2004年 ジンバブエの労働事情

2004年6月16日 講演録

ジンバブエ労働組合会議(ZCTU)
ヘラリオス ムシイワ ルイ

ジンバブエ家事労働者関連労働組合 副事務局長兼ZCTU評議員

 

 ジンバブエにおいては、個人の家庭の中で仕事をしている労働者がいます。そういう労働者の仕事は、子供の世話、花を育てるような庭仕事、そして、個人の家族のための食事の支度というようなものです。この仕事をしていると出張をする機会が多いですが、出張を通して、先進国にはこういう家事の手伝いをする労働者がいないということを知りました。しかし、アフリカや低開発国には、こういう家事の手伝いをする労働者がたくさんいます。その理由はよくわかりません。低開発国に住む人たちが怠け者なのかどうか、それが理由かどうかはわかりません。
 私は組合で副事務局長の仕事をしており、教育、研究、リサーチの責任を負っています。そして、書記長あるいは事務局長が不在の折には、私が代行します。我が国の状況として、私どもの組合の書記長あるいは事務局長は閣僚で、野党の国会議員でして、労働者の支持を受けている野党です。閣僚ですので、事務局長や書記長は大変多忙な方々で、私がほとんど事務局長の代行をするということが多いのです。ですから、今日いろいろな国々から事務局長さんのご参加が多いわけですが、と言いましても、その事務局長さんがそれぞれの国の組合の仕事をしていないと申し上げているわけではなくて、副事務局長のほうが事務局長よりも一生懸命仕事をしているということを申し上げたいと思います。
 ジンバブエでは家事労働者のための雇用評議会というものが設けられていないので、労働者の雇用条件あるいは賃金は、三者協議で話し合われます。その三者協議の場というのが賃金諮問理事会というもので、この理事会が労働社会福祉所、あるいは大臣に対して勧告もしくは提言を行うものです。ですから私は副事務局長として、質の高い交渉が行われるべく、家事労働者を代表して今申し上げた委員会のメンバーとして参加しています。
 また、私どものジンバブエ労働組合会議に対しても、ジンバブエ家事労働者関連労働組合を代表する立場でもあります。第三世界の国々は、HIV/エイズの問題や貧困の問題を抱えています。ですから、私どもの組合も、このHIV/エイズ、そして児童労働の問題を非常に深刻な問題として受けとめています。と言うのも、こういう問題により組合員数が減っているからです。
 我が国においては、若い人たちは安い賃金で雇えるので、多くの経営者が、若い人たちを雇おうとしています。先ほど私どもの組合でHIV/エイズの問題を大変深刻な問題として取り組んでいると申しましたが、この問題に取り組んでいるのは私ではなく、安全衛生を担当している役員です。
 では、私の担当している問題は何かと言うと、児童労働のプロジェクトです。しかし、私どもの組合では、この「児童労働」という言葉に、英語で言う“チャイルド・レイバー”という言葉をあててはいません。というのも、“チャイルド・レイバー”と言うと、ある一定の意味を含むものというふうに考えているからです。したがって、“就労児童プロジェクト”、“ワーキングチャイルド・プロジェクト”というような言い方をしています。
 この就労児童プログラムの目的ですが、就労をしている児童の保護者たち、親、あるいは、その地域社会に対して、就労をしている子供たちの権利についての教育を行うこと、そして、実際仕事をしている子供たちにより多くの権限、力を与えることにより、自分たちに何か影響のある問題について、堂々と発言ができるようにさせるということです。
 このプロジェクトは既に2年実行されていますが、子供を救うというNGO組織、「セーブ・ザ・チルドレン」から資金、人材の面での支援を受けています。
 私どもは、仕事をしている子供たちを全国的に組織して、その子供たちのクラブをつくるという活動をしています。このクラブづくりに使っている戦略は大変シンプルで、子供たちを集めて会をつくり、その中でお互いの経験を話し合ったり、子供たちにボールを買い与えて、そのボールを使って一緒にゲームをさせたりするのです。
 この子供たちのクラブですが、その娯楽的な性質からどんどん規模が大きくなり、中にはサッカー、フットボールなどをするようなところも出てきています。
 そして、私どもの運動の中から幾つかの成果が生まれてきています。仕事に就いている子供たちの労働条件が改善されてきていること、そして、就労している子供たちを保護するための法律の整備が進んでいることです。その法律により、家事労働のセクターで働いている子供たちは、大人よりも少ない就労時間で仕事ができる、労働条件としてその仕事が行えるようになっているということです。大人の場合は1日9時間、そして、この法律のもとでは、子供は6時間以下になっています。
 こういう法律の目的は、子供たちが1日のうちの午後あるいは夜だけでも、学校に通うことができるようにすることです。今私どもは、就労している子供たちが基本的な教育を受けられるようにするためにどのようなニーズがあるのか、という分析を行っています。というのも1年前に行ったリサーチ結果から、就労しているかなり多くの子供たちが、ほとんど、あるいは全く基礎教育を受けていない状況にあることがわかったからです。その理由としては、子供たちの親が資金的に子供たちに助力を与える余裕がない、あるいは、多くの親がHIV/エイズなどの病気によって既に死亡してしまっているということがあります。
 最後にジンバブエの労働状況についてですが、ジンバブエでは、政策に対して反対意見を述べることは、野党を支持している人間というふうに見られてしまうので、労働組合の指導者は常にその脅威にさらされています。ですから、ジンバブエの政治状況は安定していないというのが現状です。