2008年 ジンバブエの労働事情

2008年7月9日 講演録

ジンバブエ労働組合連合(ZCTU)
ゴッドフリー・ムティンバ

ジンバブエ労働組合会議(ZCTU)・ジンバブエ・ジャーナリスト労働組合全国執行委員

 

 ジンバブエの労働事情は労働組活動を効果的に遂行するには良好な状況にはない。近年、政治情勢が急速に悪化し、政府は抑圧的な法律を制定した。労働組合運動を国家に敵対する団体とみなし、それを弾圧するために治安維持法(POSA)と情報アクセス・プライバシー保護法(AIPPA)という名称とは全く反対の法律を制定した。これらの法律により、結社の自由は侵害され、労働組合活動は抑圧されている。AIPPAは特にメディアを標的にしており、この法律により5つの独立系新聞社が閉鎖され、多くの従業員が失職した。

 経済は麻痺状態にある。インフレ率は世界に例を見ない900万パーセントという驚くべき水準に達し、労働力人口の90%近くが最低の貧困生活を送っている。大量解雇が日常化し、労働者はインフォーマルセクターに集中している。熟練労働者は国を離れ、近隣諸国に流れ、単純労働に従事している。失業率は公式でも80%に達し、企業は経営を維持できる環境にはなく、企業閉鎖が相次ぎ、失業率が上昇している。

 外国の多国籍企業も厳しい経済環境の影響を受けている。現在のムカベ政権はますます偏執狂的になり、外国の多国籍企業を政権に敵対する勢力とみなしている。政権を覆すために野党に資金を提供しているとみなしている。このような情勢の中で、政府は多国籍企業の現地人化・経済権限強化法を制定した。この法律は多国籍企業の株式の51%以上を現地人に切り替えていくことを目指している。そのため投資家が離れて行き、企業の一部は操業を縮小・閉鎖して、近隣の条件の良い国に移転している。

 ジンバブエの労働組合運動の課題は明らかである。労働組合は国家の敵とみなされ、その指導者は政治活動家とみなされている。労働組合指導者は日常的に逮捕、拷問、殴打、嫌がらせの対象となっている。今年のメーデーではジンバブエ労働組合会議(ZCTU)のラブメール・マトンボ会長とウェリントン・チベベ事務局長の2人が、「労働者に体制転覆の蜂起を促した」というでっち上げの理由で逮捕され、1週間にわたって拘留された。2人は労働者の苦境を表明し、より良い労働条件を要求したに過ぎなかった。

 ZCTUは国内35の傘下組織と共同して、様々な形の抗議行動やストライキを組織し、政府に対して弾圧的な法規の廃止を要求してきた。南アフリカ労働組合会議(COSATU)などの近隣諸国の労働組合にも呼びかけ、また、国際労働組合総連盟(ITUC)を通じてILOにも提訴し、政府への圧力を強めている。
 グローバル化に関して、現ムカベ政権はグローバル化を新植民地主義と捉え、西欧諸国からの孤立政策をとり、アジアの1カ国中国のみを貿易相手国として選んでいる。このような状況に対して労働組合を始めとして一般国民は異議を唱えているが、圧政的な現政権下で反対ができない状況にある。