1999年 ジンバブエの労働事情

1999年9月22日 講演録

イシマエル チグバグワニ
ジンバブエ国営鉄道機関士労働組合 執行委員

 

 ジンバブエの経済に焦点を当てて説明します。また、その経済が労働人口や一般の人々にどのような影響を与えているかということに、特に焦点を当てて説明します。

経済の再構築

 現在、ジンバブエの経済は危機状態にあり、中小企業を含む多くの会社が再構築のため事業の縮小を行い、中には閉鎖になった会社もあります。この再構築というものは、グローバル化によってもたらされたものであります。このグローバル化によって世界が1つの村のようになり、お互いにそれぞれ相互から独立して生きていくことができなくなりました。グローバル化によって、世界の市場の中に競争が持ち込まれてきました。この競争の結果、ジンバブエの会社のほとんどは会社の運営システムが悪いか、または腐敗のために業績が悪化しています。生産の目標が達成できないということがよくあります。
 このようなことから、会社でリストラ(再構築)が起きています。会社の事業のやり方というものに変化が起きてきています。多くのジンバブエの会社では、その結果、従業員の数を減らして人員削減を行っています。つまりリストラを行っています。多くの労働者は、将来自分の雇用、仕事がどうなるのかわからない状態に置かれています。会社が閉鎖された場合にまず優先されるのは、債権者であり、その次が株主、最後に従業員ということになります。ほとんどの場合には、従業員が損をするということになります。リストラされた労働者の大多数は窮乏状態に落ち込んでいます。というのは、その人たちの中には、自分自身のビジネスを立ち上げるだけの技能を持たない者もあれば、離職手当が少なくて、新しいビジネスを始めるためのいろいろな設備が手当てできないということもあるからです。

労働者を取り巻く状況

 ジンバブエにおいては、ほとんどの能力開発というものが会社で行われる場合には、経営者は従業員の職務内容に関係のある部分だけで訓練、教育、技能開発を行います。それで十分な技能を持たないという結果になって、リストラされたりということになるということです。そこで、こういう大変憂慮すべき事態でありますので、組合はもう少し適当な額の離職手当を確保するために交渉をしています。会社が閉鎖になった場合に、残ったものを従業員と分けようとしないで、自分たちだけで確保する傾向があります。ジンバブエの失業率は既に高過ぎます。これに毎年何千人もの新卒者が学校を卒業しますが、会社の閉鎖や事業の縮小のために就職ができないでいます。いろいろなポジションがだんだんなくされていくので、仕事が十分ありません。
 それに加えて、リストラされた人たちが失業率を押し上げています。日本の場合は、1つの会社があちこちに支社を持っているために、少し縮小する場合には、従業員をほかの支社に出向させるということができますが、ジンバブエのほとんどの会社は1カ所だけ、本社だけですから、会社が閉鎖された場合に、そこの従業員たちが行くところは会社の中でどこにもないわけです。失業率そのものがはっきりとしていません。というのは、会社が閉鎖されて失業が起きた場合に、その統計の数値を統計局のほうに届け出ないということがよくあるからです。たとえ統計の数値がわかっていても、それを編集するのに統計局が大変時間がかかってしまうということで、しっかりした失業率がわかっていません。
 このような問題を解決するために、労働運動のナショナルセンターであるZCTUと経営者と団体の団体である経営者総連盟(EMCOZ)と政府は、これらの問題を検討するための3者委員会を設置しました。我々労働運動の会社再構築に関する考えというのは、交渉できる対象でなければならないということです。その交渉によって、みんなが何らかの恩恵を受けられるようにするべきであると考えています・ところが、ほとんどの場合は交渉そのものが実現しません。それは、相互の間に不信感があるからです。そして、何らかの合意に達した場合にも、それが実施されないことが多くあります。