2013年 ナイジェリアの労働事情

2013年12月13日 講演録

ナイジェリア労働会議(NLC)
エマニュエル・ウボアージャ(Mr. Emmanuel Okechukwu Ugboaja)

労使関係・組織化部長

 

ナイジェリア労働会議(NLC)
オルチ・ウメ・オコリエ(Ms. Oluchi Ume Okorie)

ナイジェリア石油・天然ガス労働組合 管理運営部長

 

1.ナイジェリアの労働情勢(全般)

 ナイジェリアの労働市場は、フォーマル部門とインフォーマル部門に分類される。さらに、組織部門と非組織部門に分けることも可能である。労働者数では、インフォーマル部門および非組織部門が多い。一方、フォーマル部門や組織部門の労働者は、国内労働人口の約4分の1を占めている。組織部門の賃金や労働条件の決定にあたっては、国の法律や国際労働基準が適用される。一方、インフォーマル部門や非組織部門は、不公平な労働条件となっている。
 2000年以降、若年層や大学・高校新卒者の失業が目立ち、失業率は35%から45%に及ぶ。失業の状況は産業によってさまざまである。
 ナイジェリアの最低賃金は、月額1万8000ナイジェリア・ナイラで(約120ドル)。ナイジェリアの『労働法』では、労働時間は1日8時間、週40時間、月160時間となっている。

2.労働組合が現在直面している課題

 労働の臨時雇用化、常用雇用から契約労働者へ雇用形態の変更、労働者が一度解雇されて同じ仕事をするために臨時雇用という形で再雇用されるなどの問題が起きている。
 ナイジェリアの石油・ガス産業においては、外部請負業者の労働者は組織化されている。契約労働者の雇用条件が団体交渉により高くなると思われる場合、会社は労働契約を請負契約に移行させるため、労働者の組合加入を困難にさせている。
 団体交渉は政府や使用者により軽視されている。労働組合は不当労働行為や労働組合幹部への迫害、組織化妨害や管轄権の問題に関連した紛争から高額訴訟が起きるという難問も突き付けられている。
 ナイジェリアの石油・ガス部門では、石油タンカー機関士やガソリンスタンド従業員でインフォーマル部門労働者が組織化され、労働協約(Collective Bargaining Agreement=CBA) を締結している。他にも、サーフェスタンク灯油ディーラー、潤滑油ディーラーなどで石油製品販売業者が組織化されており、CBAは未締結であるものの、運営に関する規定の基準が存在する。インフォーマル部門支部では組合員数が非常に多いため、団体主導の署名CBAの実施や施行に難題を抱えている。
 経営陣はナイジェリア石油・天然ガス労働組合が手に余るほど強大になりつつあると感じ、別の労働組合による組合員引き抜きを奨励し、しばしば訴訟沙汰となった。

3.課題解決に向けた取り組み

 使用者や政府に立ち向かうため、労働組合と市民社会とのより協調的な連携を作り上げる。労働組合が公選行政職の選挙へ関心を高め、政治の場に出ていくことを奨励する。組合員間に、政治に関わる必要性や団結意識を高める。
 契約労働者の組織化を強化し、彼らのためのCBAの協議を進めた。この活動が、石油・ガス部門の契約職員の配置や外注に関する労働行政問題についての指針を出す専門運営委員会の設立につながった。労働組合の抱える諸問題に対処するため、同委員会では組合員のためにより良い取り決めを求める運動が継続的に実施された。職場で余剰人員の発生が避けられない場合、労働組合はCBAの条項が実施され、付加的な任意条項についても協議されることを確保した。多くの受託業者を抱える企業では、受託業者フォーラムを立ち上げ、労働協約の協議において労働組合間の連係を図っている。
 国際産業別労働組合組織(GUF)や国際労働機関(ILO)に対し、臨時雇用化や不安定雇用に反対する条約の実現に向けて圧力をかけ、ディーセントワーク・アジェンダ(「すべての人に適切な仕事を」)に関する意識の啓発や定着を図るよう要請する。
 労働環境における職場の安全衛生は、まだ最高の状態とは言えない。教育部門の能力不足により、複雑な職場に必要な心身の安全衛生への適応力が不足している。安定性の甚だしい欠如により、国内では労働者の移動や雇用の不安定が多数生じている。

4.多国籍企業における労使紛争

 職場における労働安全衛生の問題、職場における環境の問題がある。ほとんどの製造業に携わる企業がこの問題にあまり注意を払っていない。特に、中国とインドの企業にそのような傾向が強い。
 ナイジェリアの石油・ガス部門では、陸上および沼地の資産 (境界油田) を現地の中核的投資家に売却し、国が投資から撤退することが起きている。この政策の陣頭指揮を執るのはシェル・ナイジェリア (SPDC)で、適切な補償が支払われず、雇用の保障や労働組合の継続性が確保されない例もあった。
 安全問題も課題となっている。石油・ガス部門労働者(海外駐在者、現地従業員の双方)の誘拐や人質事件、パイプラインの破壊行為、原油や石油精製製品の窃盗が発生している。これにより、人命喪失、敵対地域からの投資の移転、組合員の所得や雇用の損失がもたらされた。
 誘拐は、石油企業の進出により水が汚染されたり、飢饉が起きたりして、利益が還元されない地元の人々が扇動して始まった。しかし、最近では企業に対して悪意を持った人たちによる嫌がらせ行為も見受けられる。労働組合は対策をとるよう政府に働きかけており、10年前に比べ件数は減ってきている。
 石油・ガス部門の会社による海外駐在者割当規則の悪用は目に余る。彼らは地元代理店と共謀し、海外駐在者割当ライセンスを操作して駐在者を永久に働かせようとしている。海外駐在者が従事する仕事の多くは、地元住民にも可能であり、中には駐在者よりも有能で熟練した者もいる。