2004年 モロッコの労働事情

2004年11月10日 講演録

モロッコ労働組合(UMT)
カディジャ ムサダック

銀行労働組合 執行委員

 

国内の状況

 モロッコは北アフリカの国で、スペインとは海峡を隔てて14キロの距離に位置しています。人口は約3,000万人で、主な産業は農業、軽工業、燐鉱石の採掘です。労働者は一般的に教育程度が高く、労働者としての意識は高く保たれています。
 モロッコではUMTの活動もあって、人権の分野ではかなりの部分が実現されていますが、民主主義は極めて形骸化しています。政党は複数存在していますが、野党はほぼ御用政党であり、公正な選挙という姿にはほど遠いものがあります。
 経済の状況は良くありません。世界的な経済変革の影響を受けているためです。特に世界銀行と国際通貨基金(IMF)によります構造調整の要求が悪影響を与えています。個人所得は低く抑えられ、国民の購買力は低く、その上に多くの事業所が閉鎖されることによる失業者の増大という困難を抱えています。また公共サービスも劣化しています。

活動方針

 UMTは過去にはフランスからの独立を勝ち取る闘争のなかで、労働者の諸権利、賃金水準向上、雇用増大、社会的なサービスの向上に努めてきました。現在は前述のような経済的な課題に対してセディク書記長の指導のもとに、各職場で取り組みを強め、これまで獲得した権利が後退しないよう努力しつつ、事業所閉鎖に伴う失業問題に対処しているところです。また労働者のストライキ権の保障、賃金と労働条件の改善を求める活動も行っています。
 UMTの組織について申し上げます。UMTは、化学、電力、教育といった産業別の労働組合連盟から構成されています。地方組織も有しています。さらに中央には、女性委員会、青年委員会、そして退職者委員会という独立の機関があります。

具体的な活動内容

 UMTは加盟組合幹部に対して団体交渉や組織化に関する研修を実施しています。特に女性につきましては独立した研修を行っています。その理由は、モロッコの女性労働者は賃金を含むいろいろな面で差別されており、それは特に民間企業及び伝統的な女性の職場である繊維産業において顕著であるからです。また高学歴の学位を持った者の失業という問題にも直面しています。UMTはハンガーストライキへの参加などにより、この問題に対抗しています。
 テロについては、UMTはあらゆる形態のテロを厳しく非難します。とりわけ2003年にカサブランカで発生した爆発テロ事件を問題視しています。あらゆる形態のテロとは、イスラエルがパレスチナ人に対して行っている暴力行為、アメリカがアフガニスタンやイラクで行っている暴力行為を含みます。私たちはファルージャの情勢を非常に懸念しています。
 最後に多国籍企業について申し上げます。多国籍企業は途上国において、多くの破壊的な経済活動を行っているとみなしています。多国籍企業の活動の結果、多くの失業者が生み出され、多くの労働者が移民を余儀なくされたりしていると私たちは考えます。