2011年 スワジランドの労働事情

2011年10月21日 講演録

スワジランド労働組合連盟(SFTU)
Mr. ジョージ・マセコ

 

1.労働情勢(全般)

 農業を基盤とし、近年の経済成長率は3%未満と低迷している。HIV/AIDSの感染率は26%、貧困率は69%に達しており、社会・経済情勢にはさまざまな深刻な問題を抱えている。また、気候変動により干ばつが頻発し、農村部を中心に食糧の供給が不安定化し、持続可能なマクロ経済の安定性を確保することが困難になってきている。
 現在、スワジランドには2つのナショナルセンターが存在する。スワジランド労働組合連盟(SFTU)と、銀行、小売業、製造の部門を組織化しているスワジランド労働連盟(SFL)である。これらの2つのナショナルセンター間で、統合の動きが出てきている。公共部門サービスを含むほとんどすべての経済活動の部門で、労働組合が結成されており、2つのナショナルセンターのいずれかに加盟している。組合は、全国的な部門別、企業別の交渉の場に参加している。政労使三者構成の産業賃金協議会の定める基本条件より良い条件を獲得するため、企業レベルで雇用条件に関する労働協約締結のための交渉が行なわれている。
 人口101万8,499人のうち、労働者数は約30万人で、うち約15万人がフォーマルセクター、残り半分がインフォーマルセクターである。また、フォーマルセクターの半数以上が男性で、インフォーマルセクターの大多数が女性という状況である。
 失業率は公式には26%となっているが、現実には40%あると言われている。

2.労働運動の課題と対応

 スワジランドには、労働法はあるものの、労働運動は政府の抑圧によって消滅の危機にある。このため、政府は組合活動を抑圧して、非合法化するための法律を作ろうとしている。使用者と国は、労働組合を「敵視すべき反対勢力である」と見ている。組合承認を求める活動が、主に繊維部門、商業部門などで抑圧されており、使用者による搾取的な動きが増大している。
 スワジランド労働組合連盟(SFTU)は、スワジランドが既に批准した中核的条約を含むILO条約のすべての条項を完全に遵守するための法制度上の改革を呼びかけている。

3.ナショナルセンターと政府との関係

 スワジランド労働組合連盟(SFTU)は、労働関連事項を扱う三者構成の話し合いに関与しているが、政府の独裁的傾向と、意図的に民主化を阻止しようとする動きもあり、現在、政府と労働組合の関係は最も低調な時期にあると言える。複数政党が禁止され政党活動ができず、基本的な市民的自由が否定されているので、政府と市民団体や労働団体との間には相互不信が生まれている。政府はこうした団体の多くは外国の支援を受け、疑わしい政策課題を掲げていると見ている。

4.多国籍企業

 多国籍企業は政府よりも力が強く、労働法を尊重しないことが多い。労働者は搾取され、ただ同然の賃金で生産性を上げるよう強いられている。これが特に顕著なのが繊維産業であり、労働者は不安定な雇用環境の中に置かれ、賃金も極めて低い。
 企業の中には、労働者を長期にわたって非正規雇用で使おうとする企業があり、これが労働組合や労働者の欲求不満の種となっている。小売業、建設業、ホテル業界などに多く、非正規雇用の労働者というのは、組合を組織できる労働者とはみなされていない。
 また、多国籍企業は人材あっせん業者を利用することが多く、人材あっせん業者は、付加給与を支払わず、契約満了時の手当も全く払わない。