2015年 タンザニアの労働事情

2015年10月23日 講演録

タンザニア労働組合会議(TUCTA)
タンザニア電気通信サービス労働組合(TEWUTA)
ファトゥマ・モハメド・ムニワ

青年委員会委員長

 

1.タンザニアの労働情勢(全般)

 タンザニアは、ジュリウス・ニエレレ初代大統領が設立した革命党と呼ばれる社会主義政党が制憲を担い、今日までその一党支配が続いている。しかし、野党や市民からの批判が高まり、国民の意思に沿った新しい憲法を制定しようとする動きがある。今年(2015年)10月25日に行われる総選挙後に憲法が見直される予定で、今後のタンザニアの政治、経済発展が総選挙の結果にかかっている。労働組合として、今の一党支配を覆すことを目標に、選挙運動に力を入れている。

  2013年 2014年 2015年(見通し)
実質GDP(%) 6.9% 7.0% 7.0%
物価上昇率(%) 6.0% 6.6% 6.9%
最低賃金 (官民、中間値)
11万4400 TSH 
(タンザニア・シリング)
10万~40万
TSH/月
労使紛争件数
法定労働時間 (官)8時間
(民)9時間/日
45時間/週
最大60時間
時間外/割増率1.5倍 休日/割増率

 タンザニアでは、インフォーマルセクターが雇用増加の中心である。インフォーマルセクターは、主に同族経営で、家具、機械・部品の修理品、雑貨などの製品を専門に扱い、労働者1~2人の小単位で構成される。それらの職場は通常、徒弟制度を通じて雇用を創出している。インフォーマルセクターの雇用は、往々にして生産性が低く、低収入で不安定である。このセクターは広範囲に及び、特に雇用形態に関してさまざまなカテゴリー区分が難しい。そのカテゴリーはオーナー経営者、自営業者、労働者から非正規労働者に及ぶ。

2.労働組合の直面する課題

 労働組合は現在、5つの大きな課題に直面している。第1が、民間部門における組織化。第2は、社会対話、協議、労働者代表制度の推進。第3は、団体交渉も含めてのさまざまな折衝や交渉。第4は、官民双方の部門において労働法やコンプライアンスの遵守。第5は、若年労働者の組織化などである。
 特に、15~35歳の年齢層において、まず、労働市場における労働力の需要と供給との不均衡が生じている。毎年、高校・大学の卒業者数が80万~100万人いるが、この新卒者が職を得ることができない。公共部門では新規採用を制限し、若年層の雇用がほぼ凍結されており、これが青年層の高い失業率につながっている。また、農村から都市へ人が流れ、職を求めるが、都市での職につけずに、失業者が発生している。民間部門には労働市場に参入する青年を吸収するだけの市場がないため、長期間失業している若者が増えている。

3.課題解決への取り組み

 課題解決に向け、まず組織化に取り組んでいる。フルタイムのオルガナイザーを雇って、地域、また地域の書記長に対して組織化・加入に関するスキル訓練を行っている。2番目に、政府や民間の使用者に対して、労働組合を三者または二者間の協議に参加させるよう圧力をかけている。3番目に、労働組合が労働協約を締結できるよう、交渉スキル向上のための訓練を行っている。4番目が若年層の参画であり、規約の改正を含めて、労働組合の中に若年層に特化した部門をつくることに取り組んでいる。
 インフォーマル労働者の組織化は、未だに達成できていないが、農業労働者の労働組合を結成することができた。自営業者、労働者が拠出する年金基金の一部を財源として、インフォーマル労働者の組織化・支援のために活用する計画がある。
 タンザニアでは、2009~2012年にアメリカ労働省の支援を得て、労働法のコンプライアンス状況改善のためのILOプロジェクトが実施された。この内容は労働法遵守、労働行政、労働法監督制度などであり、労働者、使用者の間で、労働法の下での権利・義務に関する知識を広めることを目的としたものである。