2008年 ケニアの労働事情

2008年7月9日 講演録

ケニア労働組合中央組織(COTU-K)
サムエル・ムガオラレ

大学職員労働組合書記長

 

 1963年の独立以来、政府と労働組合との間には協力関係があった。1965年、政府は労働組合をまとめた単一の労働組合組織COTU‐Kを承認した。それ以来、COTU‐Kは約36の加盟組織と約100万人の加盟人員数を誇る最大の労働者組織となった。
しかし政府と労働組合との間には法律、労働政策や制度面で意見の対立、深刻な問題が発生してきた。それらの軋轢を経て2007年10月に一連の新労働法、すなわち2007年雇用法、労使関係法、労働機関法、労働安全衛生法、労働災害法、賃金法などが制定された。これらの法律の中には、例えば産休、労働者災害補償などの面で労働者に好ましくない規定が定めてあるため、COTU-Kはケニア弁護士会を通じて現在、裁判所に異議申し立てを行っている。
新労使関係法では、以前は強力な権限を行使できた労働大臣の権限が取り払われ、代わって労使紛争裁定のための労使関係裁判所に権限が移譲された。また新労働法では非組合員には労使で合意された新労働条件は適用されない規定が定められた。
COTU-Kは現在以下のような課題に直面し、積極的に取り組んでいる。1つは組織化のグレイゾーンである軍隊、警察、刑務所、国家青年奉仕隊の組織化である。2番目は労働組合運動にとり大きな脅威となっている700万人にも上るインフォーマル部門の労働者のフォーマル部門への転換、それらの労働者の組織化である。3番目は巨大な賃金格差・所得格差を縮小し、調和のとれた賃金を実現することである。
第4番目は労働運動そのものの変革である。多くの労働組合がCOTU-Kに未加盟な状況にあるため、一部の人権NGOがCOTU-Kに代わるナショナルセンターを結成しようとする運動が勢いを増しつつあり、COTU-Kに対して誹謗中傷を繰り返している。これらの組織はCOTU-Kは政府と協調し過ぎて労働者の利益を阻害していると主張し、進歩的な新たな労働組合組織を作り上げるべきであるとして運動を強めています。それに対して現在COTU-Kは職業的に産業的に関連する労働組合に統合を求め、経営者が労働者をだまし利用するには到底不可能な巨大な労働組合組織を結成するよう呼びかけている。また先進的な労働法の再検討が必要であり、労働市場関係の政策も変え、労働運動そのものの変革が必要であると主張している。2008年2月に開始したCOTU-Kの機能的戦略計画が実行されれば、労働組合運動の再編成と強化に大きな効果を及ぼすであろう。
第5番目は公共部門の問題である。民営化、外注化、規模の縮小すなわち人員削減が行われ、成果主義の考えが導入されている。それに対する対策が求められている。
第6番目は、外国の多国籍企業に対してはCOTU-Kは政府と協力して、多国籍企業が国内法を順守するよう監視を強めている。