2011年 ナイジェリアの労働事情

2011年10月21日 講演録

ナイジェリア労働会議(NLC)
Ms. チディンマ・ナンナヤ・エジム
 

 

1.ナイジェリア労働会議の歴史

 ナイジェリア労働会議(NLC)は、4つのナショナルセンターの摩擦、対立を経た後、1978年8月に唯一のナショナルセンターとして設立された。傘下に42の産別が組織されたが、現在の構成組織は40、組合員数は約400万人となっている。現在の中心課題は労働者、一般国民の福祉である。これまでの歴史の中で、2、3度、解体の危機に遭った。軍事政権下の期間が最も過酷で、当時の労働運動のリーダーの拘留、活動中の治安部隊の突入、逮捕者の続出など、労働運動への弾圧介入が頻発に行なわれた。

2.労働情勢(全般)

 ナイジェリアの労働情勢はやはり困難な状況にあり、臨時労働、児童労働、また、ディーセントではない労働環境で働かざるを得ない多くの労働者の問題、労働安全衛生に関連する問題がある。この他、エイズ感染者の職場における差別問題、男女平等問題などがある。
もう一つ大きな問題はインフレの進行である。インフレのために、労働組合は常に賃上げを要求しなければならない状況にあり、賃上げが達成されてもインフレが再燃し、勝ち取った賃上げの意味がなくなるという状況に陥っている。

3.労働組合が現在直面している課題

 2011年3月に最低賃金法が制定されたが、州政府の多くが巨額の賃上げコストを負担できないことを理由に、法律の施行は労働側、政府側の間で激しい綱引き交渉が行なわれた。労働組合が要求した最低賃金は日本円に換算すると月約8,000円のレベルであり、高すぎる額ではない。その他、公企業の民営化問題、石油精製部門の規制緩和問題、インフォーマルセクター労働者の組織化問題を抱えている。

4.課題解決に向けた取り組み

 最低賃金の問題に関してNLCは、連邦政府、州政府との交渉に入り、合意に至ったが、一部の州政府が合意に背いているため、集会、ストなどを通じて各州知事に圧力をかけている。
ナイジェリアは石油収入に依存するところが大きく、石油精製部門が規制緩和された場合、困難な状況になる。石油精製部門の民営化と規制緩和に関しては、政府、その他の利害関係者との協議に参加してきた。また、この問題が特に貧困層や低所得層に対する影響について啓発キャンペーンを続けている。最近では9月に、首都全市において民営化と規制緩和反対の集会を開催し、問題を国民議会に持ち込み、議員に対して意見表明を行なった。
2011年~2015年行動計画で特に力を入れているのは、民主的な統合と、良いガバナンスの確保、汚職対策である。
NLCは今後、教育とエンパワーメントに力を入れ、労働者の意識の向上を図っていきたいと考えている。それにより、政治で起きていることに対して高い意識を持ち、自分たちで自分たちの権利を守れるようになり、組合活動にも積極的に参加することを期待している。
NLCでは現在、組織化の範囲を拡大しようとしている。市場で物を売って日々の生活の糧を得ている人たちや理容・美容師など小さな仕事をして日銭を稼いでいるといった人たちも労働組合へ加入させ、民主化のためにさまざまな社会的なパートナーと協力していきたいと考えている。

5.ナショナルセンターと政府との関係

 両者の関係は険悪と言える。進む方向性は全く違い、NLCは政府の政策・行動に対して異議を唱えており、NLCが必ず表明している意見声明は関心を集めている。NLCが提唱している国民の福祉に関する要求に政府はほとんど応えていないため、NLCはスト、集会で抗議を行なっている。

6.多国籍企業の状況

 多国籍企業は、原油、ガス探査・採掘関連サービス、銀行・保険業など、特定の産業に集中している。原油採掘では、その操業方法により、原油流出、環境悪化、労働者の健康・安全の問題などの懸念が生じている。
労使紛争の内容は労働協約の違反、あるいは労働者の安全衛生に関する懸念、環境破壊といったものが多い。
2年前にニジェール・デルタ地域で、住民の健康が危惧されるほどの大規模な石油流出事故があり、環境に対して非常に深刻な影響がでた。住民の大半は漁業者で漁業ができなくなっただけでなく、森林・土壌汚染にもつながった。