合の人材育成のため研修活動が行なわれています。国際的なプログラムも取り入れ、労働組合活動家育成に励んでいます。
 諸外国の労働組合との協力関係、国際組織との協力関係も促進し活発化しています。1997年の1月1日にICMセンターがアゼルバイジャンに設置されました。このセンターでは、ICMの活動と、ICM加盟9組織で構成している委員会の活動のコーディネートを行っています。現在までにこのセンターで、さまざまなセミナーが開催されました。
 そのほか、ATUC加盟産別組織は国際的な産別組織にも加盟しています。1991年にICFTU連絡センターが設置されました。コーカサス地方、中央アジア、カザフスタンの組織をまとめるセンターなのですが、具体的にはウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギスタン、カザフスタン、中央アジア、そしてアゼルバイジャンの活動を組織しています。この組織にはトルコのTURK-ISと、グルジアの組織加盟をしました。2000年の11月にATUCはICFTUにも加盟を果たすことができました。