2000年 ザンビアの労働事情

2000年9月27日 講演録

ケネス・カセヘラ
ザンビア全国教員組合事務局長

 

ZCTU を取り巻く状況

 ナショナルセンターZCTU 、そしてその加盟組織は、現在政治的にも経済的にも、そして社会的にも非常に厳しい問題に直面しています。ある意味では、この政治、経済、そして社会的な問題は大きな問題として一つにくくることができるかもしれません。
 まず、経済のことに関してですが、経済解放政策というものが実施されて以来、これが国内経済、特に生産関連のセクター、そして全体的な雇用状況に大きな影響を与えています。1991 年に70 万人いた労働人口が、今は35万人に急減しています。もちろん、雇用されている人たちの数が減るということは、組合の基盤をなしている組合員数にも影響が出ています。そして組合費が減ることにより、組合の収入も減っています。

労働者を取り巻く問題

 もう一つの問題として、雇用主の、雇用のカジュアル化があります。すなわちフルタイムで雇用をしないで、パートタイム的、臨時的な雇用形態というものを進めています。この問題に関して、私どもは政府、特に労働省に対して、引き続き改善を求めていくつもりです。こういった状況の中で、インフォーマルセクターと呼ばれている産業の、臨時労働者の数が増えています。しかし、このような人たちがフォーマルセクターに対して貢献できる度合いは非常に限られてるので、経済状況も芳しくない中、それが一つの大きな力になるということはないと思います。
 失業率が高いという問題に加えまして、もう一つ児童労働の問題がございます。特にインフォーマルセクターにおいて、臨時的に児童労働が行われています。家計が苦しくなると、お金が必要なときに子供たちを働かせるということが起きています。
 また、生活にかかる費用、生計費も非常に高くなっています。物価の上昇に加えて、働いて、収入がある人でも、やっていくのは難しいという状況になりつつあります。例えば電気代ですが、電力使用料が平均的な賃金の3 分の1 にまで値上がりしていて、これではなかなか電気も使えないといった状況にまでなっています。

経済の問題

 さらに状況を悪化させているのが、私どもの通貨、クワチャの下落です。われわれのチームでは「クワチャの気が狂い始めているぞ」と、弱くなってきているといったことがジョークになっているくらいです。1 ドルが3,250 クワチャまで下がり、調整していくのは難しくなっています。
 もう一つ、経済に関しての最近の傾向ですが、国営の銅鉱山が民営化されました。そのことにより、雇用が創出され、経済が少しよくなるのではないかという期待があります。

労働組合の活動

 社会的な問題としては、ほかのアフリカの貧しい国と同じように、ザンビアもAIDSの問題に苦しんでいます。組合は、政府が人員削減をして、人減らしをしているところに加えて、自然はAIDS という病気をまん延させて、また国民の数を減らしているんじゃないかと言っているくらいです。
 労働団体としては何もしないということはできません。見通しが暗い中でも、われわれは希望を持って努力をしなければいけないと思っています。ナショナルセンターとしては、加盟組織に対して、できるだけ多くの人を組織化する、最後の1 人まで、もしその人の態度が決まっていなくても組織化しなさいと、それだけ強く言っています。そして加盟組織同士が連携を強め、ネットワーク、協力の輪を広げていくことによって、社会における不平等や貧困、組合に対する不当な行為を改善するように活動を進めています。組合としては、社会の不平等を正すためにも、できるだけ正しい政治、法治が進められるように努力をしていますし、そういった努力の中で、組合は大きな役割を果たしていると思います。グローバル化の波は避けられないと私どもも考えておりますので、労働団体、組合自体も、こういった状況に対応できるように自分たちを変えていかなければいけないと考えています。
 女性の組合員に対しては、もっと女性が労働運動に参加できるように促しています。また、組合としては、組合員に対してAIDS 、そしてHIV に関しての知識を深めてもらえるようにプログラムを組んでいます。ワークショップやセミナーを開催したり、また4 年に1 回、女性会議を開催することによって、全国レベルでの役員、執行委員に女性が増えるよう努力をしています。
 また将来に向けてのリーダーたちを養成するため、そして組合としての力をつけていくためのセミナーも開催しています。また、三者構成の会議や組織の会合にも頻繁に参加をして、さまざまな政策の立案段階での議論や、政策の実行といったことにも参加をしています。そのような人選は変えるべきだと言っています。いわゆる行政とは独立した形での三者構成委員会をつくるべきだというのが、私どもの主張です。
 もう一つ、運動において重要な点は、私どもが組合として、労働団体としての力を強化していくということです。労働組合の指導者たちが総選挙に参加をして、選出された人たちが議会の議員になってしまうと、どうしても労働運動の中に穴が開いてしまう、空白が生じてしまうので、組合と、組合員の力をつけていくということが課題になっています。