2003年 マリの労働事情

2003年11月12日 講演録

マリ全国労働組合(UNTM)
セイバ トラオーレ

全国金属・機械産業一般労働組合 事務局長
UNTM 経済・共済担当

 

国内の状況およびUNTMの活動方針

 マリの政治的あるいは労働関係の事情についてご説明したいと思います。国が1991年に民主化されて、今年で、20周年を迎えました。まず、UNTMが現在目標としておりますのは、社会対話(ソーシャル・ダイアローグ)を進めて、我々の要求について法的な目的を達成することです。そのために、マリの労働者あるいは労働関係組織、そして政府の協力により「連帯憲章」が設立され、2001年8月14日に署名されております。この成長と発展についての連帯憲章に関しては、JILAFに資料をお渡しします。この憲章は、さまざまな問題についてどのように対応していくか、どのような闘いを繰り広げ、展開するかについて具体的に記載されております。
 連帯憲章には、民間部門の弱体化に対する闘い、職業教育に合致した政策の不備、それから低い給与水準に対する闘い、それから給与に関して、規定と現実に支払われる給与にかなりの差がありますので、規定と現実の給与支払いに関する制度の改定、さまざまな社会給付についての不公平をなくすことについて取り決められています。こうした、人間が正常な生活を進めていく上でのさまざまな不備について、この連帯憲章はいろいろな取り決めをしています。
 UNTMでは2003年9月18日まで、常にこの連帯憲章についての討論会に参加しており、この日以来、私どもUNTMでは、連帯憲章の精神にのっとってさまざまな闘いを展開してきております。
 また、公権力・当局の対応についても、私どもは疑念を持っています。そして、円満な解決を図るための努力をしています。そのため、こうしたさまざまな問題の最終的な解決手段としてストライキという武器を持っており、この武器をもって訴えることもあります。そのためUNTMでは、ストライキの通知書をさまざまな分野に対して提出しています。また、その結果が非常に満足すべきものであることも申し上げておきます。JILAFに対して、このスト通知書も提出させていただきました。

UNTMの具体的な活動

 次に、幾つかの私どもの活動について申し上げます。2003年は、私どものナショナルセンターにとって試練の年でした。2002年1月10日から14日まで第10回UNTM大会が開催され、次の10年を迎えるため、過去についての評価がなされました。私どもの目標は、加盟組合員の労働条件を改善しつつ、国の経済の安定を図ることです。ナショナルセンターにとり、この連帯憲章の実施は非常に重要な課題です。政労使の三者で対話を進めてこの連帯憲章を実現することは、労使双方に共通する関心事項です。
 連帯憲章を実現するための具体的な行動計画として次のものが挙げられます。第1に、教育関係の分野としてエイズ/HIVに対するキャンペーンです。第2に、児童労働に対する闘いです。これは、ILOやアフリカ労働統一機構などの協力を得ております。第3に、組合員への労働教育です。第4に、西アフリカ経済・通貨統一機構に参加して、地域的な調和と統一を促進することです。第5に、女性のリーダーシップを養成するセミナーの開催です。
 組織についてですが、5月1日のメーデーにはUNTMが大きな祭りを開催しました。また、2003年7月28日から31日にかけ、UNTM開設40周年の行事がありました。
 経済関係については、半官部門の労働者をできるだけ多く労働組合に加盟させることを目指しています。特に、農業部門の労働者を組織化することを目指しています。マリには2,000ヘクタールの水田があり、その農業従事者を組織化することを目的としております。また、民営化ができるだけ円滑に進められるよう経済の成長を図ることを、労働者の組織化を通じて促進していきたいと思っております。また、マリは現在、綿の生産においてアフリカで第1位になっています。これまでに申し上げたことの具体的な方策は、最低限の数値を挙げたプログラムを策定し、実施することです。
 最も関心の高いプロジェクトは、その資金が不足しています。JILAFには、そうしたプロジェクトについてのスポンサーとして、またUNTMの良きパートナーとして是非支援いただきたいと思います。
 ところで、飢餓は人間が生きていく上で最も苦しい状況です。マリは非常に豊かな水資源のある国で、農地として活用できる面積も100万ヘクタールを超えておりますが、その中で実際に農地として活用されているのはニジェール地区の25万ヘクタールしかありません。食料問題は、我々にとって非常に重要な問題であります。最近、カンクン・サミットがありましたが、ここでアフリカの農業支援を行うことが決定されました。UNTMとしては、マリがこうした食料支援、あるいは生産手段の支援を受けられるようになることを望み、期待しております。人間というものはみずからに課された課題を忘れては、あるいは無視しては生きていけないものです。そのために、マリ共和国大統領に対し、UNTMはさまざまな要求を出して改善のための努力をしております。