2011年 ブルキナファソの労働事情

2011年11月11日 講演録

ブルキナファソ労働組合連盟(CSB)
Ms. エステレ・ジョズィアンヌ・コロンベ・ワンゴ

 

1. 労働事情(全般)

 ブルキナファソの人口は1,422万4,780人で、51.7%が女性である。人口の48%が15歳未満である。2007年の調査によると、農業部門の労働者67.4%、商業・サービス業部門の労働者25.7%、公共部門の労働者12.7%となっているが、労働力人口の4分の1以上の26%が2つ以上の仕事をかけ持ちしている。特に、農業従事者の兼業率が46%、商業従事者の兼業率は29%、手工業従事者の兼業率は21%である。
 ブルキナファソの労働市場の特徴は、インフォーマル部門の存在である。非農業部門の雇用者数の80%がインフォーマルセクターに属しており、都市部において顕著となっている。農業が重要な地位を占めている一方で、金の採掘産業が大きな国家収入源にもなっている。これは主要産業である綿花産業を上回る収入である。また、採掘産業の雇用者数は、労働者全体の4.8%に達している。

2. 労働組合が現在直面している課題

 物価の上昇、中でも生活必需品の価格が上昇しており、労働者の購買力が大きく低下している。その他、事業主の労働関係法令違反、インフォーマル部門労働者の社会保障制度の欠落、労働組合活動家の参加意欲の低下、労働組合員数の減少、独立系労働組合の増加、労働組合費の未納によるCSBの収入減等が課題としてある。

3. 課題解決に向けた取り組み

 各労働組合と関係機関が協力・団結して、政府に対して生活必需品の値下げを要求し、デモ行進やストライキを行なっている。また、値下げを要求するため、鉱山業、小口金融業、運送業、農産食品加工業等における部門別労使協議も行なわれている。
 フォーマル及びインフォーマル部門に従事する労働者に対する啓蒙活動の一環としての研修を行ない、法令で定められている権利を周知させる運動をしている。また、労働組合活動家の意識向上のための研修活動も行なっている。
 独立系労働組合との協力関係の構築も目指している。女性委員会や青年委員会を設置して、女性や若年層を労働組合活動に取り込む試みも行なっている。

4. ナショナルセンターと政府との関係

 1987年の革命後、1991年にはブルキナファソの各ナショナルセンターと政府との間に緊張緩和が見られました。以降、パートナーであるという意識の下、各ナショナルセンターと政府の関係は大きく改善されている。ILOが支援する労使対話プログラムにより、政府との関係は更なる改善を見ている。各ナショナルセンターは各種の政府諮問委員会等に参加をしている。例えば、労働関連の諮問委員会、経済社会協議会等である。それ以外にも各種の特別委員会に参加をしている。国営企業の取締役会にも参加できるようになった。
 このように緊張緩和に向けての動きが見られる反面、政府とは常に一定の緊張関係が存在している。特に、世界銀行やIMFの指導の下に行なわれている国営企業の民営化において対立が顕著になっている。民営化の結果、6,000人が解雇されたという経緯もある。2008年に政府は新しい労働法を採択したが、ここではストライキ権が制限され、労働者代表の保護範囲の縮小が定められた。また、この新労働法では、労働裁判所で有罪判決を受けた事業主が労働者に支払うべき損害賠償金の減額がうたわれている。これは、労働法制の後退とも呼べる事象であるが、海外からの投資家を引きつける必要性から政府によって正当化されてしまった。その結果、労働組合役員や特定企業の従業員が解雇されるという事態に至っている。つまり、ナショナルセンターと政府は必ずしも正常な形で協議もしくは交渉しているとは言えない。世界銀行やIMF等から圧力がある場合、政府は労働組合の主張に耳を傾けないため、ナショナルセンターはデモやストライキを行なうに至っている。政府との関係が友好関係になるのか、緊張関係になるのかは、様々な条件によってその都度左右されているのが現状である。

5. 多国籍企業の進出状況と労使紛争

 ブルキナファソに進出している多国籍企業はまだ少ない。ただし、この3年間でその数を大きく伸ばしている。特に、鉱山業において進出が顕著になっている。現在では10の多国籍企業がブルキナファソに現地法人を設立している。
 労使紛争の例として、I AM GOLD社が株式の過半数を保有しているカナダのESSAKANA社で、そこに雇用されている労働者からの要求が受け入れられなかったことが原因で、ESSAKANA社の一部でストライキが発生した。
 イギリスのCLUFF MININGという会社が全株式の過半数を保有しているTAPARKO MINING社では、3週間のストライキが行なわれた。原因は極端に低い賃金と職場衛生環境に対する要求が認められなかったことによる。作業現場には飲用水はおろか、水が全くなかったという現状でした。
 これらの労使紛争は調停が行なわれ、要求が受け入れられたことで、一部が解決しているが、外国人労働者と地元労働者の待遇に依然として大きな格差があるため現場では不満がくすぶっている。