2007年 エジプトの労働事情

2007年12月5日 講演録

エジプト労働組合総連合会(ETUF)
Sanaa Zayed Sami

 

 エジプトの労働運動は1998年に組合結成100周年を迎え、現在も黄金時代にある。エジプトの組合は医師会や薬剤師会、弁護士会などの職業組合と労働者の組合の2つに分けられる。すべての労働者がいかなる差別もなく参加できる唯一の機関としてエジプト労働組合総連合会(ETUF)がある。活動は思想的に自由であり、独立が保障されている。組織の構成は総連合会のもとに23の一般組合があり、その下に2,000の単組がある。1976年の法律第35号によって組織され、労働組合への参加は完全に自由である。ILOにも加盟している。エジプトの女性労働者は全労働人口の35%を占めている。2006年の選挙では17万4千人の女性役員が選出されたが、総連合会の理事会には定数23名のうち女性は1名であった。エジプトはかつて生産の90%を国営企業で占めていたが、1990年に始まった世界的な経済構造の変革によって約70%の生産が私企業で行われるようになった。グローバリゼーションと民営化の影響を労働者が大きく受けるようになった。1974年法律第74号によって内外の投資家がさまざまな投資プロジェクトを持てるようになり、このことで労働組合はこういったプロジェクトにも向かい合わなくてはならなくなった。1991年には法律第203号によって会社は10%以上の株式を労働者に売ることができるようになった。労働者が経営の利益を得るようになったのである。一方でこうした民営化のプロセスが続いたため、政府は労働者を保護する基金を作った。事業所が閉鎖されたといった場合に6ケ月間給与が支給されるようになった。また、多国籍企業の問題は途上国に深刻な影響を与えている。労働者は否定的な側面にうまく対応できないでいる。最近、労働者の抗議行動が増えている。とくに繊維産業は構造的な不況にあり、賃金が他業種と比べて著しく低くなっている。民間企業でも争議が多発している。税金や社会保障、権利が認められていなといったことなどによるものである。総連合会は集団協約や個別の雇用契約などの交渉について援助している。今日労働組合はこうした問題に対抗できる能力を持った指導者の育成が重要な課題になっている。