2005年 モロッコの労働事情

2005年9月7日 講演録

モロッコ労働組合(UMT)
鉄道労働組合連盟 副事務局長兼UMT執行委員

ムハンマド・ハイトゥーム

 

 モロッコ労働組合は、フランスの統治時代からの長い労働運動の結果、1955年3月22日に設立された。設立宣言では、この組織は全てのモロッコの労働者の大衆運動であり、性別・人種・イデオロギーや政治信条などによって差別されないが明記され、また、政府からも、使用者からも、政党からも独立した組織であり、組合を取り巻く勢力、特に政府との関係は、民主的な活動を原則としている。
 労働運動のスローガンとして当初は、モロッコの独立が掲げられていた。現在の活動重点は、国富の社会的公正配分、労働者の尊厳とその家族、子ども達の将来を保障する社会的な制度の構築、そして社会に真の民主主義を確立することにある。
 組織構成としては、横割組織としてそれぞれの地域に平等に選出された代表により労働委員会、支部を設立する。縦割り組織として、職業別労働組合が設立されている。
 現在の課題として、第1にこれまでに獲得した法制上の擁護があげられる。第1に1995年から2004年まで長い時間をかけて制定した労働憲章、労働法の擁護、第2に2005年になって長い審議・検討の末、制定された強制健康保険(強制的に加入させられる健康保険)、第3にスト権がある。スト権は憲法に保障された労働者の基本的権利であるが、現在政府はスト権を制限する法案を国会に提出している。
 現在、労働関係の法律が存在するにもかかわらず、使用者が守っていない問題がある。政府は、傍観者の立場をとるか、使用者の見方をする状況にある。労働組合は、2004年5月の大会において、法律の価値はその実施にあるとのスローガンを掲げている。
 第4に、公務員、教職員の職場の保護がある。民営化プロセスにおける雇用の安定、労働条件の保護、特別な権利の付与を守る。特に、特定産業における労働力―大学卒業資格をもつ若年者の就職-の保護がある。
 第5に、社会保障問題であり、その1つは年金制度改革、次に国民および全労働者をカバーする医療保険制度の拡充がある。
 第6は、労働運動の統一であり、1960年以来、様々に分かれた運動を統一するための努力が行われてきたが、依然として約20の組織に分かれている。理由は、政府の介入によるもの、政党に頼るものといった外的要因があり、現在まとめるべき努力をしている。