2011年 シエラレオネの労働事情

2011年10月21日 講演録

シエラレオネ労働会議(SLLC)
Ms. セーラ・マリー・ケプチュー・ナナ・トーマス
Mr. アリュー・ディーン・コンテ

 

1.労働情勢(全般)

 シエラレオネ労働会議(SLLC)は、シエラレオネの2つのナショナルセンターのうちの1つで、労働者の声を代弁している組織として認められている。フォーマルセクターの21組織、インフォーマルセクターの8組織が加盟しており、組合員数は65,000人である。
 経済情勢としては、内戦中は農業、漁業、鉱業、工業など壊滅状態にあったが、現在では回復基調にある。しかし、最低賃金は1カ月約5ドル(375円)と低く、失業率、インフレ率ともに非常に高い現状の中で、労働者の雇用条件は厳しく、人口の2/3超が貧困線を下回る世界最貧国のひとつである。
 政府による主な経済政策は、貿易自由化、国有サービス・国有企業の民営化、公務部門改革、必須サービス事業に対する補助金の撤廃などがあり、公共事業の民営化については、全国民営化委員会によって進められている。また政府は現在、無料保健医療制度を5歳未満の子供、妊婦、授乳中の母親を対象に提供しているが、全国民に対して提供されているわけではない。
 人権・労働組合権については、司法が政治からの介入と操作を受けているために独立しているとは言えず、権利侵害からの救済を求める手続きに政府が介入することがある。このため、基本的人権を擁護するはずの法律の実効性が確保されていない。
 ILOの中核的労働基準の8条約を批准しているため、労働組合の権利はおおむね尊重されているが、増加の傾向にある臨時雇用、有期契約雇用、契約労働などのような雇用条件下では、労働者の権利が公然と侵害されている。 政府が初等教育の無償化政策を進めているが、残念ながら児童労働、児童虐待の問題は多い。

2.労働組合が現在直面している課題

 さまざまな課題の前提として、11年間の内戦でインフラが壊滅状態になったことがあげられる。 内戦やIMF・世界銀行の構造調整計画の実施により、職場が減り、労働組合員数が激減した。それに伴い、組合の財政状況も悪く、組合員へサービスを提供することができなかったり、組合への関心を集めたりすることができない。
 労働力人口の90%がインフォーマルセクターで働いているため、組織化が困難である。
 また、1971年に制定された労働法が時代遅れで見直しが必要である。

3.労働組合の取り組み

 組合員獲得のための大規模な組織化キャンペーンの実施、組合リーダーの組織化能力育成などを実施している。政府は労働法を見直す検討委員会を設置した。また、改正法の承認に向けて、組合でロビー活動を展開している。経済の力が弱いため、団体交渉をすることは困難であるものの、政府、使用者側との労使協議は行なっている。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 一般的には、政府とナショナルセンターの関係は友好的な関係で、お互いに信頼し、尊敬をしている関係である。労働組合はまだ脆弱であり、力が弱い間は政府と敵対せず、友好的な関係を持っていたほうが良いと考えている。政府の主催するさまざまな会議に、代表を送り、労働者の声を代弁し、政府のガバナンス(良い統治)を確保する努力を行なっている。

5.多国籍企業

 内戦終結後、シエラレオネは多国籍企業の投資に門戸を開いており、参入するほとんどの企業が鉱物資源を求めて投資している。資源を活用して経済的恩恵を受けるためには、きちんとしたマネジメントが不可欠で、政府は汚職対策を行い、国民の利益が最大になるように努力をしている。