2000年 スワジランドの労働事情

2000年9月27日 講演録

ゾドワ・ジョイ・ムクホンタ
スワジランド電力供給管理4 社労働者組合教育担当 兼SFTU 第2 副書記長

 

スワジランドの問題とその背景

 スワジランドが独立したのが1968 年です。しかし、国王がいるので、今は立憲君主制となっています。1973 年に議会制憲法が廃止され、独裁者主義のもとでの支配になりました。しかし、81 年から90 年にかけて、労働組合運動がまた復活し、その結果、民主化を求める声、そして労働者の労働条件の改善を求める声が高まってきました。特に93 年ごろには、労働組合の指導者、リーダーたち、そして民?10主化を求める活動家が多く逮捕されるということが頻繁に起きました。政府が、これらの人たちが自由に民主化を求めるといったことを拒んだ結果だと言えると思います。
 その後、97 年から現在におきまして、ストライキをすることが労働運動の中で可能になりました。その結果、頻繁にストライキが行われる、特に全国的なストライキが行われることが頻繁になったために、経済的に大きなダメージが出てきました。

労働運動の発展と民主化への努力

 国の主要な産業は農業です。ただ、大規模な農業施設、機関のほとんどが政府の支配下にあります。そして、民主化を求めたりする声を静めるために政府のとった手段は人員削減でした。こうした状況で、労働運動そのものが非常に難しくなっています。多くの人たちが、労働運動に参加をすることにより、人員削減の対象になってしまうのではないかと恐れているからです。こういった状況に関してSFTU 、ナショナルセンターは、政府がILO 条約を遵守するようにと、ジュネーブ本部に訴えています。民主化を進めたいのに国が非常に抑圧的な行動に出る、もしくは抑圧的な法律がまだ存在し続ける、そして半ば強制労働のようなものが国において行われるといった状況を改善させるためです。97 年初めに、ナショナルセンターが国の態度を不服としてジュネーブ本部に訴えたのですが、今現在、2000 年になっても、スワジランドの情勢は変化していません。

AFL -CIO への協力要請

 こういったことに関して、労働団体としても不満に思っており、AFL ?CIO を通じまして、アメリカの労働者にスワジランドに対して経済制裁を発動するよう協力を求めました。今年の9月1日に、アメリカのクリントン大統領が、スワジランドをアメリカの貿易相手国の優遇リスト、ジェネラル・プレファランス・リストから外すことに署名をしました。スワジランド政府に対して、30 日間の猶予期間を設け、その間に状況を改善しなければ経済制裁措置を発動するということを通達しています。この30 日間の期限が切れるのが9 月末です。それまでに政府が状況を改善しない場合は、経済制裁が発動されて、スワジランドの経済がさらに大きなダメージを受けることは必至だと思います。

スワジランド政府の態度

 こういった状況下でも、スワジランドの政府は非常に頑固な態度を取り続けています。現段階では、実際に態度を変え、何らかの改善をするのか、それについて政府内での合意が出来ているのかさえもわかっていません。9 月30 日までにスワジランド政府が態度を変えない限りは、経済制裁が発動されるわけですから、経営者にとっても、さらなる深刻な人員削減につながります。非常に大規模な人員削減が行われる可能性がある状況でも、政府は「そういう状況なら仕方がない、人員、削減をすればいいじゃないか、結局国民が苦しんだとしても、それはすべてナショナルセンター、SFTU のせいなのだから」と主張しています。状況は私どもにとって深刻で、非常に難しい状況です。

SFTU の人員削減対策

 SFTU は、大規模な人員削減が行われた場合の対策を考えています。短期的な措置としては、もし人員削減にあうのであれば、少なくとも職を離れる前に、より多額の退職金?11をもらえるように労働者に教育をしています。職を失って、しばらく仕事が見つからないのであれば、その間生きていくためにお金が必要なので、解雇されるときにできるだけ多くのお金を会社のほうからもらうようにという教育をしています。もう一つ重要な点として、離職する際に会社からもらうお金を賢く使うことが必要だということも強調しています。状況は非常に厳しく、一般的にみて、スワジランドにおいての賃金は非常に少額です。しかも、人員削減される人が多くの退職金をもらうということ自体、可能性は少ないと思います。どれだけ給料が少ないかと言いますと、低所得者の1 ヵ月の最低賃金は、日本の1 日の最低賃金に値します。
 大規模な人員削減が予想される産業が農業、そして繊維産業です。農業も繊維産業も、比較的低賃金、低給料の産業です。できるだけよい方向に状況が変化してくれることを願っています。