2003年 南アフリカの労働事情

2003年10月1日 講演録

南アフリカ組合連盟(FEDUSA)
デュイツォ ポール マレマ

南アフリカ交通労働組合 事務局長兼FEDUSA中央執行委員

 

国内の状況

 まず南アフリカ、そして南アフリカの労働組合が直面しています社会経済的な側面についてのお話をさせていただきます。現在非常に高い失業率、貧困、それから搾取という問題に直面しています。これに加えてより深刻な問題としまして、HIV・エイズの問題に直面をしています。また、南アフリカにおいては女性と子供に対する虐待も非常に頻繁に発生しています。南アフリカが今後生き延びていくために、労働組合がこうした問題を解決していくためにどのようなリーダーシップを発揮していくのかということが労働組合が抱えている大きな問題であると感じています。
 もう一つ労働組合運動で直面している大きな課題は、人々がさまざまな変化に抵抗している状況です。さまざまな希望、そしてさまざまな不安を抱えながらも、必要な変化に対して抵抗を示しています。労働組合運動を擁護するためにさまざまな権利が認められておりますけれども、そうした民主的な労働組合組織に抵抗し、人種差別的な組織を労働組合に故意に持ち込もうとする問題があります。
 政治的な側面につきましては、ご承知のとおり、南アでは労働組合と政府、そして国民の間には非常に良好な協力関係が存在しています。私どものFEDUSAはどの政党にも属さず政治的に独立した組織であります。私どもは決して人種差別を行わない、ジェンダーの問題に関して非常に敏感な組合であります。健全なイデオロギーを持ち、そして政策に基づいて活動をしている労働組合であります。より重要なこととして、南アが直面している社会、経済、政治的な問題に対して一番将来を見据えた積極的な取り組みをしている労働組合中央組織と申し上げて良いかと思います。国の開発問題、そして労働問題の討議に当たりまして、南アには組織化されました労働組合、経済団体、および政府の間の三者協議の場があります。この三者協議の場を使いまして、私どもの国が直面しておりますさまざまな問題に関する労働組合の考え、労働組合の姿勢を示すことができます。また、この機会を利用しまして、労働組合の考えを国の政策に影響、あるいは反映させていくこともできます。
 南アフリカの経済、そして労働問題として最近の、そして深刻な問題の一つは民営化の問題です。2000年に南ア最大の労働組合連盟は2日間にわたるストライキを組織しました。このストライキは民営化の動きに反対するために行われました。FEDUSAは現在進行している民営化の実施に大きな懸念を抱いていますが、FEDUSAの民営化問題に対する姿勢は、社会的な対話、いわゆる話し合いによって解決すべきであるという考えであります。対立ではなく社会的な対話によって解決をするのが唯一の解決策であると考えています。なぜ南アにおいて民営化が深刻な問題になっているかといいますと、民営化の結果、大量の失業者が発生するからです。この2年間、民営化が実施されたことにより、50万人以上の失業者が出ています。そしてその結果として、南アの失業率は30%前後に上昇しました。南アの経済は現在も成長をしておりますけれども、その成長に見合う雇用の創出がなされていません。

FEDUSAの活動方針

 FEDUSAの主要な行動計画、あるいは方針についてお話します。私どもは国の様々な政府委員会、例えば経済開発委員会や労働問題委員会などの場を通じまして、様々な法律の改正を求めて要求します。また女性と子供の権利に関するさまざまなシステムの監視に関して政府に申し入れを行う計画です。さらに革新的な労働運動を行っている私どものパートナー、あるいは仲間とともに、政府に対し、持続可能な質の高い雇用の創出するよう要求することを決定しております。
 HIV・エイズを撲滅することに焦点を当て、政府並びに国際機関、あるいは国際社会に対しての要請も行う予定であります。

FEDUSAの具体的な活動

 次は、こうした方針を達成するための具体的な運動についてであります。まず第1に、FEDUSAとしては徹底して対話を中心とする運動を展開していくこと、対話中心のイニシアチブをとっていくために、民間そして公的な部門でのパートナーシップを促進・支援していく運動を行います。HIVの患者に対しては在宅の看護が行えるような社会制度、また高齢者、そして働く母親を持つ子供、また社会的に搾取され虐待をされている人たちに対する社会的な福祉サービスというものを盛り込んだプロジェクトというものを立ち上げていくということも考えています。さらに、セミナーや研究会、ワークショップなどを開くことにより、小中規模の企業を立ち上げていくということも考えています。そして、外資を南アに誘致する呼びかけも行います。同じような呼びかけをぜひ日本の方に対しても行いたいと思います。我が国にぜひ投資をしていただきたいと考えています。
 最後になりましたけれども、改めましてJILAFに、今回のご招待にお礼を申し上げます。そして、そのほかの国の労働組合がこのプログラムの恩恵を得ることができるように、このプログラムを継続していただきたいと思います。