2001年 南アフリカの労働事情

2001年9月12日 講演録

南アフリカ労働組合会議(COSATU)
トコザフレディモタウ

全国金属労働組合国際担当

 

国内の状況

 1994年の選挙によって、民主化が達成されて以来、経済の問題や労働の問題において、大きな進歩が見られました。しかし、国民、特に貧しい人たちの物質的な状況はあまり変化がありません。特に白人と黒人の間の生活の差には大きな変化はありません。一般的な生活の状況にはまだまだ改善が必要です。更に現在、経済的な産業上でのリストラクチャリング再編成が行われています。
 主要な産業は、いまだに白人に牛耳られています。そして、産業における再編成は、大量の失業者をなくすことが目的です。失業率は38%です。現在、労働市場の構造改革の途中ですが、多くの労働者は雇用のブローカーを通じたテンポラリー(一時的)な仕事についています。
 住宅や医療、その他の社会保障は十分ではありません。人口の半分は月60ドル以下の生活をしています。また、政府のマクロ経済の政策によって、十分な投資がされていません。鉄道や電気通信、電気、水道などの公共セクターが民営化されつつあります。
 労働法の改訂中です。男女間、あるいは黒人・白人の間で、より格差をなくすという法律もできましたし、技能開発の法律も現在議会を通過して、実施されつつあります。それによって、労働者がより高いスキルを得られるようになります。

COSATUの活動

 組合員数は、180万人です。私の出身の全国金属労働組合(NUMSA)は20万人です。活動は政府のマクロ経済政策に対して影響力を行使するためのキャンペーンを行っています。また、公共投資の支出を削減するような政府の政策に対して反対をしています。
 また、COSATUには80の組織が加盟していますが、これを再編成し、6つぐらいの非常に強力な組織にしようとしています。労働法改正のときには、使用者の意思を弱くするような労働法に改正しています。また、より雇用を創出するような政府の政策を支援しています。
 具体的な行動のキャンペーンとしては、部門別のジョブサミットを行い、それによって各部門ごと、どのように雇用を創出するかということに取り組んでいます。
 社会保障制度やインフラの整備に投資するよう、政府に働きかけています。住宅も十分ではありませんし、こういう投資を行うことによって、雇用や労働市場を活性化し、新しい刺激を与えることができるからです。また、産業政策がより雇用を創出し、グローバルな競争に勝ち抜けるようなセクターを創出するように政府に働きかけています。
 私が国を出るときに、2日間のゼネラル・ストライキ中でした。これは、人々の生活に大切な電気、電気通信、水道、鉄道などの民営化に反対するストライキです。このようなゼネストは、必然的なものです。現在の政府の方針は、投資も招き入れませんし、雇用の創出にも十分ではありませんので、このようなゼネストを行っています。
 COSATUは、労組をより強いものにするためや、新しいメンバーを獲得することなどを協議しています。現在、パートタイム、非正規のセクターの労働者が多くなっているので、新しいメンバーを入れないことには、ますます労組が弱くなってしまうからです。

南アフリカ労働組合連盟(FEDUSA)
リンダチャバララ

HOSPERSA(公共厚生部門) 副委員長

 

FEDUSAの状況

 FEDUSAは1997年4月1日に結成された進歩的な政治的に独立した非同盟の連盟です。加盟労組は28組織で、メンバーの数は55万人です。南アの経済すべてにわたる産業、さまざまなセクターを包含しています。
 2番目に、加盟組合に何を提供しているかですが、1億5,600万のメンバーを抱えるICFTUに加盟しています。大変強力なICFTUの加盟組織で、国際的なレベルでも組合の利害を代表し、それを促進しています。政府の政策や法制に影響を与える機会を提供しています。また、加盟組織が大きなグループとして活動できるような場を提供しています。
 3番目は、政労使三者の一部です。NEDLAC、これは経済発展、経済開発と労働の協議会ですが、この三者構成のNEDLACのメンバーです。MLC、ミレニアム・レイバー・カウンシルに参加しています。また、最も大事なことはNSA、ナショナル・スキルズ・オーソリティーにも参加しています。また、南ア・クオリフィケーション・オーソリティー、SAQAにも参加しています。その他のさまざまな組織に参加しています。
 FEDUSAのイデオロギーとしては、各自が基本的に必要なものに対する権利、健康、安全、社会保障、尊厳、自己実現などに対する権利を有し、そのような権利が実現されるためには、各自が責任を持った市民でなければならないというイデオロギーを掲げています。FEDUSAは、社会主義的な中央集権経済も、全く自由な市場経済も国民に対し、このような権利を与えるものではないと考えています。そして、中央集権主義も全く自由な市場経済も決して社会に対して役に立つものではないという考えを持っています。全く自由な市場経済は、富の集中や社会の格差を助長するものです。その結果として、国民の間に不安定をもたらします。そして、社会主義的な中央集権的経済も、同じく効率的ではありませんし、需要と分配という問題に対処することができません。その結果として、国民が自由や自己実現の権利を剥奪されることになります。
 こうした国民に対する権利は、バランスのとれた経済によって実現されるという観点を持っています。つまり、政府が国民の基本的に必要なものを与えることに対して責任を持つ、そうしたバランスのとれた経済が必要だと考えています。労働というもののとらえ方ですが、単に生産における1つの要因ではなく、資本投資や利益の獲得において、労働者もその恩恵にあずかる。つまり単に報酬を受けるのみでなく、利益の分配にあずからねばならないと考えています。政労使、それぞれが社会的な責任を持っているべきです。経済成長は、混合市場経済によって達成されるべきですし、労働者の犠牲の上に立って得られるものではなく、労働者とのパートナーシップによって達成されるべきであります。
 過去のアパルトヘイトがいまだに職場において継続されていることですが、何十年にもわたる不平等が行われていた結果として、社会的な偏見がいまだに残っています。それゆえに、職場においての差別の禁止を支持し、職場で平等が守られるようにと努めています。
 また、次のようなアファーマティブ・アクションの原理というものを掲げ、それによって過去においては利益を受けていなかった者も利益を受けられるように努めています。このアファーマティブ・アクションが正義と公正に基づいたものであること。そして、初めと終わりを持ったアファーマティブ・アクションであること。過去において利益を被っていなかった者のためにスキルを向上させることを目的とすること。そして、基準というものが妥協の産物ではなく、またその基準が落ちないことを目指すこと。アファーマティブ・アクションの過程で、完全に利害関係者を巻き込んでいくこと。ただし、それが割当制に基づいたものではないこと。また、過去において不利益を被っていた者の雇用を失わせるものでないこと。

FEDUSAの活動方針

 国営企業の再編成を次のような例を挙げて申し上げておきます。再編成が人種差別問題にすりかえられないようにすることです。再編成がビジネスユニットを単位としたものであり、可能な限り、このようなプランがさまざまなビジネスユニット間で同調性を持ったものにすることであります。そのほかの分野に余剰労働力を振り当てる、吸収させるものでなければなりません。詳細にわたるビジネスプランがまずできて、それによって特定のビジネスユニットが実現していくことが必要です。それによって、その場限りの思いつきのプロセスが排除できます。きちっとしたプラン及び配慮がなければ、実現は不可能です。
 国家資産の売却は、実際の操業の中で行われるリストラクチャリング――再編成とは別個に取り扱われることが必要です。現在、直面している問題はたくさんあります。これを列挙すると長いリストになりますが、1例を挙げますと、失業、エイズ問題、住宅問題、民営化問題、医療問題、教育問題、男女の性の問題、また差別の問題などがあります。