2008年 モーリシャスの労働事情

2008年7月9日 講演録

モーリシャス労働会議(MLC)
モーマティー・ブリンダ・クーブロール

幼稚園教職員労働組合委員長

 

 1968年に英国から独立して以来、モーリシャスの「小さな島国経済」は砂糖の単一農産物栽培中心の経済から徐々に発展し、現在では「アフリカの虎」と呼ばれれるほどまでに発展した。インフラ整備が進み、教育水準の高い労働力を備え、「高中所得」経済の地位を獲得している。
 モーリシャスでは国民一人一人が大きな資産と言えるが、農業、観光、製造業、金融・ビジネスサービス業、通信・IT産業など多様な産業を抱えている。
 国の政治・経済・社会の安定に大きく寄与しているのは協調的な労使関係である。モーリシャスの労働市場はかなり安定しており、総人口124万人のうち労働力人口は約50万3,000人で、失業率は8.5%である。3者構成委員会制度の下で円滑な発展が図られている。基幹的な産業分野におけるストライキは禁止されている。雇用権利法、雇用関係法、機会均等法など人権に基づく規定により、良好な労使関係が保証されている。
 直面している大きな問題は賃金の官民格差の問題である。政府職員、政府関連組織職員の賃金は民間労働者の賃金より極めて高く、また雇用の安定度も高い。そのため民間部門よりも政府機関で雇用されることを望む労働者が多く、縁故採用・汚職などの不正や影響力の政治家などを通じた口利きなどが行われる原因となっている。
 政府は官民両部門の雇用条件の格差を把握しており、労働条件の格差縮小に努めている。
 国民の民族構成による差別、また性による差別が見られる。全体の差別を解消するために先ず公共部門の雇用条件における差別の廃止からを改革を進めようとしている。そのために新たに雇用権利法が制定された。しかしこの法律には労働組合は労働者の利益に合致するような点がないとして改正を要求している。
 政府は労働人口が少いこと、また人口の高齢化が進んでいることを考慮し、定年を60歳から65歳に引き上げ、万額の年金受給資格を得るための就労年数を33年から38年に引き上げた。その結果として企業では契約移民労働者の数が増加した。労働生産性は移民労働者の方が現地の労働者よりも高いと認識されている。
 モーリシャスの経済的・政治的安定を考慮し、更にヨーロッパ、インド、アフリカ、中国系などの多種多様な民族構成を考慮して、これらの国を拠点とする多くの多国籍企業がモーリシャスへの投資を望んでいる。近い将来、多国籍企業における雇用が急成長するものと見込まれている。貧困を軽減し雇用を作り出すために、政府は中小企業の育成に努めている。