2011年 南アフリカの労働事情

2011年10月21日 講演録

南アフリカ組合連盟(FEDUSA)
Mr. クリストフル・ピーター・ヤンセファンレンズバーグ

 

1.労働事情(全般)

 1994年、南アフリカでは最初の民主的な選挙が実施され、1995年に労使関係法が制定された。また、1995年に使用者と労働組合との労使関係に適用される労使関係法ができ、「交渉評議会」の設置により、団体交渉の枠組みができ上がった。さらに職場、工場、会社レベルで交渉を行う、職場フォーラムもつくられた。
 現在、南アフリカには3つのナショナルセンターがあり、すなわち、南アフリカ労働組合会議(COSATU)、南アフリカ組合連盟(FEDUSA)、そして、南アフリカ全国労働組合協議会(NACTU)である。加盟人員は、COSATUが約200万人、FEDUSAが約50万人、NACTUが約30万人である。FEDUSAは、南アフリカ労働組合同盟(FEDSAL)と公務員労連(FORCE)が合併し、1997年4月1日に結成された。労使関係法の制定により、FEDUSAの結成が促進されたといえる。組合員は、技術者、事務系職員、パイロット、航空機関士、ゼネラルアシスタント、看護師、医師、教師、講師など、熟練労働者、半熟練労働者が含まれている。ホワイトカラーが組合員の中心である。また、戦闘的な立場で経営者に立ち向かうのではなく、融和的に、和解的な関係を築いて、洗練された戦略的な運動をめざしている。そして、イデオロギーや党派・政党に縛られず、与党を支持しているわけではなく、政治的要素で活動が影響されることはない。
 南アフリカには、三者構成機構として、全国経済開発労働評議会(NEDLAC)が設置され、社会パートナーシップが確立されている。
 2011年7月末現在、ストライキ損失日数は3,000万日であり、労使紛争も起こっている。使用者と被雇用者・労働組合の間の紛争を解決する組織として、和解・調停・仲裁仲委員会(CCMA)がある。
 GDPは、2008年を例外として、1998年以来毎年上昇しているが、GDPに占める賃金の割合(労働分配率)が減少している。

2.労働組合の直面する課題

 失業率は高く、狭い定義では25.7%、広い定義では50%近くに達する。57%の国民が貧困線以下の生活をしており、大きな社会問題である。犯罪発生率も、殺人では世界第2位、暴行/強姦では世界第1位である。
 教育制度と保健医療制度が二層構造になってしまっている。アパルトヘイトの名残で、一方は先進国並み、もう一方はサハラ以南のアフリカ諸国より劣る状態である。また、政府が市民に提供するサービスは必ずしも良いとは言えない。南アフリカの地方自治体の6割が機能しておらず、インフラの5割が適切に管理されていないため、地方自治体に対する一般市民の抗議件数が急増している。

3.考えられる解決策

 高いレベルの三者協議の下で、経済を押し上げて雇用を創出する新成長戦略を導入する必要がある。FEDUSAは、不況対策、失業対策、貧困対策として、非賃金費用(賃金以外の特別ボーナス、株式オプション、年金拠出金など)コストの削減あるいは据え置きを提案している。
 失業、貧困対策として、地域の求職者に、求職活動をする際に必要な交通費の支援をしたらよいと考えている。
 犯罪撲滅のキャンペーンを通じた、犯罪被害者への支援も重要である。
 拡大公共事業プログラムの対象範囲を拡大し、新たなインフラの創設と既存施設の維持管理をめざし、特に若者の職業訓練に的を絞って努力することが必要である。

4. 多国籍企業

 組合員の中には多国籍企業に働く者が多くいるが、ナショナルセンターとしては直接多国籍企業に関与していない。