2000年 ナミビアの労働事情

2000年9月27日 講演録

アルファウス・ベホンガ・ムヘウア
ナミビア労働者全国組合委員長代理

 

NUNW について

 ナミビアは小さい国で、人口が180 万人です。約30 の組合があり、ナショナルセンターとして最大なのがNUNW 、ナミビア全国労働組合です。現在、このナショナルセンターに加盟している組織は8 つです。このナショナルセンターでは、労働者の団結を促していまして、いわゆるフォーマルセクターの全労働者が約22 万人いますが、そのうちの6 万人から7 万人が、このナショナルセンターに組織を通じて加盟しています。
 最近になって、その団結の自由が以前より認められ、いろいろな制限が撤廃されたことで、ナミビア全国労働組合以外のナショナルセンターや労働組合が多く設立されてきています。そのためナショナルセンターレベル、もしくは企業において、複数の組合が存在するという状況が見られるわけですが、それでもナミビア全国労働組合が、やはりナミビアの労働者の社会において大きな役割を果たしていると思います。しかし、同じセクターにおいて、いわゆるライバルである組合が出現しつつあるということが、今私どもの加盟組織が直面している問題でもあります。同じセクターに複数の組合が存在するために、組織を拡大することが以前より難しくなってきています。
 ナミビア全国労働組合の加盟組織のうち、最大の組織がナミビア公務員組合です。私は2 年前からナミビア公務員組合の組合員になりましたが、それ以前は、鉱山関係の仕事をしてきました。ナミビア公務員組合は半官半民のセクター、例えば水道や電気といった分野を幅広くカバーしています。

NUNW の果たしてきた役割

 歴史的に見て、ナミビア全国労働組合は非常に大きな役割を果たしてきたと思います。不利な立場にある労働者の利益を代表するということや、労働者にかわって政府を批判する役割をしてまいりました。特に、政府が私腹を肥やしている、もしくは買収や汚職がはびこっている、そして社会において不公正なことがまかり通っているというようなことに関して、私どもは常に声高に批判をしてきました。

農地・土地改革の問題

 現在、問題になっているのが、農地改革、土地改革です。ナミビアが独立して10 年たち、この問題もかなり表面化してきました。その間、私どもは組合の立場として、どういう形でこの改革に取り組めばいいのかを考えてきました。しかし、全体的に見てこの改革は遅々として進んでいない状況です。この改革に関しては、ジンバブエでも似たような問題が起きています。ジンバブエの場合、独立から20 年たった今、農地改革、土地改革の問題が出てきています。そしてそれが進まないことに対する不満が募り、力ずくで土地を奪うという状況が起こっています。ジンバブエでは独立から20 年たって、まだその改革が進んでいないし、ナミビアの場合、10 年たってもそれがまだ進んでいないということは、もしかしたらジンバブエと同じような危ない道をたどりつつあるのではないかというのが懸念材料です。
 50 年間ずっとナミビアの独立解放ということで戦ってきた中で、この土地改革が重要な課題でした。今の段階では土地を所有しているのは人口のわずか5 %、しかもほとんどの所有者は、南アフリカからナミビアに移ってきた白人です。独立後、ナミビアの政府は、国内の和解と協調を進めていくために、この土地問題にみんなが努力をして取り組んでいこう、という方針を打ち出しています。今の段階で人口の5 %の人のみが所有している土地を、土地の所有者が定める値段で売ることを基本として、この改革を進めようと考えています。

与党SWAPO との関係

 しかし、私どもはそれに関しては反対しています。私どもは、ナミビア国内の労働者の団結をはかっていきたいわけですが、一つここでネックになっているのが、ナショナルセンター、ナミビア全国労働組合と、与党であるSWAPO 、南西アフリカ人民機構との関係がまだ強いということです。必ずしもSWAPO を全員が支持しているわけではないのですが、やはりそういったつながりがあることがネックになっているのは否めないと思います。ただ、組織を拡大していく上では、SWAPO を支持している人、もしくは反対している人、その全員を巻き込むということが難しくなってきています。私どもの組織に加盟したくないという人から見れば、このナショナルセンターは、単にSWAPO の一部ではないかというふうに見られてしまうからです。

ナミビアにおける男女平等の課題

 もう一つの課題が、男女平等についてです。まだまだナミビアにおいては、労働運動においても、指導者の立場にあるのは男性が圧倒的に多いということが言えますので、この男女の差をどうやって埋めていくのか、是正していくのかというのが課題になっています。今の段階で、ナショナルセンター加盟組織の全国レベルの代表、委員の7名は女性になっているのですが、その他の主要なポスト、すなわち委員長、2名の副委員長、そして書記長、これらは全部男性によって占められています。

ナミビアの諸課題

 ナミビアでは、EPZ 、エコノミック・プロセシング・ゾーンというものが設けられています。ここではさまざまな税制の優遇措置、関税がかからないことや、一部においては労働法が適用されないといった措置が設けられ、振興策が政府によって進められています。
 それから三者構成ですが、政府は一応それを支援する立場にあります。ですから、すべてとは言いませんが、社会経済に関する問題において、労働者の代表が議論に参加をすることができます。そういったさまざまな政策の議論を、できるだけ三者間の中でバランスよく議論をするといったことも進められております。一つの例として、レイバー・アドバイザリー・カウンシルと呼ばれている、労働諮問委員会が設けられていまして、もちろんこれも3 者構成になっています。さらに、私どもが組織として団結を強化していく、特に政治において、政策にもっと影響力を行使していくということに関しては、やはりナショナルセンターが取り組まなければいけない問題だと思っております。そうでなければ、労働運動においてナミビア全国労働組合がリーダーシップをとっていくことはできないと思います。
 ナミビアにおいては社会的にも経済的にも不平等な状況がたくさんあります。実際に、過去においては世界でも悪名高いようなケースも幾つかありました。その不利な状況に置かれている人たちの希望を代弁するためにも、そして彼らのために立ち上がるためにも、私どもナショナルセンターが取り組まなければいけない課題は多いと思います。それは単に組合員だけではなくて、非組合員の立場も代弁できるような形で努力をしていかなければなりません。そのためには戦略的なビジョンを持って、基礎的な社会の変革をもたらすことが大事だと思っています。そして、職場において、組合の立場というものを強化していく、それがナショナルセンター、加盟組織に課された大きな課題であり、使命であると思っています。