2000年 コートジボワールの労働事情

2000年7月5日 講演録

ルネ・クアムラン・ブル
コートジボアール労働総同盟政策・資料編纂部長

 

コートジボアールの概要

 コートジボアールは、アフリカ大陸の大西洋側にあり、ギニア湾に面して、南側に大西洋があります。東側がガーナ共和国、北側にブルキナファソとマリ、西側はギニアとリベリアとの国境に接しています。気候は乾季と雨季に分かれています。面積が32 万平方キロメートル、人口は1,500 万人、人口の移民率が40 %です。政治的な首都がヤムスクロで、経済的な中心地がアビジャンです。アビジャンの人口は300 万人です。共通言語がフランス語、1960 年8 月7 日が独立記念日です。人口増加率、3.5 %。就学率は小学校のレベルが74 %、中高教育が42 %、成人の識字率が42%です。政治制度は大統領共和制で、複数政党主義をとっています。現在政党の数は80 以上あります。1999 年12 月に軍事クーデターが起こりました。 その後、現体制になっています。

経済状況

 経済に関して98 年の資料ですが、1 人当たりの国内生産が1,650 ドル、経済成長率が6.5%、経済活動の基本は農業です。主な農産物はカカオとコーヒーです。カカオの生産量が年間110 万トンで、世界でもトップです。カカオの今年度の生産量見積りが約90 万トン、品質は良となっています。農業から得られる収入が国民総生産の約3 分の1 に当たります。このカカオだけで約3 分の1 ということです。その他の生産物、綿やコーヒーなどの輸出も全部含めますと、国民総生産の大体3 分の2を占めます。
 独立以来、自由経済主義をとっています。民間部門で企業の設立がたいへん促進されています。ほかに国営企業もあります。当時非常に多くの国営企業を国家がつくりました。こうした経験を経て、経済活動がたいへん盛んになり、多くの雇用を生み出すことになりました。ただグローバルな観点からの目的というのを忘れてはなりません。行政側からの企業経営の管理体制が非常に強まり、民間企業としての活力が抑制され、公民化してしまうことになりました。そうした企業がまた国からの援助を期待してあまり動かなくなってしまうということになります。農産物の値段が暴落して、輸出産業が非常に大きな打撃を受け、停滞しました。資金的にも大きな困難が伴い、特に製造業への国家の介入が図られるようになりました。製造業及び経済の基幹産業への国の介入が強まって、教育、社会保障等に国からの管理が強まりました。民間部門育成のための措置というのがいくつかとられました。産業によっては国の発展について来られなかったものもありました。特にそうした部門について政府は開発に力を入れています。規制緩和、投資コストの削減、こうした行動に特に政府は努力しています。

官公労部門の雇用状況

 通貨危機に見舞われ、輸出産業が非常に打撃を受けた結果、雇用についても大きな問題が起こり、失業が生じました。その中での雇用状況の2 つの面、官公労部門と民間部門についてお話します。公務員に関する組合の規定と労働法には、産業間労働協約というのがあります。官公労部門について、政府は大学卒業者またはグランドゼコール(大学校)卒業者を公務員として採用するための職業訓練機関をつくりました。そうした卒業者職業訓練機関を設けましたが、公務員も90 年代初めから非常に大きな雇用問題を抱えることになりました。政府機関そのものが資本的な困難を抱えることになったのです。そこに構造調整計画の導入という問題が生じました。この構造調整計画の導入に関してさまざまな制限等が設けられ、問題が生じることになりました。まず人件費の大きな削減が課せられました。それから人員整理ということがあって、非常に多くの労働者が解雇されることになりました。それから国家公務員、国営企業職員の多くの解雇が行われました。そして多くの国営企業の解体が行われました。これが大きな社会問題を引き起こすことになったというのは想像にかたくないところです。
 この構造調整計画が社会的にいかに悪影響を与えたかというと、世界銀行とIMF の行動について説明すればいいかと思います。世銀とIMF がコートジボアールに課したことは、2000 年における公務員の数を1996 年時の数にまで引き下げるというものでした。そこで、勤続30 年で自動的に退職というシステムをつくることになり、こうした規定が公務員規定に明記されるようになりました。UGTCI としては、公務員規定に明記された制限を撤廃するように努力しています。現在政府はほとんど公務員を採用しておりません。優秀な大学卒業者や医師、あるいは教育関係者が失業者となっています。つまりそれも政府に十分な資金がないということで、こうした人たちが失業者となっているのです。

民間部門の雇用状況

 民間部門についてですが、政府の生産部門への介入があり、これが企業の民営化について非常に先鋭的な行動となりました。公営企業、半公営企業の民営化が大変促進されたわけです。こうして60 ほどの企業が民営化されました。この民営化の目的というのが、よりよい生産の拡大、効率のよい経営、競争力をつけることでした。ところがこうした措置により非常に大きな雇用問題を生じさせる結果になりました。それから労働者が既得権としていたさまざまな権利も制限されるようになってしまいました。構造調整計画や民営化を図ることにより、雇用のミスマッチが起きています。一方で非常に多くの雇用を生んだ部門もありますが、他方で大変多くの失業者を生むことにもなりました。現在新しい労働法が策定されているところですが、その中の規定が労働者にとって非常に不利益なことになってきています。特徴的なのが雇用のフレキシビリティを図るということです。経済的な理由による解雇を非常にしやすくしています。労働契約を結ぶ際にそうしたことが明記されるようになり、またパートタイムを促進するということで、労働条件として経営者側の裁量権が非常に多くなってきています。こうしたことが労使間の対立を深め、増加させることになりました。コートジボアールの労働界はこうした現状です。

組合の活動

 UGTCI から、この労働法の規定を撤廃するためのさまざまな要求を出しました。政府との話し合いの場が数多く持たれましたが、残念ながらまだ結論が出ていません。この労働法は本年5 月1 日から施行されています。新しい労働法に関してのセミナーが5 月末に開かれました。現在、私たちはこのセミナーの結論、報告を待っているところです。
 労働組織については、ナショナルセンターが3 つあり、UGTCI はこの3 つの中で1番有力で大きな組織です。1962 年8 月4 日に設立されました。加盟組合数が230 、官公労部門で21 、そして民間で209 です。産別組合が9 つあります。地方組合が9 つ、町村レベルで27 。それぞれの組合が持っている支部が780 、組合員数が40 万人。執行委員が50 名。運営委員が95 名です。ICFTU およびアフリカ労働統一機構に入っています。
 主要な活動について簡単に申し上げます。毎年、主要活動を各加盟組合に通知しています。インフォーマルセクターの組織化の促進、青年労働者の組織化、女性の組織化及び女性委員会の活動促進、そうした活動方針を全国的なレベルで広げています。地方間での活動のコーディネートに、いろいろ困難も伴っています。特に各組織間のコミュニケーションを促進することに力を入れています。こうした活動を促進するために、組合組織の近代化、またさまざまな情報のデータベース化を図っています。そうした近代化への努力について、皆様方からの支援もお願いしたいと思います。