1997年 マリの労働事情

1997年7月11日 講演録

ママドゥ・カリファ・ドゥンビア氏
マリ全国労働者組合(UNTM) 国際局長

 

UNTMの歴史

 マリ全国労働者組合は、労働運動におきましては大変長い歴史を持った組織であります。柱としておりますのは統一、連帯、行動であります。この3つの柱をもとに、私たちは行動を進めているわけであります。
 歴史的には、労働者はまず植民地化を進める帝国主義者に対抗するための闘いを始めました。初代大統領はこの労働運動の指導者がなりました。つまり労働組合そのものが私たちの国の指針を決めたわけであります。労働者自身が国の発展の基礎として社会主義を選択したのであります。といいますのも、当時、労働闘争はフランスの共産党やソビエトの支援を受けておりました。そういうわけで、私たちの国はまず社会主義を選択したのであります。
 8年間、労働者が国家を運営してまいりました。当時は一党独裁政治の体制で、1963年にナショナルセンターが設立されました。国内では唯一のナショナルセンターでありました。
 1968年に、軍事クーデターが起こりました。労働運動は非合法化され、中には逮捕、拷問されたり、あるいは殺されたりした労働者もおりました。しかし、UNTMは常にナショナルセンターとして行動いたしました。UNTMの指導者は何度も逮捕され、憲法の効力は停止され、そのため労働運動について自由に発言する機会すら失われてしまいました。しかしながら、非合法化されたにせよ、労働者はこの政治体制を再び転覆させるまで、労働運動を続けたわけであります。
 1991年にUNTMはすべての運動を統一いたしまして、民主化闘争を始めました。女性、子供、農民からなる民主化運動をUNTMが指導したのであります。その後、ようやく政治体制を転覆させることができまして、全体的な勝利を得ることができました。そして、民主化を遂げた時に、UNTMの書記長が大統領として選出されました。バカリ・カランベという人が当時の書記長であり、大統領になった人であります。
 労働運動の発展に伴い、民主化運動が始まり、政治体制そのものを変革したのであります。暫定政府におきまして、副大統領もUNTMから選ばれました。そして、1年後にはすべての民主的な制度が導入されるに至りました。
 UNTMは、今後は民主化運動のリーダーとなる必要はなくなったと判断し、政治の場から身を引きまして、政党に国の民主化を任せたわけであります。民主的な国政選挙を経まして、大統領が選出されるに至りました。また、ニジェールの場合と同じように、その頃から、今度はナショナルセンターとして、様々な困難に立ち向かわなけれぱならなくなりました。何年かの間は、多くの犠牲を払って得られたこの民主的制度を保護するために、UNTMはまた大変厳しい闘争を強いられました。労働組合といたしまして、自由な労働運動なくしては民主主義もあり得ないし、また自由そのものも危機にさらされるということを確認した次第です。ですから、労働運動あるいは労働組合は私どもの国において、自由というものを守る騎士の役目をするわけであります。

新たな政治的闘争

 現在の新しい大統領は、かつてUNTMで労働運動家として活動した人であります。かつて労働共済組合の会長だった人であります。しかし残念ながら、イスラエルでの労働視察の後、この大統領はUNTMとの連携を断つのがよいと判断したようであります。そして、UNTMの努力によって大統領に選出されたにもかかわらず、現在ではUNTMとの関係を断ち切り、またUNTMに対抗するような形で、政策を打ち出してきております。まことにひどい戦略、政策を打ち出してきております。
 UNTMの第9回大会の後、この大統領はUNTMの大会で選ばれた執行委員の承認を拒否し、大会をやり直せという要求を出してきております。つまりこの執行委員会を大統領は御用委員会にしたいと考えているようです。ところが、この大会には国際組織からの代表も多数出席しておりました。したがって、この大会の決議が正当なものであるという証人が国際社会の中に多くいるわけであります。ICFTUから大統領に対して、労働問題に介入するのはやめるようにとのファックスが送られました。今度は大統領は、全てのナショナルセンターの口座を停止せよという指令を出したり、電話あるいはファックスの回線を閉鎖すらしております。そのため、JILAFから送られたファックスが私どもに届かなかった次第であります。
 当時、私どもの同志である多くの労働運動家が逮捕されるに至りました。国際社会の連帯というもりがこのときほど発揮されたことはありません。アフリカ、ヨーロッパあるいはアジア、世界中の至るところから支援の手が差し伸べられ、逮捕された私どもの同志は、幸いにして解放されました。
 政府当局は全てのナショナルセンターの銀行口座を閉鎖しております。現在、大変な混乱に至っております。.銀行へ行っても私どもの口座が閉鎖されておりますので、なぜ、だれが、口座を閉鎖したのかということを聞きましても、銀行からは、だれがやったかわからないというふうな答えしか返ってこないような状態であります。
 しかし、私たちは決して絶望はしておりません。闘争の長い歴史を持っております。ニジェールのマンスール同志が申し上げましたとおり、私たちが体制をつくったのです。こうして、これまでにも苦しい闘いを闘い抜いて来ました。また、これからもどのように闘えばいいのかは、私たち自身よくわかっているつもりです。私たちにとりましては、この闘争はまだまだ続きます。法制度を確立するための闘争であります。正義のための、また人間の尊厳のための闘いでもあります。経済的な発展、調和のとれた発展に向けての努力を続けたいと思っております。
私たちは誓いを立てております、マリでは決してもう民主主義が隠蔽されることはないと。私たちは世界中に民主的な労働運動を実現するための連帯を呼びかけております。私たちは決して希望を失っておりません。
 世界中の労働運動家との連帯を強調していることも確かです。彼らとともに私たちは勝利を得たのであります。ICFTUからの私たちの国の労働者に向けての全てのメッセージ、またその支援基金によって、闘争を続けることができております。このアフリカでの闘争は正義のための闘争であります。この正義のための闘争という意識は、マリの全ての労働者の意識に固く定着しているものであります。例えば先ほどマディア・ディオップ氏の話が出ておりましたが、彼もかつて労働運動が非合法化された際に、マリに亡命していた時期もあります。私たちは常に連帯しているのであります。私たちは民主主義、社会的、経済的発展、そして平和のための闘争の最前線に出ております。
 UNTMの組織につきましては、以前来た者が説明しているとは思いますが、全国組合が12個ございます。これが国全体を代表しているわけでありますが、調和のとれた社会的、経済的な発展のために、責任ある参加というキャンペーンを打ち出しております。闘争はまだまだ続きます。