1997年 ニジェールの労働事情

1997年7月11日 講演録

バッジ・ダドー・M・マンスール氏
ニジェール労働組合連盟(USTN) 第一副書記長

 

国の概況

 ニジェールの状況についてごく簡単にお話ししたいと思います。国土は大変広くて、126万7,000平方キロメートルございます。人口は800万人です。地理的にはベニン、ナイジェリア、チャド、リビア、アルジェリア等と国境を接しております。
 産業は、農業、牧畜、そして手工業があります。地下資源としてウラニウムが1972年から採掘されております。そして、国の北部で石炭がとれまして、それが国のエネルギーあるいは食品産業等に使われております。また、2年後には金鉱が実質的に運営されることになっております。とはいいますものの、現在の経済状況は決して良くありません。途上国の中でも最も貧しい国と位置づけられております。
 1人当たりの国民総生産が年間270ドルであります。そして、UNDPの試算によりますと、UNDPが出しております開発指数が、0.78であります。医療を受けられる人口が43%です。就学率が29%で、識字率が15%であります。

民主化の歴史

 民主化についてごく簡単にお話ししたいと思います。90年の先進国サミットにおきまして、フランスがアフリカの民主化について努力しなければならないと主張いたしました。その支援をするということでありました。これを受けまして、私どもの地域でも新しい時代を迎えるに至ったわけであります。民衆からの革命運動が起こりました。国民主権委員会が設立され、民主化運動の中心的役割を果たしました。USTNでは、90年5月1日の会議におきまして、民主的複数政党主義、また政治体制の民主化要求を打ち出しました。民主化要求のために、様々な国内の組織、労働組合あるいは経営者団体や政党、そして学生の組合、また女性の組織も、こぞって力を統一したわけであります。こうした様々な分野から人が集まりまして、1つの委員会をつくりました。
 その当時、USTNではゼネストを計画いたしました。このゼネストによりまして、国家の体制は一大変革を遂げたのであります。大統領はこの国の民主化をしないわけにはいかなくなったわけであります。すなわち民主的複数政党主義の導入であります。1991年7月に新しい国民委員会というものが設立されるに至りました。この国民委員会によって、今後の政治体制が議論されたわけであります。
 特にこの委員会での課題は、自由で透明な選挙を行うことでありました。大統領選挙も、また議会の国政選挙についても同様であります。この委員会の活動は18ヵ月間にわたって続けられ、国全体が大変な激動の時代に入っていったわけであります。昨日の友は今日の敵となりました。政党も多数つくられ、USTNの政党が与党となりました。これがごく簡単な現在に至るまでの歴史であります。

経済・社会状況と労働運動

 社会的な状況について申し上げます。USTNはニジェールの労働者を組織する唯一のナショナルセンターであります。97年2月に政府が行う政策について、労働者の生活水準の向上に向けての努力がなされていないということで、11回目のゼネストを行いました。
 政府のとった政策というのは、まず15%から20%の給与の削減、そしてまた、本年3月から、公務員については給与が支払われていない状況にあります。給与は下がる一方で、税金は上がってきております。そして、労働基本法が遵守されておりません。混乱しております。ゼネストを禁じる措置をとっておりますが、これはILOの規約に違反しております。また、製造業におきまして、企業の閉鎖あるいは国営企業の民営化等によりまして、大変大きな経済的、社会的問題が起きております。多くの企業が閉鎖されることによって、失業者の数が激増しております。こうした政策をとる理由として、96年末には33%という大変高いインフレ率を記録しました。政府はこうしたインフレを抑えるための政策だと言っております。
 5ヵ月間の給与が支払われていないことによりまして、公務員の購買力が大きく低下しております。そして、国債の発行もうまく機能しておりません。94年、フランスフランに対するCFAフランの価値が切り下げられましたが、これも当初の目的を達しないばかりか、かえって悪影響をもたらしております。家賃や食料品等の値上げも続いております。こうしたことによって、労働者の生活が非常に圧迫されております。これを見まして、USTNとしては、激しい行動に訴えざるを得ない状況であります。
 また、労働者に対して不当な法律の制定に反対することで、残念ながら、20人の同志が逮捕されてしまいました。私どもの書記長以下、エネルギー関係の産別組合等で、特に高電圧産業労働者組合のメンバーが逮捕されたりしております。また、33名の同志がストライキをしたということによって、解雇されてしまいました。私たちの組織をあげての活動により、1ヵ月後に逮捕された同志は、証拠不充分ということで解放されました。
 USTNのその他の活動では、農業関係のプロジェクトを推進しております。120世帯の労働者が先のストライキによって解雇されてしまいました。彼らを農業や住宅の建設に吸収し、紡績業に従事していた400世帯を組織し直し、また3つの地域センターでタイプ学校や繊維関係の職業教育を行っておりましたが、この職業教育センターも閉鎖されようとしております。
 結論といたしまして、自由な労働運動を求めて、USTNでは様々な問題を解決しようと努力しております。政府のとる政策は、労働者を擁護するものではありません。国内では首都を含めまして、全国的に労働者の状況が悪化しております。このために多くのストライキが繰り返されるのであります。こうした状況は決して国の発展に資するものではありません。国の開発政策も、足踏みしたままであります。これが国内の社会状況をますます悪化させることとなっております。