2012年 セネガルの労働事情

2012年9月28日 講演録

セネガル全国独立労働組織(UNSAS)
マリー サル(Ms.Marie SALL)

セネガル全国独立労働機構(UNSAS)青年部長

 

1. 当該国の労働情勢(全般)

 セネガルは西アフリカの国で人口1285万5000人強、若い人が人口の多くを占め、労働力人口は約331万人、フォーマルセクターで働く人は約50万人、75%の人がインフォーマルセクターで働いている.
 失業率は10%、最低賃金(SMIG)は時給209.10CFAフラン(0.35ユーロ)である。ほとんどの労働協約において、月給は、173.33時間の労働で約4万7700CFAフラン(72.7ユーロ)となっている。非常に困難な経済状況にある中で、新規雇用の大部分はインフォーマルセクターである。
 西側諸国などでも失業率について悲観視されることがあるが、セネガルの失業率はこれとは比べものにならない状態にある。若者でも3人に2人が無職でほとんどの者に職がなく、生きるため何でもしなくてはならない。生活費を稼ぐために道端で物売りをする者、小さな会社で日雇いで働く者などもいる。より良い未来が見込める給与がもらえる職につける国民は非常に少ない。こうした状況から、ヨーロッパ、アメリカ、そのほかの西洋諸国に渡ったセネガル人で母国に戻ろうと考える者は非常に少ないと思われる。
 さらに、管理職ポスト、採用、昇進に関して女性差別があり、女性幹部の比率は低い。政治においても男女同数に関する法律はあるが、あらゆる分野の労働環境において女性が働きやすくなるよう積極的な措置を考案する必要がある。

2. 労働組合が現在直面している課題

 若者の労働組合加入率は12.5%と一般的に低い。エネルギー分野では2010年の85.9%に対して2011年は88%と比較的高まったが、これは労働界全般にはあてはまらない。特にインフォーマルセクターでは、若者の労働組合加入、労働者の社会的権利問題に関する若者への研修、雇用の機会均等、退職金制度、社会保障などに関する政策が欠如している。
 また、組合費の徴収が困難で、組合は資金不足である。組合費が低く抑えつけられていること、組合費の40%がナショナルセンターの予算として計上されるが、これも国家によって強制的に決められている。
 さらにリーダーシップの欠如という問題もあり、女性や若者のリーダーが少ない。

3. その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているのか

 若者が自分たちの将来を年配の者に勝手に決めさせていてはいけない。これは昨5月19日の「労働組合への若者の参加-民主的かつ効率的で、多くの者が加盟する労働組合をめざして」をテーマに開催されたUNSAS初の全国集会での若者の決意であった。参加した若い組合員たちは、自分たちの利益を守り、労働組合活動の世代交代が行なわれるよう、より多くの仲間を参加させ、自分たちで運命を自ら切り開くよう決意した。
 2013年には大会を予定しており、インフォーマルセクターの労働組合を作る取り組みも進めている。

4. あなたのナショナルセンターと政府との関係について説明してください。

 政府に対しては独立の姿勢を取っている。労働者の要求を検討する対話機会がある。
 さまざまな関係者との対話の枠組みは機能している。1997年12月1日付け法律第97-17条より誕生したセネガル労働法第L-80条第1項には、「労働協約とは、一つまたは複数の労働組合または労働者の職業集団の代表者と、一つまたは複数の使用者の組織と、あるいは一人または複数の使用者と個別で交わされる労働および雇用に関する合意である」と記されている。
 グローバル化という新たな社会経済的要因により、結社の自由の原則を刷新する必要がある。この原則を社会や経済の現状に対応させ、現在のニーズに合わせる必要がるが、その交渉は進んでいない。その理由は、労働者側にあるのか、雇用者側にあるのか、あるいはその双方にあるのかを調査する必要がある。さもなければ、セネガルにおける労働者の権利の法的・制度的なこの枠組みや、この件に関する国際協定に準拠した適切な運用に多大な影響を与えるだろう。
 国は団体交渉権を遵守しているが、団体交渉の実施にあたりいくつかの問題がある。セネガルは、ILO条約を批准しているが、実際に実施しようとすると多くの困難に直面する。ここ数日、労働組合のリーダーが精力的にメディアに登場し、労働組合に関する国の無策や関心のなさを訴えている。
 政府は、団体交渉の問題に真剣に取り組んでいない。公共部門は国と定期的に交渉を行なっているが、公共部門の組織率は民間部門に比べてはるかに低く、政府の関心が薄い。ILOは、バランスのとれた協議を行なうため三者交渉につかせること、三者の協力において団体交渉のパートナーおよび対象を拡大することを希望すると表明した。三者協力とは「政府、使用者組織および労働者組織の間の協議プロセスであり、企業には繁栄の枠組みを、労働者には利益の保護と強化を保証する平和な社会的環境を作ることを目的とする」ことである。こうした観点から、各関係者の個別交渉よりも、最大限の関係者を参加させる全体的交渉の開催が検討された。

5. あなたの国の多国籍企業の進出状況について、また多国籍企業における労使紛争があればその内容についてお知らせください

 多国籍企業は正確には以下の2部門に存在する。
 電信部門:オレンジ(Orange)社、ティゴ(Tigo)社、エクスプレッソ(Expresso)社が認可されている。今のところ競争はあまりないが、これらの会社は臨時雇用や下請けに頼っており、労働者の立場を不安定にしているが、争議は起きていない。オレンジ社の子会社のソナテル(SONATEL)社は、過去に争議があった。
 土地の購入を試みる農業部門の会社がしばしば農民と対立している。セネガル北部のファナイもそのケースにあたり、計画は同社の進出に今のところ反対する農民がいない他の地区に変更された。