2002年 セネガルの労働事情

2002年9月11日 講演録

セネガル全国労働組合同盟(CNTS)
ンディウガ ワド

軍関連施設労働者組合 事務局長

 

 CNTSはICFTUに加盟しています。CNTSは全組織労働者の70%を組織しています。加盟単組数は63。産別組合の数は8、地方組織の数は10です。加盟労働者数が約5万8,000人です。CNTSは約20年前に設立されました。

国内の状況

 セネガルの政治状況についてですが、まず、2000年3月に、それまで40年間続いてきた社会主義体制が変化しました。社会主義体制からの脱却はおおむね平穏裡に行われ、民主主義体制を確立することになりました。民主化によって複数政党主義がとられ、さまざまな政党が出現しました。選挙権も18歳に引き下げられました。1980年以降に生まれた子供たちが政治に参加しようとして、こうした状況を生んだわけです。

CNTSの状況

 CNTSは依然として旧体制の体質を保っていますが、責任ある参加をモットーに社会対話を進めようとしています。日本で言えば労使協議制のようなものを、セネガルでも導入していました。ただ、労働者の権利が脅かされるような場合には、CNTSはストライキで立ち向かいます。
 そうした状況の中で2000年に第8回大会が開かれました。CNTSは、指導部の政治的な立場は自由にしています。さまざまな政党に属する人がCNTSの指導者になっています。CNTSには様々なグループがありますが、新しい政権に近い指導者は、この大会においてCNTSの運動方針を変えようとしました。そのため大会の運営は非常に難しいものとなり、混乱し、大会は政府によって解散させられることになりました。2,000人の憲兵によって首都ダカールから退去させられ、その後も大会の開催場所があちこちで憲兵によって監視されているという状況でした。
 第2点として、最近まで書記長であったマディア・ディオップが引退したことです。かわってモディ・ギロが書記長になりました。新しい大会を受けてCNTSでは、すべての政党から独立した労働運動の確立が確認されました。CNTSは全く政治から独立したナショナルセンターとなったのです。
 しかし、このCNTSの執行部を支配してCNTSを奪取しようと企てたグループが混乱を起こしました。このグループはCNTSの中にいながらCNTSFCという名前を使って別なナショナルセンターをつくっています。このCNTSFCは、ある一部のグループだけが作ったものであり、労働者はCNTSに残ったままであり実質的な機能はしていません。
 このグループは政府と協力して、CNTSの労働会館を50人ほどの人数で襲撃し、事務所に放火し、あるいは車を燃やしたりしました。この襲撃により3人の組合員が火災に巻き込まれ、1人は病院で亡くなりました。これらのグループは、この事件の後もCNTSを非難し、政府、あるいは首相に対してCNTSの非難を繰り返しました。その後、警察はCNTSFCの何名かを逮捕しましたが、政府および司法当局から、これらを釈放するようにとの強い圧力もありました。

CNTSの活動方針

 まず新しい雇用の創出と確保、中小企業・中小産業への援助、定年退職者援助基金の設立、民間部門における定年年齢の60歳までの延長、消費財価格の安定、労働者及びその家族のための医療措置などを要求しました。
 CNTSは政党、政府、経営者から独立しており、労働者の利益を擁護するために活動を続けています。労働運動の指導者の養成、国際関係における活動の拡大を目指しています。また、既存の雇用を確保することを労使の間で協調して進めるよう努力しています。また、インフレを抑制し、新しい雇用を創出するための企業活動の強化。オリジナルなアプローチとして、インフォーマルセクターの労働者の組織化。ここには男女を問わず何千人という労働者がいますが、そうした労働者を組織化することを目標としています。
 CNTSは、CNTSの日常活動に関する新しい規定を策定しました。労働者の組合離れという脅威にさらされているからです。労働省によってナショナルセンターの代表制について調査が行われましたが、CNTSは、どのナショナルセンターが最も代表的であるかという議論に関して、すべて透明で正常な議論が行なわれるように留意しました。それは、労働組合が弱体化し、また細分化することを防ぐためです。
 またCNTSでは、先ほどの定年退職者保護基金、及び社会保障金庫の運営について自主性を確立するよう努力しています。民間部門における企業での定年退職の年齢を60歳に引き上げることを目標としています。また、定年退職者の年金の資金源の確保にも努めています。そのために雇用退職連帯基金を設けて、社会保障の資金源として運営するとか、健康保険国民金庫といったものをつくることを計画しています。すなわち雇用を確保し、また創出するためにCNTSでは連帯基金いうものをつくろうと計画しています。
 こうした努力により雇用退職連帯基金は政府にも支持されていますし、こうした基金を民間部門にも援用し、国内のすべてのナショナルセンターの協力のもとに確立しようと努力しています。この基金を活用することによって経営上困難な状況にある企業への支援となる一方、年金受給者への補完的な措置ともなるように計画しています。定年退職者基金は設立以来独立性を維持していますが、さらに規模を拡大し、向上させたいと考えています。この基金は国家ではなく、労働者によって運営されています。この定年退職者保護基金は、5,000億CFAフランが資本となっており、また、健康保険金庫では200億CFAフランが拠出金となっています。
 CNTSは健康保険基金の確立に努めています。この基金の活用により労働者及びその家族が病気になったとき、治療、あるいは薬等の費用をカバーするようにしています。また病院や薬局にも、この基金を活用して、入11院治療費、あるいは医薬品の価格を統一するように努力しています。
 現在、消費財の価格が常時上がってきています。このためCNTSでは、ショッピングセンターのような小売販売網を始めようとしています。労働者に対して廉価な食料品を安定して供給できるようにするためです。手始めにCNTSは、パンのチェーン店を国内に設置しました。そうした経験を踏まえて、そのほかの食料品にも手を広げていこうと思っています。この店には、常に食料品がストックされていることにより値段を調整し、また、食料危機の際に備えるということを意図しています。